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鈴木敏広

長く愛される住まい作りにこだわる一級建築士

鈴木敏広(すずきとしひろ) / 一級建築士

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コラム

熊本地震で分かったこと⑬~天王寺谷棟梁の言葉

2017年4月25日 公開 / 2017年5月1日更新

テーマ:地震

コラムカテゴリ:住宅・建物

私のこのコラムをずっと読んでいる人は、天王寺谷棟梁がどんな方か知っているかと思いますが、簡単にどんな方かを書きます。
天王寺谷棟梁は1910年生まれ、神戸市の大工の棟梁でした。1995年の阪神の地震の時、東灘区を中心に、棟梁の建てた木造住宅が169棟ありましたが倒壊は0でした。棟梁の建てた家は、年齢から2000年基準どころか1981年以前の基準の家がほとんどでした。コラム「危ない吹き抜け⑥」(コラム;危ない吹き抜け⑥ 参照)に書いたように、1981年基準より前の基準は耐力壁の量が4~5割少ない基準です。棟梁は、自ら考えて耐力壁の量を増やしていたようです。

その棟梁に倒れなかった理由を聞いたところ
「特別なことはしてしまへん。師匠に教わった通り、基礎に柱を固定し、通し柱を多く入れ、まんべんなく筋交いを入れただけです。」と答えました。この棟梁の言葉の中にこそ、地震に強い家の秘密が入っていると私は思います。

熊本地震で分かったこと⑬

棟梁の言葉は大きく三つです。
まず、「まんべんなく筋交いを入れた」ということは、バランスよくたくさん筋交いを入れた壁を配置したことになります。「基礎に柱を固定し」は、柱を基礎に固定することで地震などの力が基礎に伝わることになります。そして、一番注目するのは「通し柱をたくさん入れ」という言葉です。

通し柱とは、2階建ての家の場合、一階から二階まで(基礎から屋根の梁まで)通っている柱です。普通は約6mの長さがあります。通し柱をたくさん入れると、一階と二階の壁が上下に通ることになり、通し柱が多い家は直下率が高くなることに繋がります。

次回は、 熊本地震で分かったこと⑭~通し柱不要論 です。

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