目のトラブルは目だけの問題じゃありません【山梨 漢方 さわたや】
【体質別の目のケア:漢方的目の養生法】
目の病気とその原因についてお届けしてきました。目の病気になる仕組みを知ったところで、そうならないようにすることと、すでになってしまっている人も悪化させないように維持することはとても大切です。
西洋医学では症状を抑えることを得意としていますが、日頃からできるカラダの御手入れ、目のお手入れは『カラダの弱いところを強くする』という考えの漢方的御手入れがおすすめです。
目の弱りやすい体質は漢方的には3つの大きな種類に分けられます。(漢方診断的にはもっと細かく分けられますがそれは個別相談にて)
《肝血虚タイプ》血液不足タイプ
血の不足が目の疲れの原因になるタイプ。
女性は要注意。目の使い過ぎで血を消耗したり、月経や出産、病気などで血が必要以上に失われたりすると、肝に蓄えられる血の量が不足する「肝血虚」の状態に。
また、先天的な虚弱体質、ストレスや心身の疲労、胃腸障害、過度なダイエットなども血の不足につながります。
血が不足すると目に十分な栄養が行き届かず、視力の低下、目の疲労、乾燥といった症状が現れます。
肝血虚の状態になると、目の症状のほか、めまい、手足のしびれや冷え、不眠、顔色につやがない、月経の量が少なく、髪が乾燥してパサつく、髪が薄くなる、といった症状が見られるので、気になる症状がある人は要注意。また、女性に多く見られる症状で、特に生理時には強く症状を感じることもあります。
このタイプの養生は、まず肝を補って機能を高めることが大切です。血を増やして流れをなめらかにし、目に十分な栄養を与えるようにしましょう。
主な目の症状:視力の低下・目の疲労・目の乾燥
《肝鬱タイプ》イライラなどストレスタイプ
ストレスやイライラが肝の機能低下につながるタイプです。
ストレスが溜まったり、イライラや鬱気分が続いたり。そんな精神トラブルを抱えていると、全身に栄養を運び、老廃物を回収する肝の機能が低下し、気のめぐりが滞ってしまいます。その結果、目に精気が送られなくなり、目の痛みや疲れやすさ、視力の低下といった症状が現れます。
精神的なストレスが強くなるほど、目の症状も強くなるのが特徴で、目の症状のほか、頭痛や肩こり、イライラしやすい、不眠、不安感、月経痛、月経不順といった症状を伴います。
肝鬱タイプの養生は、肝を養い、ストレスを発散することで肝の機能を回復することが基本。ストレスやイライラを感じやすい人は、うまく発散して溜め込まないように心がけましょう。
主な目の症状:目の痛み・目が疲れやすい
《肝腎陰虚タイプ》
中高年に多い症状。慢性病や老化で腎が弱い、慢性病や老化、長引く肝血虚の状態などが原因で、肝と腎の陰液(体液)が消耗しているタイプ。白内障など目の病気にかかりやすくなり、症状が長期化することもあります。目の疲労感やかすみ、視力の低下など、眼精疲労の症状がはっきりと現れるのも特徴。
それに伴って、腰痛や耳鳴り、難聴、物忘れ、手足のほてり、口の渇きといった症状が現れます。
肝と腎は「肝腎同源」といわれるほど密接な関係にあります。肝は腎に養われていて、肝の機能を回復するためには、腎も強くしなければなりません。そのため、肝腎陰虚タイプの養生では、肝と腎、両方の陰液を補いながら、機能を高めます。
このタイプは、特に閉経後や50歳以上の中高年に多く見られます。思い当たる症状がある人は、日頃の生活の中で肝腎を整えるよう心がけ、目の働きを高めましょう。
主な目の症状:
目の疲労感・飛蚊症
視力低下・目のかすみ
目の症状が長期化する
《目を休め・カラダを休める習慣と良い血流を》
目の疲れや痛み、充血といった症状は、心身が疲れていることを知らせるシグナルです。症状が重くなり頭痛や肩こりなどを引き起こす前に、普段の生活の中で目の疲れをやわらげる習慣を身に付けましょう。
まず、パソコンのモニターやテレビを見ていて疲れたなと感じたら、目を少し休めてください。窓から遠くを見たり、目の血行をよくするツボをマッサージしたりすると効果があります。仕事に追われていたり、テレビに夢中になっていたりするとつい見過ごしてしまいがちですが、意識して目の緊張をやわらげる時間を持ちましょう。
ストレスを溜めない工夫も大切。ウォーキングやストレッチで適度に身体を動かしたり、アロマオイルの香りでゆったりくつろいだり。心身ともにリラックスすることが、眼精疲労の予防につながります。
また、毎日の食事では肝や腎を補う食材を取り入れる工夫をすると同時に摂取した栄養素をしっかりと目に届ける良い血流を心がけましょう。サプリメントを摂取しただけで満足していてはいけません。肝と腎を強くすることは、白内障や黄斑変性症といった加齢による病気の予防にもつながります。いつまでも元気な目でいきいきと過ごせるよう、日頃の養生を心がけたいものですね。
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参考文献:ヘルスケア大学HP 参天製薬HP イスクラ産業HP 日本眼科学会HPより