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木下泰徳(きのしたやすのり) / 一級建築士

アップライフデザイン(カネカ建設株式会社)

コラム

耐震リフォーム~木造住宅の耐震基準にグレーゾーンがあります

2024年3月12日

テーマ:耐震リフォーム

コラムカテゴリ:住宅・建物

能登半島地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。

昭和56年(1981年)6月以降に建てられた木造住宅は、建築基準法の耐震基準を満たしていると思っている方は結構多いのではないでしょうか。
じつはそうではないのです。建築基準法の耐震基準は平成12年(2000年)にも改正されています。そしてわれわれの間では以前から、昭和56年~平成12年までに建てられた木造住宅の耐震性は、基準上グレーゾーンにあると考えられてきました。

グレーゾーンの住宅の特徴は、平成12年に建築基準法の耐震基準がどのように強化されたかを見ると良くわかります。具体的には以下のような点です。

●壁配置のバランスの確保
木造住宅の耐震性能は、地震力に耐える壁がどの程度あるかによって決まります。昭和56年の法改正では、その壁の量を増やしました。そして、平成12年の法改正では、壁の量はそのままですが、壁の配置バランスを考慮するように強化されました。地震に強い壁が建物の片側に寄っていると、そちら側はあまり動かない反面、反対側は大きく振られてしまいます。その結果、建物がねじれるように破壊されてしまう危険性があるのです。

●柱の柱頭・柱脚の接合方法を明確化
木造住宅の柱は、梁との接合部分に穴をあけ、そこに「ほぞ」と呼ばれる柱の出っ張った部分を差すようにして接合します。これを「ほぞ差し」と言います。ただそれだけでは、地震で揺れた際に抜けてしまい倒壊する恐れがあります。そこで金物を設置して「ほぞ抜け」が無いよう補強をします。その金物の設置基準が明確化されました。

●基礎を鉄筋コンクリートにするなどの仕様規定の拡充
平成12年築以前の住宅でも鉄筋コンクリート造の基礎はつくられていますが、仕様規定として明確にされたのは平成12年の改正時です。

グレーゾーンの住宅は上記のような点で基準があいまいだったために、耐震性能が劣っている可能性があるということなのです。もちろん基準以上の住宅も建てられているため、表現的にグレーゾーンとなってしまうわけです。グレーゾーンっていう表現は嫌な感じがしますよね。グレーならやっぱり白を目指すべきです。実際に熊本地震の際にはこの期間に建てられた住宅に多くの被害が出ているのです。



昭和56年以前に建てられた木造住宅の耐震診断・耐震補強にはほとんどの自治体が補助金を交付しています。一方、このグレーゾーンの住宅に対しては、これまで補助金を交付している自治体はごく少数でした。ところが令和6年度以降、補助金を交付する自治体が大幅に増えます。練馬区も予定をしている自治体の一つです。

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