医療保険で美容を?ヒルドイド問題について【山梨 漢方 さわたや薬局】
日本の医療費は、なぜここまで増えたのか?
今回は、最近ちょっと気になったニュース「OTC類似薬の自己負担増」という話題について考えてみたいと思います。
この話題についてですが、まずはそもそも、OTC類似薬に負担増という事をしなくてはいけないほど逼迫した日本の医療費について考えてみたいのですが・・・・
いったい「日本の医療費って、今どのくらい増えているの?」ということから触れたいと思います。みなさんもザックリと
「日本の医療費って今すごいんでしょ?」
っと各種メディアの報道を見て思っているかもしれませんが
実際にどれぐらい増えているか?
実数で見るとより実感できると思います。
医療費は、40年でどれくらい増えたのか?
僕が調べた日本の医療費の中で比較しやすかったのが、昭和60年(1985年)以降のデータです。
1985年(昭和60年) 国民医療費:約 16兆円
この頃、僕は10歳でした。
それがどうなったかというと…
1990年(平成2年):約20兆円
1995年(平成7年):約27兆円
2005年:約34兆円
2015年:約42兆円
2023年(令和5年):約 48兆円
つまり、40年で医療費は約32兆円増え、ほぼ3倍になっています。
32兆円、ッと言ってもイメージわかないと思いますが、日本の教育、科学技術などに使われる文部科学省の予算が2023年で約5兆円
防衛予算が約6兆円
この状況を見ると医療費の大きさがわかると思います。
「医療費が増えている」というイメージはあっても、ここまで増えているということを数字で見ると正直驚きますよね。
物価が上がっていることも事実ですが、40年前と比べても多くのものがさすがに3倍にはなっていませんよね。
それではここからは改めて医療費高騰の原因を見てみましょう。
なぜ、ここまで医療費が増えたのか?
理由はいくつかありますが、まず一番大きいのはやはり高齢化です。
● 高齢者の割合の変化
1985年:65歳以上は人口の約11%
2023年:65歳以上は約30%
3人に1人が高齢者、という時代です。
医療費は、年齢が上がるほど一人あたりの金額も増えていきます。
0〜64歳:年間 約17〜25万円
80代後半:年間 100万円前後
高齢者が増えれば、医療費が増えるのは、ある意味当然の流れなんですね。
高齢化「だけ」が原因ではない
ただ、医療費の増加は高齢化だけでは説明できません。
医療技術の高度化
がん治療や先進医療の高額化
遺伝子検査・精密検査の普及
手術・検査1回あたりのコスト増
これらも確実に医療費を押し上げています。
さらに、
糖尿病
高血圧
脂質異常症
といった生活習慣病の増加も大きな要因です。
薬が増え、通院が増え、結果として医療費が積み上がっていく。今の社会構造では、医療費が「自然に増えてしまう仕組み」になっているとも言えます。
医療費の問題が難しい理由
ここが一番難しいところですが、
「お金がかかるから、これ以上治療はしません」
とは、絶対に言えませんよね。
医療は命に関わるものだからです。
だからこそ「削減しなければいけない」でも「簡単には削れない」
という、非常に難しい問題になっています。
それでも、今なぜ議論が起きているのか
医療費は、2005年の時点でも「削減が必要だ」と言われていました。
それでも20年で24兆円 → 48兆円倍に増えています。
このままでは制度が持たない。そうした危機感の中で出てきたのが、今回のテーマでもある
「OTC類似薬の自己負担増」
という議論です。
漢方の知恵が、今あらためて注目される理由
ちょっと話がそれますが、医療費が高騰している今だからこそ、改めて大切だと感じることが
病気になってから治す医療だけではなく、
体調を崩さない
未病の段階で整える
健康寿命を伸ばす
こういう本当に当たり前のことが大切だ、ということです。
要するに
「病人減らしましょう」
ってことです。
今はある意味「漢方ブーム」と言っていいほど、薬膳や漢方に関する本が多数出版されています。
漢方家の端くれとしては非常に嬉しいことなのですが、医療費の高騰、そして医療は発達しているが病人が全く減っていない、という事実に直面し
「未病先防」
病気になる前に未然に防ぐ日々の養生を大切にするという漢方の考え方が今、あらためて注目されていると思います。
病人を減らす、病気になっても治す力をつけておく
これを漢方的ご自愛を活用して広めていきたいと思っています。
次回は、今回触れられなかった
「OTC類似薬とは何か?」「なぜOTC類似薬の自己負担増が議論されているのか?」
について、もう少し具体的に考えていきたいと思います。
医療費の問題は、決して他人事ではありません。一緒に、考えるきっかけになれば嬉しいです。
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