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井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉(いのうえしょうや) / 塾講師

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

コラム

『普通科にこだわるのは本当に正しい選択ですか?』

2020年12月1日

テーマ:教育 受験 進路

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

コラムキーワード: 勉強法 おすすめ受験勉強 モチベーション

こんにちは。与一の井上です。

第二回基礎学力テストの結果も出揃い、12月には実力テストを経て3者面談も行われると思います。
その前に、保護者の方に前回最後に述べた「普通科にこだわる」ことを是非もう一度考えて頂きたいと思います。

保護者の方、また生徒本人も少しでも“よい高校”に行きたいと思うのは当然の願いだと思います。
(“よい高校”についての定義は非常に難しいですが、ここでは単純に“入試に必要な点数が高い=よい高校”としたいと思います)
その結果点数が200点台前半の子、またはその保護者が「なんとか普通科に」と口にするのは珍しい光景ではありません。

でもこんなことは学校でも、塾でもそうそう言われないと思うので敢えて言わせて頂きます。
「普通科にこだわるのは止めませんか?」

「頑張ったらいける!」という無責任な台詞


“300点なくても普通科に入れる”これは事実です。今までにそんな生徒をたくさん見てきました。
それでも私はずっとそんな生徒に対し、「入っても間違いなく苦労するから普通科以外も選択肢に一度入れてみたら?」という指導を行ってきました。

塾というものは少しでも実績を上げることを重視するため、ともすれば少しでも上位の高校に生徒を入れようと躍起になり、「高校に入ってから頑張れば大丈夫」こうした殺し文句を口にし、とりあえず高校に入れることをゴールと考える塾講師が残念ながら少なくありません。
ですが「頑張ればいける」と言っている方、その言葉には責任を持っていますか?
高校に入ってからのその子の頑張りまでちゃんと見ていますか?

こうしたことを口にする方のほとんどは高校に入ってからのことは考えていません。
いえ、もちろん心から考えている方もいるでしょう。「高校に入ってから“頑張れよ”」と。
実際には口にするだけで、高校生になってからその子を担当する訳ではありません。
生徒の進路に関わる重大な言葉の責任は取らないのでしょう。だから気軽に口にできるのです。

私は高校入学後もそうした生徒を担当しています。そして厳しい現実を毎年必ず目にします。
だから批判をされようともはっきりとお伝えします。
「頑張ってもいけないという現実は確実にある」と。

「頑張ったらいける」が通用しない理由 その①

前回もお話した通り、“ぎりぎりで入る子は英・数・国が弱い”これに尽きます。
繰り返しになりますが、残念ながら中学校で勉強した理社の知識は高校ではほぼ役に立ちません。
逆に英数国ははっきり申し上げて、中学校内容のできない子はお話になりません。
高校での学習内容は非常に広範かつ深く、中学校で得意であった教科が苦手になってしまうことも珍しくはありません。
ほぼ全ての子が「付いていくのに精いっぱい」な状況が当たり前になります。
得意な子でもそうならば、中学内容に不安がある子は、他の子に比べ理解も定着も遅れを取ってしまうのは避けられない事実です。
そうすれば付いていくだけでも余計な労力が必要となり、中学校内容を学習し直す時間など取れる余裕はありません。
「(他の子よりも)頑張る」余裕などどこにもないのです。

このような状況を理解した上で本当に「頑張ったらいける」と言えますか?

「頑張ったらいける」が通用しない理由 その②

もう一つは簡単です。「頑張らないから」です。

現状を冷静に考えてみて下さい。その上で厳しい言い方をします。
「普通科に行きたいけど点数が足りない」のは何故ですか?
3年生になるまで頑張って来なかったからではありませんか?
3年生になるまで頑張って来ず、周りの助けに頼りながら普通科に何とか入れるような子は、高校生になっても同じことを確実に繰り返します。
やはり「3年生になってからでもなんとかなる」そう考えるのが普通です。

「中学校で勉強しなくて苦労したから、高校では心を入れ替えて頑張る」
そう言いますか?またはお子さんがそうなることを期待しますか?

最初は本気でそう思っているのでしょう。その気持ちは否定しません。
ですが上記のように中学校より遥かに日々の勉強が大変になり、他の子よりも苦労が大きくなる中で、当初のその気持ちは残念ながら持続することはほとんどありません。
やはり気が付けば「頑張らない毎日」を送ることになるのも無理はありません。

このような理由から「頑張ったらいける」などと言う無責任な言葉は私は決して生徒に対して伝えません。

先を見据えた考えは大人にしかできない。

このような考えの元、普通科にこだわらない進路指導をしてきた結果、
保護者の方から「うちの子が頑張っているのにどうしてそんなことを言うんですか」とクレームを頂いたこともあります。
結局その子は普通科に進学しました。その結果どうなったか。1年生の最初から赤点回避に必死になる日々を送り、最終的には途中で高校を退学してしまったそうです。

私は決して子どもの頑張りたい気持ちを否定したい訳ではありません。
でも子どもには圧倒的に経験が足りません。だから目の前のことだけを考えて「少しでもいい高校」こう口にします。

私達大人はどうですか?
親、教師、塾講師、立場は違えど私達には経験があります。
3年後、7年後、10年後…先を見据えて冷静に子どもの進路を考えられるのは私達大人だけではないでしょうか。

日々の勉強で摩耗することなく、部活や遊び、「青春」を毎日楽しく過ごしている子どもが沢山います。
また普通科に行かずとも自分の道を見つけ、一生懸命頑張っている子どもも沢山います。

どうか広い視野を持ち、周りの目などに惑わされず「将来の子どもの為に一番の進路」を考えてみませんか?

この記事を書いたプロ

井上昇哉

子どもたちの思考力を高め、未来の選択肢を広げるプロ

井上昇哉(学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす)

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