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コラム

神楽の伝統と古代の防災

2014年10月21日

コラムカテゴリ:法律関連

10月18日土曜日は、口田東小学校で行われた、はすが丘自治会主催の秋祭りに行かせて頂きました。
バザーと神楽を楽しみました。
自治会の皆様にとてもよくして頂きました。

神楽と言えば、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)ですが、これは日本最古の防災の話です。
天照大神との争いから高天原から出雲に降りた須佐之男命(スサノオノミコト)は、泣き続ける老夫婦に会います。
話を聞くと、毎年、首が八つに別れた蛇の八岐大蛇が、村の娘を奪いに来て、今年は夫婦の娘、奇稲田姫(クシナダヒメ)の番だとのこと。
須佐之男命は、八岐大蛇に酒を飲ませて眠らせて退治し、その尾から天叢雲剣を取り出します。

これは、梅雨時の斐伊川の氾濫を、治水工事で防いだ話という説が有力です。
毎年娘が奪われたというのは、川の氾濫、すなわち八岐大蛇をなだめるために、若い娘が人柱にされていたと考えられます。
奇「稲田」姫は、川の氾濫で奪われる稲と田んぼを象徴しています。
八岐大蛇は、大雨で川が氾濫したときの象徴で、斐伊川の上流の鳥神山などで多々良製鉄が行われていたために、燃料として木が伐採され、洪水や土石流が多発したのだと思います。八岐大蛇の腹は赤いとのことですが、川が砂鉄を含むことを示唆したと解します。
八岐大蛇に酒を飲ませて眠らせるのが、治水工事のことでしょう。
八岐大蛇の尾から鉄剣が出てくるのは、上流で製鉄をして鉄剣を精製していたことを示すと思います。

古事記の神話がそのまま史実とは考えませんが、なんらかの史実や、人びとの営みを神話化していると思います。
かつて、梅原猛氏が、出雲王朝はなかったとしましたが、出雲の荒神谷遺跡で、それまで見つかっていた以上の大量の鉄剣がみつかるなど、出雲王朝の存在は肯定されるようになりました。
大国主の出雲の国譲りも、政治的事件の象徴として興味深いですが、それはまた別の機会に触れるとして、古事記の地上の神話の最初のエピソードが災害との戦いをモチーフにしていることの意義に考えさせられます。

広島市の方によると、神楽が盛んな地域は、過去に災害があった場所が多いとのことです。
災害を天の神がなした術としながらも、神を楽しませて災害を防ごうと、人智を巡らせたのかもしれません。
そして古事記では、智恵を働かせ努力して災害を防ぐ教訓を残したのかもしれません。

この記事を書いたプロ

今枝仁

被害者救済、弱者を救う法律のプロ

今枝仁(今枝仁法律事務所)

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