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中島正晴

住む人が笑顔で暮らせる家づくりを提案する建築のプロ

中島正晴(なかじままさはる) / 一級建築士

有限会社 中島建築設計事務所

コラム

今冬の大雪、融雪槽、重宝しています。

2013年3月9日 公開 / 2014年7月4日更新

テーマ:新築 リフォーム 除雪

コラムカテゴリ:住宅・建物

 平成元年に私の会社の入っている事務所を建てたときに、融雪槽もいっしょに設置しました。コンクリート土管を縦に立てて、底に電熱ヒーターがあるタイプの融雪装置です。当時、戸田建設と北電が共同開発したものということで、たまたま営業に来た営業マンの方の話に興味をもって使ってみたものです。

私の事務所の駐車場に設置の直径1.5mタイプのもの。通常蓋は半分開けて雪を投入しますが、大雪のときは、蓋を全部はずして投入するようにしています。
融雪槽 直径1.2m 事務所前

昭和63年竣工の住宅(融雪槽は平成元年施工)に使われている直径1.5mタイプのもの




 もう25年使っているわけですが、壊れたことはなく、順調に使い続けています。現在は、改良をかさねて「ほっとけーる」という商品名で売られているようです。ほっとけばとける。というなんともニヤッとするネーミングです。
 
 私のところのものは、その初期タイプということで、電気代が現在売られているのものよりも高いようなのですが、それでも他の融雪装置と比べると安いのではないかと思っています。車3台分の駐車場(7.5m×5m)とその前の歩道2mくらい(20cmぐらい積もったときは歩道の雪は入りません。)の雪を朝、一度に入れて、その融雪槽満タンにするのですが、だいたい夕方5時頃には全部融けている感じです。その後、夕方、降り積った雪は7時頃会社を退出するときにもう一回融雪槽に入れておくと、朝までにはきれいに溶けています。この融雪槽がなかったら、雪の捨て場がないので、やはり設置しておいてよかったと思っています。

 事務所の融雪槽の大きさは、直径(内径)1.5m深さ約1.8m、容積約3.2㎥です。
北電との契約電力は4KW 契約種別はホットタイム19(一日24時間の内、21時~翌日16時まで19時間通電)です。除雪面積は敷地内37.5㎡、歩道18㎡合計52.5㎡。
今年の電気使用量と電気代を調べてみました。
12月分(11月7日~12月5日)90kwh 1,746円
1月分(12月6日~1月7日)706kwh 9,861円
2月分(1月8日~2月5日)643kwh 9,318円
3月分(2月6日~3月6日)606kwh 9,009円でした。
月1万弱というところです。シーズンということで言えば、後もう一回9,000円位かかって、トータル4万円弱というところでしょうか。

住宅の方も事務所と同じ、直径1.5m、深さ1.8m、容積約3.2㎥です。
契約種別 ホットタイム19 契約電力4KW
除雪面積は、敷地内13.5㎡、前面道路2m幅18㎡、合計31.5㎡

2月分(1月8日~2月7日)609Kwh 8,983円           
3月分(2月8日~3月8日)544Kwh 8,393円
です。雪の投入量の差で少し電気代は変わるようですが、投入量を少なくしても電気代がぐっと
安くなるものではないようです。
 
 現在のものとの違いですが、私の事務所に設置したものは、融雪水の排水は地下浸透式なのですが、現在のものは、排水ポンプによる自動強制排水となっているようです。融けると電気が自動的に止まる仕組みもあるのかもしれません。

 現在のものは、
 1.2m角深さ約1.8mのもので積雪20cmを想定して、25㎡用タイプ 12月~3月 1シーズン1万7千円
 直径1.68m、深さ2.3mのもので、積雪20cmを想定して、52㎡用タイプ 12月~3月1シーズン3万4千円
 とホームページに書かれていました。

 現在の製品の52㎡タイプは私のところの丸型のものと容量としては大きく、私は車3台分は大丈夫と思っているのですが、歩道の雪もしっかりと一度に入ると思います。
 
 車1台分を3m×6mという設計標準で考えると1台18㎡、2台36㎡、3台54㎡。2.5m×5mという最少寸法で考えると1台12.5㎡、2台25㎡、3台37.5㎡ということになります。除雪面積を考えるときは、敷地内だけでなく車の出入りもあるので、敷地前の歩道や道路の除雪も少し計算に入れておかなければならないと思います。道路の除雪は市役所でしてもらうという考え方もありますが、実際、きれいに排雪はしてくれないので道路も除雪しないと、車の出入り支障をきたします。
 
 省エネルギーを暮らしのいろいろなところで、していかなければならない昨今ですが、雪の処理には雪堆積場がない場合、エネルギーを使わなければならず、悩むところです。

 駐車場の融雪に換気排熱を利用する試みも出てきています。住宅用では、北欧住宅研究所と伊藤組土建が共同開発した「ゆうらく」というシステムで、第3種集中換気から出てくる室内の暖気で不凍液を温め、温水パイプによって、ロードヒーティング他の熱源に使うというものです。今後は私も採用を検討していきたいと思っています。

 また、知り合いの設計事務所では、駐車場横にコンクリート枡を土中に埋め、そこにダイレクトに換気の暖気をパイプで送り、それで雪を解かすというしくみもやってみているところもあります。この方式だと、私の事務所にある融雪槽の中に直接、パイプを挿入して換気の排気を送ると電気代の節約になりそうだなと思うのですが、事務所では夜、無人で、暖房機を切って退社するので、元のエネルギー不足で採用できません。
 
 ともあれ、いろいろな工夫を勉強しながら、社会全体の省エネルギーに寄与できればと思います。

中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com

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