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尾前美幸

契約者に寄り添う損害調査コンサルタント

尾前美幸(おまえみゆき) / 損害調査コンサルタント

尾前損害調査オフィス株式会社

コラム

屋根の被害で申請できなかった話

2019年12月4日 公開 / 2021年2月24日更新

テーマ:火災保険で申請できること

コラムカテゴリ:お金・保険

屋根などの目の届かない部分の修理は慎重に!

先日、お客様から「今回の台風で被害が出ていないか心配している知人がいるので、建物の調査をして欲しい」とご紹介がありました。
築約35年の瓦屋根のご自宅で、瓦屋根の漆喰の部分的な修理など、こまめにメンテナンスをされているお客様でした。

話しが少し変わりますが、瓦屋根の漆喰とは何かご存じですか?
瓦屋根の棟部分(屋根の頂上部分)や隅棟部分(屋根の頂上部分から軒先に向けて降りてきている棟)は、葺き土という土が盛られたところに瓦を乗せて、針金やビスなどで瓦を固定して施工されています。その葺き土が雨風によって崩れる事を防ぐために、葺き土の外側に施工してあるものを漆喰と言います。漆喰も経年劣化によって崩れてきてしまう為、メンテナンスが必要な箇所になります。(漆喰の耐用年数は20年くらいだと言われています。)

施工不良だと保険金がもらえない場合も!

話しは戻りますが、今回調査させて頂いたお客様のご自宅では、漆喰の修理を行っているにも関わらず、漆喰がボロボロに剥げてしまっている状況でした。建築当時のままの漆喰の状況であれば経年劣化による損傷の可能性が大きいですが、このお客様のケースは漆喰の修理を行っている為、経年劣化による損傷とは考えにくいという点で、今回の台風での被害で火災保険の申請が可能かどうか検討を行いました。
調査時は屋根に登る事が出来なかったので、別日に知り合いの屋根屋さん同席のもと、漆喰の損傷状況の最終確認を行いました。当初は台風の強風による被害だと考えていましたが、屋根屋さんとの共同調査の結果、メンテナンスを行った際の施工方法が悪い為、雨水が葺き土部分まで侵入し、漆喰が剥がれてしまっている可能性が高いことがわかりました。
本来であれば、劣化した葺き土・漆喰部分を取り除いたうえで、新しい漆喰を施工するのが正しい補修のやり方ですが、そのような適切な処置が行われず、古くなった漆喰の上に重ね塗りをするように施工してあったのです。

このような場合だと、台風での被害だと立証する事が困難になり、火災保険を申請したとしても、保険会社が今回の台風での被害(台風が原因でなくてもこのお客様の屋根の漆喰は剥がれてしまう可能性があるため)とは認めない可能性が大きいです。結果、屋根の漆喰部分の損害については保険金申請をせず、その他の風災、雪災、地震などのはっきりした箇所のみ申請することになりました。

このように、施工上の問題により、もしもの時の火災保険金が貰えなくなる事を防ぐために、お客様ご自身での工事内容(どこの部分をどの様な工法で修理するのか)の把握と、打合せ時の工事内容通りに工事が完了したかどうか(工事完了写真の提出)の確認が必要になります。

これから屋根の修理をされる際は、もし何かあった際に火災保険金が貰える適切な修理方法なのかどうかを十分に注意して下さい。!

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