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コラム
大阪生まれの大阪育ち
2011年5月9日
京都で弁護士をしているので、よく依頼者から「京都のご出身ですか」と聞かれる。
私は表題どおり大阪生まれの大阪育ちで、23才の時に司法試験に合格して札幌修習に配属されるまで、大阪市内以外で暮らしたことがないので「大阪生まれの大阪育ちです」と答えている。
京都は大学が京都大学であったので、その縁もあり京都で弁護士をすることになった。
大阪は生まれ育った町なので好きだがその反面、札幌で暮らしていると大阪のいやらしさというようなものも離れると見えてくるところがあった。
また、大阪弁護士会は規模が大きく、私は「鶏口となるも牛後となるなかれ」をモットーにしようと考えて弁護士になったので、大阪では中々大阪弁護士会に弁護士中隆志ありとはなれないかと考えたこともあり、大阪ではなく中規模単位会を選んだ。
何でこんなことを書いているかというと、現在弁護士の就職難の時代だが、わざわざ薄給で東京や大阪で就職する人が多数いるという。
その理由として、「大きい事件を手がけたい」「専門性を高めたい」ということをその理由としているようであるが、東京や大阪に居たとしても、大きい事件が出来るのはそれなりの規模や実績がある事務所であり、薄給で勤務弁護士を雇用しようとしている事務所にはそのようなチャンスはないのではなかろうかと思う。
また、専門性を高めたいということについても、東京や大阪に居ればそれだけで専門性が高まる訳ではなく、専門的な仕事をしている事務所に入所しなければ勉強をする機会もないであろう。
こうした専門性がある事務所は通常は給与が高いのではないかと思うのでこうした修習生の意識は少しずれているような気がしてならない。
人数が増えているのであるから、やはり生き残りをかけて競争の激しいところではなく地方に流れる動きがもっと出てよいと思っているが、そこまでの意識改革は進んでいないのであろう。
地方にいてもそれなりに大きい事件や専門的な仕事は出来るので、大都市幻想のようなものがあるように思われる。
また、東京や大阪は物価も高いので、そんなところで低い給与でわざわざ生活することを選択することにも合理性を見いだせない。何かで読んだが、東京で仕事がなく、1週間カップラーメンしか食べていないそれなりの経験のある弁護士もいるとのことである。
地方都市だと、京都は人口比率が東京大阪についで全国3位なのであまりパイはないだろうが(最近事件数が減少傾向にあるのでそう思う)、もう少し小さい都市にいけばまだまだ何とかなると思う(もちろん限度はあり、せいぜいあと数年で満杯になるような気がするが)が、そうしたところを選択しないで、敢えて大都市というのが私には理解出来ない。
私は2回目で司法試験に合格したので、当時若年合格者であったから、東京大阪の大手事務所も入ろうと思えば入ることが出来たが、そんなことは考えもしなかった。
中規模都市でやっていこうと心に決めていたのであり、今のところその選択は間違っていなかったと思っている。
公務員(裁判官・検察官)も誘われていたのであるが、これは自分自身の性格的な問題で無理であった。
今は変革の時代であるから、その時代にあわせて生きていく術も考えなければいけないのである。
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