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インフレに備えるにはどのようにすればいいのか?

2022年3月2日 公開 / 2022年4月22日更新

テーマ:資産運用&資産管理

コラムカテゴリ:お金・保険

今年(2022年)1月の米国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇し、約40年振りの高い伸びとなりました。
世界第1位の経済大国である米国の物価上昇は、米ドルが基軸通貨でもあることもあり、その影響は世界中に及ぶことになります。

日本は今のところ消費者物価指数は前年比0.2%(2022年1月)の上昇にとどまっていますが、菅義偉政権時代の携帯電話通信料引き下げの影響があってのことで、この引き下げの影響が約1.5%程度の引き下げ効果をもたらしているといわれているため、実質的には2%近い物価上昇が起きていると考えておいたほうがいいでしょう。

このように物価上昇圧力が高まっている中で起きたのが、ロシアによるウクライナ侵攻です。
ご存知の通りロシアは資源国であり、世界全体の生産量の内、原油は13%、ガス生産は17%を占めています。
ロシアに対する経済制裁によって、このような資源の供給に影響が及ぶことが予想されるため、今後はさらに物価上昇圧力が高まってくるのではないでしょうか?

保有資産の中に物価上昇に強い資産を組み込む

それでは私達生活者はどのようにインフレに備えればいいのでしょうか?
その答えとして、保有資産の中に物価上昇にも対応できる資産を一定割合組み込むことがあります。

一般的に物価上昇に強いと考えられている資産は下記の通りです。

株式

インフレにより商品の価格が上がるため、企業の売上や利益が向上して株価上昇につながる傾向があります。
但し、インフレに強い業種と弱い業種がある点は要注意。

商品(コモディティ)

原油や液化天然ガスなどのエネルギーは、物価への影響が大きい資産の代表格です。
また、金(GOLD)もインフレに強い資産です。



物価連動国債

物価の上昇率に応じて元金が増える国債。
受取利子と償還額が物価につれて動くため、インフレに強い金融商品です。
但し、物価が下がると利回りが低下するなど注意点もあります。

高金利通貨

金利水準の高い外貨に投資を行うことで物価上昇率以上の収益を獲得して、インフレに対抗する方法。
高金利通貨がターゲットになりますが、世界的な超低金利環境の中ではお勧めしにくい方法です。
かつてトルコやブラジルといった高金利の国々の債券を金融機関が積極的に販売しましたが、その後為替が大幅に円高方向に振れたことで、悲惨な運用結果になっているようです。
金利水準だけを見て安易に飛びつくと、後で痛い目をみることになりかねません。

不動産

賃料は物価と連動する傾向があるため、インフレによって不動産価値の上昇が期待できると言われており、実際に米国では賃料の上昇が消費者物価指数(CPI)を押し上げる大きな要因になっています。

但し、日本は金融緩和によって不動産価格が高騰している上に、急激なペースで生産年齢人口が減り始めています。
既に地域によっては空室率が相当高くなっていることから、賃料収入を期待して不動産投資を行っても、インフレ対策にならない可能性も高いのではないでしょうか?

リスク管理と各資産の特徴を押さえる

上記はいずれも元本割れしてしまう可能性があるリスク資産ですが、これらを保有資産の一部に組み込むことで、インフレに対抗することが出来ます。
その際の注意点ですが、リスク資産の割合が過多にならないように、保有している資産の規模や年齢などによって、どの程度までリスク資産を保有するかを検討することです。

また、たとえば景気の先行指標ともいえる株価は、物価や景気に先行するという特性があります。そのため景気回復の時期に優位な資産といえます。
その一方で、商品(コモディティ)は、農産物などは景気回復の時期に優位ですが、エネルギーなどは実際に需要が高まる景気加速期に価格が上がるという特徴があります。
また、物価連動債などは景気がピークを迎えた後の減速期に優位です。

このように各資産によって値動きのタイミングが異なるため、どれか一つに偏らせるのではなく、全体的にバランスよく保有していくことが大切になってきます。

日本の家計のインフレ耐性は、欧米に比べて弱い

私達日本人が好む預貯金や保険、また公的年金のような資産は、いずれもインフレに弱い資産クラスです。
そのため日本の家計のインフレ耐性は、欧米に比べて弱いと言われています。
20年近く続いたデフレ時代の弊害といえるものですが、何も対策をしないでいると保有金融資産の実質価値は下がっていく一方になってしまいます。
リスク資産への投資に二の足を踏む人がいることは理解していますが、エネルギー転換には時間がかかるためインフレが長期化する可能性が高く、もはや節約を頑張ればなんとかなるという段階ではありません。
比較的リスクが低い物価連動国債からでも構わないので、インフレへの備えを行ってみてはいかがでしょうか?

【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)

ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)

<プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。

<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか



2014年6月30日 RKB毎日放送「今日感ニュース」


2022年3月1日 『Financial Adviser』2022年Spring号 
特集「定年前後のお客様の運用相談に強くなる」に寄稿(8ページ執筆)

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