コラム
日本のコーチングの現状<No.10> セッションでコーチは何をみているのか(1)
2020年9月29日
ビジネスコーチングに対する誤解の一つに、「ビジネスコーチは、クライアントの問題解決策を教えてくれる」というものがあります。
ビジネスコーチは、「クライアントさんが主体的に問題を解決するお手伝いはしますが、問題解決策の提供はしません」と言うと、「“アドバイス”も“答え”もくれないのなら、一体何をしてくれるのか?」と質問されることがあります。
管理会計やマーケティング戦略などのように、ルールや法則などで論理的に“最適な手”を導き出せる問題とは違って、ビジネスコーチの主な対象は“ヒトと組織”です。
ビジネスコーチはセッションのなかで、クライアントが抱える“ヒトや組織”の“問題そのもの”の内容をみているのではなく、クライアント自身が“その問題”をどのように捉えているのか?に気づいてもらうように様々な角度から質問します。ビジネスコーチは“クライアントと問題との関係性”をみています。
例えば「A君は業務能力がたけているが、リーダーになる意欲がなくて困っている」などの問題ですと、「A君に高い意欲をもってリーダーになってもらう方法を一緒に考える」のではなくて、
「クライアントにとって、その問題解決がどれだけ重要なのか?」「なぜA君なのか?」、クライアントにとって「チームとは?」「リーダー職とは何なのか?」などを質問して、問題の捉え方を自覚してもらいます。
人は問題に直面すると、その問題に集中しすぎて思考が偏り固定しやすくなります。「クライアント自身が、今まで以上に“広い視野で問題を捉え”、解決策の“選択肢を広げ”、その選択肢の中から“どのような基準で選択するか”を明確にして、選択の“決断をして行動”してもらう」という一連のサポートをしていきます。そのなかでクライアントの感情や想い、思考の癖などにも気づいてもらいます。
今までの関わり方で上手くいかなかったわけですから、新たな方法を見出してもらうお手伝いをしていきます。あくまでも、ビジネスコーチは“問題そのもの”ではなくて“クライアントと問題との関係性”をみています。
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