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小本紀子

経営者のための心のコンサルタント

小本紀子(こもとのりこ) / 公認心理師

紀凛株式会社

コラム

「経営者」としての不安…相談相手は誰がいいのか?

2018年5月18日 公開 / 2020年11月30日更新

テーマ:経営者の悩みと心のケア

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: メンタルヘルス 対策経営戦略健康経営

「経営者は孤独である」とはよく言われる言葉です。
実際、経営者として将来の不安や課題など、特にネガティブな部分をさらけ出して相談できる相手はいない、というかたが多いのではないでしょうか。

経営者とはいえ、一人の人間です。ましてや多くの社員の将来を背負っているという責任感もあり、人一倍、誰かに相談したり助言をもらったりしたいのではと思います。
そこで今回は経営者としての不安を誰に相談するのが最適かについてご説明します。

「経営者」としての不安

どんなに大規模な企業であったとしても、将来に何の不安も感じていない経営者は少ないでしょう。そこで経営者が抱える主な不安を具体的に見ていきます。

■商品・技術開発
競合他社との差別化、顧客満足度のアップなどに欠かせない商品・技術開発。
テクノロジーが進化するスピードは早く、経営者の判断が少し遅れただけでも命取りになることもあります。いつ、どういったタイミングでその判断を下すかは、企業にとっても大きな課題のひとつです。

■人材確保
新規で優秀な人材を確保することができるかどうかはもちろん、現在、在籍している社員の満足度を高め、他社への流出を防ぐにはどうするべきか。

かの松下幸之助氏が若かりし頃、毎朝工場に社員が出社してくれるのかが心配で、毎日来てくれるたびに感謝したという有名なエピソードがあります。
人材問題はそれほどまでに経営者にとって大きな悩みの種といえます。

■経営
これも常に不安がつきまとう問題のひとつです。
競合他社の中での自社の立ち位置、社会情勢、景気などさまざまなファクターを重ねて検討すべき問題のため、実際に相談できる相手が少ないということも、不安を高める要因となります。

■資金繰り
来月、再来年、3年後のキャッシュフローはどれだけ必要なのか、いざという時の資金繰りはどうするべきか。これも経営者にとって大きな不安材料となります。

場合によってはこれまでの蓄えがゼロになってしまうこともあるため、どんなに経営が順調な状態であっても、資金繰りの不安が消えることはないでしょう。

■営業・販路拡大
売上が停滞状態になってしまった際や、逆に売上好調の時の営業・販路拡大をどうするべきかも経営者を悩ます問題です。一つタイミングを間違えれば、一気に資金繰りが厳しくなります。そのため営業・販路拡大を行う時は同時に撤退のタイミングも決めておかなければならず、ストレスがたまり、不安も高まるでしょう。

よくある相談相手

次に経営者が抱えている不安、課題を誰に相談しているのかについて、2013年10月に中小企業庁の委託により帝国データバンクが調査を行った「平成25年度小規模事業者の経営実態に関する調査」の結果をもとに、不安、課題ごとに見ていきます。

■商品・技術開発
商品・技術開発に関する相談相手は、取引先、同業種の経営者、異業種の経営者などが多いようです。

■人材・経営
人材や経営に関する課題は、税理士や会計士が最も多く、次いで同業種の経営者、異業種の経営者。そして家族・親族(非利害関係者)と続いています。

■資金調達
資金調達に関しては、メインバンクが最も多い相談相手です。それ以外では税理士や会計士、その他の金融機関となっています。

■営業・販路開拓
営業や販路開拓に関する課題は、取引先、同業種の経営者、異業種の経営者が多く、それ以外では知人に相談する経営者も多いようです。

全体的には、同業種の経営者、異業種の経営者や取引先を相談相手としている経営者が多い傾向にあるようです。

ただし特に誰にも相談しないといった回答も多く、こうしたところからも経営者は実務に関わる不安、課題はもちろん、精神的な部分での不安を解消することも非常に困難であることがうかがえます。

外部カウンセリングの役割・メリット

前項の調査結果を見ると、家族や知人に相談するといった経営者も多いようです。
経営者が抱える不安や課題には、精神的な部分でのフォローが必要な面もあり、そうした場合には家族や知人に相談することで、良い結果を得ることはもちろん可能です。

ただし精神的な部分の不安や課題であるからこそ、家族や知人には話せないといったこともあるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、外部カウンセラーの活用です。

実は経営的な問題のほとんどは、経営者の心理的課題や葛藤が起因しています。カウンセラーは、経営者との対話から潜在意識をさぐり、現在の経営状況と経営者の心理状況を分析し、最適な解決策を導き出します。

前項でも見たように経営者にとっての相談相手は不安や課題によってさまざまですが、実は根本の部分で、経営者の心理的な問題が要因となっていることが少なくありません。
これでは仮に良いアドバイスを得られたとしても、行動に心理的なブレーキがかかってしまう場合があります。

カウンセラーに相談することのメリットは、誰にも相談できないことの中にこそ隠れている、その根本の心理的不安を解消できる点です。誰に相談をしてもなかなか不安、課題が解消されないといった場合は、一度、カウンセラーに相談されてみてはいかがでしょう。

この記事を書いたプロ

小本紀子

経営者のための心のコンサルタント

小本紀子(紀凛株式会社)

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