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飯田裕

歯科インプラント治療のエキスパート

飯田裕(いいだゆたか)

つくばオーラルケアクリニック

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コラム

歯科衛生士や助手を感染から守るために<歯科の感染対策、感染防御>

歯科診療全般・歯科医・口コミ

2014年10月2日 / 2018年7月26日更新

1.診療器具を滅菌するのは当たり前。スタッフの安全性は?


 歯科クリニックの感染防御対策については、主に患者さんの安全性を守るための器具の滅菌など、すなわち肝炎ウィルスやHIVに対する感染防御ばかりが話題になります。また、院内の清潔環境を患者さんへアピールする意味で、診療室内の消毒体制の充実、医療用空気清浄機や水道水の浄水設備の設置などが注目を集めることもあります。
 器具の消毒や滅菌については、ある程度方法が確立されており、各種ガイドラインもございますので今回は割愛いたします。



 ※当院の消毒や滅菌については下記のコラムをご覧ください。
歯科の感染防御対策①~器具の滅菌について~
歯科の感染防御対策②~手洗いとグローブについて~

 歯科医院で毎日働くスタッフの健康や安全性も、患者さんへの安全性と同じぐらい大切なはずですが、医療従事者を感染から守るための対策や手段として語られるのは、シールド付きマスクやゴーグル、グローブの着用ぐらいではないでしょうか?開業歯科医師や歯科衛生士向けの専門書、あるいは専門誌を眺めていても具体的な対策について書かれている記事はほとんど見たことがありません。そこで今回は当院で実践している対策の一部をご紹介したいと思います。


2.若い女性の医療従事者をウイルス感染からどう守る?

 歯科医院には毎日大勢の患者さんが出入りします。患者さんの中には、熱があったり、咳をしたりして体調の悪い方もおられます。ご自分の病状を把握しておられない方や、問診票の記入をお願いしても、健康状態を詳しく記載していただけない方もおられます。さらに子供が沢山来院するクリニックであれば麻疹(はしか)や風疹、水痘(水ぼうそう)の患児が来院するケースもあるかもしれません。

 一方でそこで働く歯科助手や歯科衛生士などのスタッフは若い女性が多く、もしかしたら妊娠初期である可能性もあります。麻疹、風疹、水痘などでは妊婦さんが感染すると胎児に異常を生じる可能性があります。

 インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふく)など直接接触しなくても近い距離にいることで感染する疾患には、ワクチン接種など可能な限りの事前対策が必要でしょう。逆に風疹や流行性耳下腺炎の患者さんと接した場合、その時点で予防する方法はありません。おたふく(流行性耳下腺炎)の感染力はインフルエンザの200倍とも言われていますから要注意だと思います。




歯科におけるインフォームドコンセントと2025年問題を考える

 したがって私のクリニックでは毎年のインフルエンザシーズンに、インフルエンザワクチンの予防接種をみんなで受けに行き、診療中はN95マスクの着用を奨励し、院内だけでなく通勤中に使用する分も配布しています(使ってくれているかは分かりませんが…)。
 また、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎については当院で採血して抗体の有無を測定(抗体価測定)しています。







3.歯科助手さんにはB型肝炎の予防接種を


 私たち歯科医師や歯科衛生士ならば、通常は学生時代の病院実習が始まる前にB型肝炎の予防接種を受けています。B型肝炎ウイルスは感染力が非常に強く、感染すると一部の感染者では劇症性肝炎を起こし、肝臓が破壊され死に至る場合もあるからです。予防接種をしてもまれに抗体が作られずに免疫を獲得できない人もおられますが、現状ではほとんどの方は済んでいるはずです。

 一方、歯科助手さんでB型肝炎の予防接種を受けている人はまずいません。

 普段からグローブを着用し、治療に使用した器具の洗浄は自動洗浄機を使うなどしていても、片づけの際に感染性廃棄物などに触れる機会や、針刺し事故などを起こす可能性もありえます。近頃は小児科でも幼児を対象にB型肝炎の予防接種を勧められます。集団生活を始める前に(幼稚園や保育園に入園前に)感染しないようにとの配慮からです。医療に従事するなら最低限必要な予防策でしょう。私から「B型肝炎はどういう病気なのか」よく説明した上で、納得して予防接種を受けに行ってもらいます。インフルエンザのように1回ではなく、少なくとも3回は通院しなければならないため、少し面倒ではありますけども…。

 先生方の中には「なぜそこまでしなけりゃいけないんだ?」というご意見、医療機関の経営が厳しい中で、スタッフ全員の検査や予防接種費用まで負担するのは難しいという経営的な側面からの反対意見もあるかもしれません。しかしながら医療現場において優秀なスタッフは代えがたい宝であり、その重要な財産を守るのも医療機関の管理者の務めではないでしょうか?



<参考資料>
1.国立感染症研究所HP 「B型肝炎とは」 http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/321-hepatitis-b-intro.html
2.独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センターHP http://www.kanen.ncgm.go.jp/forpatient_hbv.html
3.一般社団法人日本環境感染学会 「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=106

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