漢方的食養生で大切なこととは?【漢方的食養生】
彼女は、豆腐の話をした。
正確に言えば、大豆の話から始まって、それが豆乳になり、豆腐になるという話だ。
「どう食べるか?によって食材の働きって変わるものなのよ」
彼女は僕が聞いているか?聞いていないか?
そんなことはお構いなしに話し続ける。
「たとえば大豆はね、そのままだと胃腸を整えてくれる食材だと薬膳では考えるの。便秘にもいいしね。
でも、豆乳にすると大豆として食べるときに比べるとカラダに潤いを与えるようになるの。
だから口が渇いたり、咳が出たりするときには大豆として食べるよりも豆乳の状態で取ったほうがおすすめ、っということなのよ」
「なるほど」
と僕は小さく、ささやかな声を出した。
目の前には豆腐の味噌汁が置かれている。
「でも、それだけじゃないのよ。その豆乳にニガリを加えて豆腐にすると、性質がまた変わるの。
大豆や豆乳は
”平性”
って言って、冷たくも温かくもならない食材って薬膳ではいうのだけれど、それが豆腐になると
“寒性”
になって、実はカラダを冷やすようになるの」
「豆腐はカラダを冷やす・・・・」
そう僕は目の前にある豆腐入りの味噌汁を眺めながら呟いた。
今まで豆腐がカラダを冷やす食べ物だなんて考えたこともなかった。
そして彼女に、
僕にしてはいささか珍しいことなのだがこんなことを聞いてみた。
「豆腐は冷やす食材だけど、湯豆腐や、こうやってあたたかい味噌汁に入れればその冷やす力がマイルドになるのかな?」
「そうなのよ。
冷やす特徴をもった食材でも温めると、冷やす力が和らぐの。
要するに食材だけでなく、
どう食べるか?
体調によって調理法や食べ方を変えるってことが薬膳では大事なのよ」
彼女はそう言いながら豆腐を箸でつまみ
そっと味噌汁の中に沈めた。
豆腐はぷるぷると揺れて、それから味噌汁の温度に馴染みながら沈んでいった。
「果物もそうよ」
と彼女は続ける。
「例えば柿はカラダを冷やす寒性だから、食べすぎるとお腹を壊すって昔から言われてるの。
じゃあ、体が冷えるからって冷え性の人や胃腸が弱い人は柿を食べてはいけないか、って言うとけっしてそんな事ないの。」
呆然とする僕を尻目に彼女は話し続ける。
「冷やす果物だったら、焼いて食べちゃえばいいのよ。
焼いた柿は甘さが増すし、カラダを冷やしにくくしてくれるの」
「焼いた柿を食べるだって?」
僕はまるで初めて象工場がこの世に存在していると知ったときと同じような驚きを感じ、思わず声を出してそう彼女に尋ねた。
「そう。トースターで焼くの。
ほんのり甘くなって、ねっとりした食感になるのよ。美味しいのよ。
梨もそう。そのまま食べるばかりではなく
蒸したり、レンチンしたりすると冷えにくくなるのよ。
リンゴだって焼いたり、煮たりして食べるでしょう?」
確かにその通りだ。
果物=生で食べるもの
っというのは僕の固定観念にすぎない。大阪の人はジャイアンツが嫌い、というぐらいの固定観念だ。
固定観念は人をダメにすると常日頃思っているのだが、果物に関しては完全に固定観念を僕は持ちすぎていた。
僕は彼女のそんな話を聞きながら、温かい味噌汁をすすった。
なるほど、食べ方次第で食材の性質が変わるのか。
そう考えると、世界は少しだけ違って見える。
「なんとなく果物は生で食べるものだって思いがちだけど、焼いたバナナなんてとっても美味しいのよ」
「ホットフルーツか……」
「カラダが冷えやすいなら、焼いた果物にシナモンパウダーをかけてもいいわ。香りが立って、すごくいいのよ」
彼女はふっと笑った。
僕は、その笑顔を見ながら、次に焼くべき果物について考えていた。
《解説》今回は食材の特徴だけでなく、調理する大切さについてお届けしました。
〇〇という食材は〇〇の特徴だから、と食材の特徴だけで、過剰に食べたり、避けたりする必要はありません。
「何を食べるか?」よりも「どう食べるか?」がとっても大切なのです。
日々の食事は最高のご自愛。
季節や体調に合わせて食材と調理を楽しみながら活用しましょう。
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