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脂肪の種類とハーフボイルドワンダーランド【異所性脂肪対策とは?】山梨 漢方 さわたや薬房

早川弘太

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テーマ:漢方的ご自愛短編小説

その日、いつも明るい彼女が珍しくダイニングテーブルで一枚の紙を見ながらため息をついていた。それは会社の健康診断の結果だった。

「……脂肪肝、だって」そう彼女は呟いた。

彼女はスレンダーだった。

長い手足、無駄のないシルエット、僕は彼女の容姿だけを好きになった訳では無いが、僕の心を大きく揺さぶったのは確かだ。

その、まるでハリウッド映画から抜け出したような均整の取れた佇まいの彼女が脂肪肝だって・・・・

僕もピンとこなかった。

「気になるような脂肪なんて全然なかったんじゃないの?」

僕が思わずそう言うと、彼女は苦笑いしながら

「私もそう思ってた。でも、どうやら脂肪って、見えたり、触ったりできるような場所だけにあるものじゃないみたい」

彼女はカバンからノートを取り出した。

そのノートにはびっしりと手書きのメモが書き込まれていた。彼女は興味のあることに対しては徹底的に調べるタイプで、その姿勢は仕事にも生かされていた。(彼女は会社ではナンバーワンの営業なのだ)

僕はコーヒーを淹れながら、ノートを広げ始めた彼女の話に耳を傾けた。

「脂肪にはね、3種類あるんだって」

彼女はページをめくりながら話し始めた。

「一つ目は皮下脂肪。これは二の腕とかお腹の下につく、ぷにぷにしたやつ。これはまあ、知ってるわよね。私も昔はダンスやってたから、これを気にしてた時期もあったわ。」

「うん、僕もその脂肪には少し心当たりがあるよ。特に正月明けにはね」

彼女の顔にやっと笑顔が戻ってきた。

「でもね、皮下脂肪自体は健康リスクとしては意外と低いんだって。

ただ、なかなか落ちにくいのが難点で。女性は特にカラダの構造上、男性に比べると付きやすいんだって。不公平よね・・・」

笑顔だった彼女の顔がまた曇り始めた。

女性に皮下脂肪がつきやすいのは僕のせいじゃない、と言いたいところだったが、世の中は往々にしてそういうことを言うと余計ややこしくなるものだ。

僕は黙って頷きながら彼女の話を引き続き聞いた。

「で、次が内臓脂肪。こっちは腸のまわりとかにぐるぐるとつく脂肪。男性に多いらしいよ。『ぽっこりお腹』の正体はだいたいこれ。生活習慣病と関係が深いんだって」

っというと彼女は僕の腹部に視線を投げかけた。射るような鋭い視線だ。アラフィフになってくるとお腹周りが少しでてくるのは

棚に並べられて時間が経過したレタスがしなびていくのと同じぐらい仕方ないことなのだ。僕だって好きでこんなお腹になったわけじゃない。君だって脂肪肝じゃないか、と言いたい気持ちを抑えて

世の中には口に出すと物事をややこしくするある言葉が一定数あるのだ。

「なんだか、脂肪にも性格があるみたいだね。見える奴と、見えない奴と」

「そう。そしてね──私が今回言われた“脂肪肝”の原因になってるのが、次に登場する第三の脂肪なのよ。』

第三の脂肪・・・・第三のビールとか、第三の男とか、第三弾登場!などは聞いたことがあったが

第三の脂肪なんて耳にしたのは初めてだ。

彼女はその言葉を口にするとき、珍しくゴクリとつばを飲み込み、いつもよりかなり慎重な口ぶりだった。

「異所性脂肪?」

「そう。第三の脂肪は”異所性脂肪”って言うのよ。知っていた?』

彼女の癖だ。彼女は明らかに僕が知らないであろうことを言う時、少し鼻をひくつかせて、広角を少し上げながらちょっと自慢げに言うのだ。いささか嫌味っぽい感じもしないではないが、その表情は意外とチャーミングで、僕は嫌いではなかった。

「普通、脂肪って“皮下”とか“内臓”っていう“保管場所”にしまっておくものなんだけど……その場所が満杯になったり、うまく処理できなくなったりすると、“本来脂肪があるべきじゃない場所”──つまり肝臓とか、膵臓とか、心臓とか……そういう臓器にまで、しみ込んでくるんだって」

僕は淹れたコーヒーの湯気の向こうに、彼女の横顔をぼんやりと見ていた。

「じゃあそれって見た目じゃ分からないってことなんだ。君みたいにスレンダーな体型でも、知らないうちに脂肪がついて脂肪肝になっているってこと?」

彼女は静かに頷いた。

「でもね、色々調べて気がついたことがあるのよ。脂肪イコール悪者、ってイメージじゃない。でも実は脂肪って、私たちのカラダを色々なものから守ってくれる、実はとても大切なものなんだって」

彼女はそう言って、メモ帳の一番上のページを僕に見せてくれた。そこにはこう書かれていた。

【脂肪の主な働き】

エネルギーの貯蔵庫

臓器のクッション

体温を保つ断熱材

ホルモンの材料

「でもそれが必要上にあふれてしまうと、今度は静かに、私たちを内側から蝕んでいく。脂肪って、優しくもあり、怖さもある、ありがたくもあり、迷惑でもある」

まるで親切心や恋愛と似ている、と僕は思ったがまた話がややこしくなるので、恋愛とか親切心とかっっていう言葉は心に納めておいた。

その夜、僕は冷蔵庫のドアを開けて、ジャムの瓶のラベルを読みながら考えていた。脂肪というものは、どうしてこんなに誤解されやすいのだろう。そして、あれだけスレンダーな彼女の肝臓になぜ脂肪がついてしまったのだろうか?

彼女のカラダに一体何が起きているのだろうか?

僕の脂肪を巡る冒険が始まった。

【解説】脂肪というと「目で見える」「触ることができる」皮下脂肪や内臓脂肪のみが注目されがちですが、本来ついてはいけない場所についてしまった「脂肪肝」などの異所性脂肪が実は一番注意が必要なのです。

今回は脂肪の種類と働きについてお届けしましたので、次回は「異所性脂肪がつきやすい体質」「異所性脂肪を防ぐご自愛法」などについてお届けいたします。

なぜ、主人公である「僕」の妻、彼女は異所性脂肪がついてしまったのでしょうか?次回をお楽しみに。

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専門家

早川弘太(販売職)

株式会社 沢田屋薬局

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