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コラム

記録の保管

2011年3月29日

コラムカテゴリ:法律関連


弁護士をしていると、事件記録が溜まってくる。

 成り立ての頃、破産事件で提出する預金通帳とかの現物を記録に挟んでおいて、事件が終わって少し経ってから返そうとすると依頼者に連絡がつかなくなって返せなくなったことがあったので、一時期からは申立と同時に原本などは返却することにした。基本的に申立てた後必要となることはあまりないからである。これで、少しは記録保管庫が空くようになった。

 他の弁護士に聞いてみると、「事件が終わったら記録はみんな依頼者に返すから保管の必要がない」という人もいた。弁護士は事件終了から3年間は記録保管義務が法律であるので、それに抵触するのではないかとも思うが、依頼者が了解すればそれでよいということなのであろうか。文献で別に調べたわけでもないので、これは疑問である。

 私は基本的に一般事件は5年ほどは置いてある。過去にやった事件の資料を参考にしたいこともままある。破産などの多重債務事件ではそれほど過去の記録を見ることはないので、3年の保管義務が経過したら、債権者一覧表と破産決定、免責決定、債務整理であれば合意書と送金の控えを専用のファイルに綴じてもらい、あとは委托してシュレッダーにかける。これでだいぶ保管スペースが空くが、勤務弁護士が来てくれることになると、20坪の事務所ではどうしようもないので、保管スペースを借りた。他の弁護士も1人では借りづらいというので、一つのスペース(30坪ほど)をシェアして借りて、私は10坪ほど借りている。これで随分事務所が広くなった。

 最近は判例検索システムがあり、私の事務所でもこれを導入しているので、普段は判例雑誌をさほど使わなくなった。そのため、判例時報(ほぼ全冊揃っている)と判例タイムズ(1000号以下がある)は保管スペースに移動した。必要な時だけ事務員に取りに行ってもらうが、多くの裁判は法律的な評価よりは事実認定で勝負が決まるので、判例を調査しなければならない事件はそれほど多い訳ではない。

 古い版の本も、「古い時代の事件の依頼があった時必要になるかもしれない」と思うと中々捨てられず、同じ本で版の違う物が何冊か事務所にあったが、保管スペースのおかげで古い本はそちらに置いておくことが出来るようになった。捨てたらいいという説もあるが。

 また、事件で必要であった為に購入した資料(DVDやスノーボードの本など)も「また同種事件があったら必要になるかも」と思うと捨てられず場所を塞いでいたのであるが、これらも保管スペースに持っていくことが出来た。

この記事を書いたプロ

中隆志

被害者救済に取り組む法律のプロ

中隆志(中隆志法律事務所)

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