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原島敏郎

元マネジャーの経験を生かしたコーチングの専門家

原島敏郎(はらしまとしろう)

有限会社ソリスナビタス

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コラム

マネジャーの自己肯定感を高める

2015年7月26日

コラムカテゴリ:ビジネス

 様々なマネジャーの方をコーチさせていただいていますが、意外なのは “自己肯定感” が低い方が結構いらっしゃることです。自己肯定感が低下すると他者批判をする傾向が高くなります。そうなると部下との人間関係がギクシャクすることもあります。
 
 明るく活動的でパワーがみなぎっていて愛想がいい。人を引き付ける魅力もある。「さぞかし上司からも部下からも信頼されておられるのだろうな」 と思われる方が、お話を聞いていると実はそうではなかったということがあります。
 何かにつけて “強がり” をいったり、自分のまわりの方々の所為にして自分を “正当化” したり、こちらの質問に対しても “言い訳” で回答されたりします。さらに何かの出来事への部下の対応方法に対して “決めつけ” で判断してしまう傾向があったりします。「あいつはやる気がない。ダメだ」、「あいつはクロージングが下手。根がやさしいところが難点だ」 などと見方が一方的で白黒つけるのが早い。
 一方で 「一生懸命仕事をしているが、いつも何か物足りない」、「自分は部下から好かれていないと思う」、「会社幹部の方に気を使って接しているが、どうも上手くいかない」 など自己肯定感が低い発言が出て来る。
 
 「自己肯定感」 というと 「自分はできる。自分は優秀な人間だと思う気持ち」 というように見られることがあります。しかし実はもっと広い概念です。「強がって 『私はできる』 と言うことではなく、自分の嫌なところも含めて “ありのままの自分” を受け入れることができる気持ち」 です。つまり自分に対して “ありのまま” を認めるということは、他人に対しても “ありのまま” を認めることにつながります。ですから、自分から見て相手の弱点と思えるところを批判するとき、自己肯定感は低下している傾向があります。こういう時に 「部下のいいところを見つけてそこを輝かせてあげましょう」 といっても 「それは分かっているが、あいつにはいいところがない。無理」 などと感情的になってしまい、それが相手に伝わってなかなか部下の信頼を得られないということが起こってしまいます。
 こういうとき、「誰しも自己肯定感が低下することがあること、今がその時期かもしれない」 ことをお伝えして、自己肯定感をあげる練習をしていただきます。練習というのは、気になる部下と機会を見つけて雑談することです。部下に 「上司のあなたに “人” として認めてもらっている」 という安心感をもってもらった後で、“仕事人” としての期待度を伝えていくというステップを踏むことが大事です。自己肯定感が低くなると、人は他者を批判的にみてしまう傾向が高くなります。それを感じると相手は自己防衛に入ります。批判的にみてしまうのは相手という “人” を十分知らないからです。
 
 話を通じてその人を知る。そのときのポイントは2つ。相手や相手の話の内容を 「良い、悪い」 などで評価しないことと完全に聴き手にまわることです。話を聴くことは意外に難しく、聞き手になっているつもりがいつの間にかに話し手になっていることがあります。相手の話の途中で 「でもな…」 とか 「俺の場合はね…」 「違う…」 と言って、相手の話を評価して何かしゃべりたくなってしまいます。それをぐっとこらえて聴く。そしてその時の話の内容から、彼の趣味は?休暇の過ごし方は?大切にしていることは?仕事上の強みは?仕事で身につけてきた能力は?などにアンテナを立てる。その人のことについて興味・関心をもって丸ごと知ろうとする。話に出てきたプライベートなことも仕事上のことも、あとでメモしておく。そうしてその人そのままを知り、その人の人間性を知る。 「人として魅力ある人」 として見ることが大事です。そうやって他者の “人としてのありのまま” を受け入れていくと、不思議に自分の “人としてのありのまま” を受け入れられるようになります。
 部下の “人としてのありのまま” を受け入れることと仕事人としての “今の能力” を 「このままでいい」 として受け入れるということとは別問題です。今の仕事で成果を上げるようになるために、本人がいかに能力を伸ばすか、上司がどう育成していくかということは、次のステップです。人として様々な角度からその “人” をみて理解しようとし、信頼関係を築く努力し続けてから、その人が今の仕事を担う“仕事人”としてどんな考え方や能力を身に付けてほしいかを話し合う必要があります。

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原島敏郎

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