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田原稔久

快適で長持ちする住宅建設の専門家

田原稔久(たはらとしひさ) / 建築家

田原建設株式会社

コラム

キッチンをバリアフリー化して快適なクッキングライフを!

2016年6月19日 公開 / 2016年6月30日更新

テーマ:バリアフリー

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: バリアフリー リフォームバリアフリー 住宅バリアフリー 工事


キッチンのバリアフリー化には日本人の体格変化が関係している?

食生活や生活環境の変化により、日本人の体格は昔より大きくなっていると言われます。昭和23年には女性の平均身長が150cm、男性の平均身長が161cmだったのに対し、平成19年には女性が161cm、男性は171cmになっており、共に10cm以上平均身長が伸びたことが分かっています。

こうした体格変化は住宅の環境にも影響しており、例えば今回ご紹介するキッチンについては、昔は80cmが標準の高さであったのに対し、今は85cm〜90cmが標準になりつつあります。

そのため「車椅子で座ったまま調理をされる方や長時間の立ち仕事が辛いという高齢者の方には、今のキッチンは高過ぎる」という問題が出てきます。

キッチンの高さを変える上で考えておきたいこと

先ほどお話ししました理屈から言えば、キッチンのバリアフリー化に際しては「高さを低くすればいい」という単純な結論になりますが、ここで思い出して頂きたいのが、前回のコラム。

バリアフリー化を進める上でしっかりと様々な計画を合わせて考えておかなくては、むしろ逆にデメリットの方が大きく目立つ改修にもなりかねない、ということです。

例えばキッチンの高さを低くすることによって、シンクの高さも低くなった場合、シンクの下に足が入らず、調理が余計に不便になってしまうなんてことは避けなくてはなりません。

また御本人だけではなく、家族の方やヘルパーさんが共有する場合、低いキッチンでは調理がしにくくなってしまうといった可能性も考慮しなくてはいけません。

住宅のバリアフリー化にも課題・問題点やメリット・デメリットが

ひとつだけではない解決法

この場合、考え方によって解決の仕方は様々で、決して正解はひとつだけではありません。
例えば、立ちっぱなしの作業が多いキッチンに対して、「車椅子の方でなくても座ったまま調理をした方が快適だ」という考え方をお持ちであれば、座ったまま作業が出来るキッチン設計にし、ご家族やヘルパーの方も含めて座って調理するのも一つの解決法。

しかし、これまでの習慣などから「やっぱり立って作業がした方が落ち着く」とご家族の方が考えられているのであれば、いっそのこと高さの違うサブキッチンを一つ作ることで、調理スペースをわけてしまうという方法もあります。

このように、キッチンの高さひとつをとっても様々な考え方に伴うバリアフリー化がある訳ですから、収納や床材、IHの導入などに際しても、様々な可能性が出てくると思います。キッチンは家族みんなの笑顔を作る場所であると同時に、使う方の習慣が染み付いた場所でもあります。ご家族同士でもよく話し合って、全員が後悔のないバリアフリー化を進めてください。

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