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美味しい素麺の選び方

2018年8月29日

テーマ:素麺の美味しい食べ方

コラムカテゴリ:くらし

暑い季節の冷たいそうめんは日本の夏の鉄板メニューではないでしょうか。寒い時期は温かいにゅうめんとして年中楽しめるので、素麺は家庭料理の強い味方ですね。日本で長い歴史をもつ素麺は製法や種類、産地がたくさんあるので、今回は素麺の選び方についてご紹介します。

手延べ素麺と機械式の素麺の違いを知って選ぶ

素麺はどれも同じように見えるかもしれませんが、製造工程によって味や麺の硬さ、口当たり、のど越しなど違いがあります。

よく耳にする手延べ素麺の「手延べ」とは、手で延ばして細く加工する素麺のことです。
小麦粉に水と食塩を混ぜて、食用油を塗りながら丁寧に延ばしていきます。その時にひねりを加えながら延ばし、熟成させる行程を繰り返していきます。すると、タンパク質の一種であるグルテン組織が均一に形成されるので、ほどよい弾力のある麺に仕上がります。作り直しができず、手間ひまをかけた職人技によるため機械式の製麺に比べると割高になるのですが、「手延べ」と表記されている素麺は一定の基準を満たした証です。

機械式の製麺は練った生地を機械で板状に平たく延ばし、切り刃で線のようにカットしてから機械乾燥を行います。手延べに比べると延ばしが少なく、グルテン組織にばらつきができるので、手延べのようななめらかさやコシの強さは劣りますが、大量生産できるため価格が比較的リーズナブルです。

高級品の細麺と味わい深い太麺、新物(しんもの)と古物(ひねもの)の違いで選ぶ

手延べ素麺は細い麺ほど高級品で、JAS規格によると素麺の定義は1.3mm未満となっています。ですが中には0.55mmとさらに細い手延べ素麺もあります。

細い麺ほど高級品とされていますが、細いから美味しいというわけではなく、味は好みによると思います。太い麺はもっちりとして小麦の香りが強く、味わいも深いと言われているので、ぜひ食べ比べてご自分の好みで選んでいただければと思います。

また、素麺には新物(しんもの)と古物(ひねもの)という違いもあります。
素麺は製麺に適した気候の秋から初春にかけて製造されるのですが、製造されてすぐに販売する物が新物(しんもの)です。新物に対して古物(ひねもの)は、その後も1年間熟成させて翌年の3月から販売する物です。さらにもう1年熟成させた翌々年3月から販売する物は大古物(おおひねもの)と呼びます。

そうめんは年月が経過すると麺が閉まり、コシが強く、ゆで伸びしにくくなります。大古物はさらにしっかりとした歯ごたえが楽しめます。

とはいえ、熟成期間が長ければいいわけではなく、製造後4年以上過ぎると小麦の風味が損なわれるため、食べ頃は製造後2~3年までと言われています。

一般的に熟成期間が長い物は高級品とされるため、贈答用には古物や大古物が選ばれています。

それぞれに味わい深い、素麺の歴史ある産地で選ぶ

歴史が古い素麺の産地は「三輪そうめん」「播州そうめん(揖保乃糸)」「小豆島そうめん」「島原そうめん」「半田そうめん」「大門そうめん」があります。

「三輪そうめん」はそうめん発祥の地とも言われる奈良県桜井市の三輪地方のそうめんで、約1200年の歴史があります。寒い時期限定で製造され、塩分が少なく、麺は細く、熟成されたからこそ生まれるコシの強さと風味が楽しめます。三輪素麺の組合では農林水産省の手延べ素麺の品質基準よりもさらに厳密な独自の基準を定め、そうめんの細さでランク付けしています。毎年5月には天皇家に献上されているそうです。

「播州そうめん(揖保乃糸)」は約600年以上の歴史があり、播州地域では結婚式や誕生日などのお祝いに「鯛そうめん」を食べるそうです。熟練された職人による手延べ素麺で、熟成と縄状に麺によりをかけて伸ばす作業を繰り返して作られます。ゆで伸びしにくく、つるんとした食感とコシと歯切れの良さを味わえます。

香川県の小豆島で生産されている「小豆島素麺」は、約400年前にお伊勢参りの帰りに奈良県の三輪そうめんの作り方を習って帰った人が広めたことが始まりと言われています。麺の生地を延ばす時に、100%純正の天然のごま油を使っているため、少し黄味を帯びています。酸化しにくく保存性が高いのが特徴です。風味も他の産地の素麺とは異なった独特の味わいがあり、弾力があります。

長崎県の雲仙岳の湧き水と質の高い小麦で作られる「島原そうめん」。歴史は400年とも350年とも言われています。つるつるとしたのど越しとコシの強さが特徴です。長時間煮ても煮崩れないので、にゅうめんや鍋の〆にも使われます。炒めて食べても美味しいので、ソーメンチャンプルーに適しています。

徳島県の「半田そうめん」は約300年前に物流拠点の小野浜港から鳴門の撫養方面へ半田漆器などを運ぶ船の船頭集が食べるためや農家の人々が副業として作ったことが始まりと言われています。
冷や麦と同じ1.7mmの太さで、モチモチとした食感が特徴です。

富山県の大門地方にそうめん作りが伝わったのは約160年以上前の歴史がある「大門そうめん」。江戸時代後期に村人のひとりが能登の蛸島で加賀藩の御用素麺の作り方を習ったことが始まりと言われています。細く長い麺を半乾きの長いまま丸めて和紙で包むことから「丸まげ素麺」とも呼ばれる珍しい形状の素麺です。他の産地の素麺と比べて油を使う工程が少なく、しっかりとしたコシと長さが特徴です。そのため、麺をふたつに割ってゆでます。

それぞれ歴史ある産地ならではの味わいや特徴があるので、ぜひ好みを見つけてみてください。

この記事を書いたプロ

安藤康典

そうめん作りのプロ

安藤康典(株式会社安藤商店)

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