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コラム
グリコ出荷停止問題から考える「縁の下の力持ち人材」の課題
2024年5月5日
プッチンプリンがコンビニの棚から消えた。
2024年4月23日付『日本経済新聞』には次のように記述しています。
「グリコが(4月-引用者註)3日、調達や出荷、会計などの業務を一元管理する統合基幹業務システム(ERP)を全社的に切り替えたところ、障害が発生し、物流センター業務を一時停止した。18日に一部業務を再開したが、出荷データの不整合が見つかるなどとしたため、再度出荷を停止した。5月中旬の出荷再開を目指す。」
※5月1日付日経によれば、出荷再開時期を「6月中」へと延期したとされる。
この問題の背景の1つに「2025年の崖」問題があるようです。「2025年の崖」問題は、『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開』(経産省デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会、2018年)によって注目を集めるようになりました。2017年に実施した調査(日本情報システム・ユーザー協会)によれば、我が国の企業の約8割が「レガシーシステム」を抱えており、自社システムの中身がブラックボックスになってしまい、自分たちの手では修正できない状況に陥っていると指摘します。とは言え、日常的には機能しているため、ふだんは全く問題になっていません。しかし、業務の見直しのためのシステムを更新しようとすると、既存システムを構築した時に携わった有識人材は既に退職し、マニュアル等も残っていない…どこから手を付けて良いのかが分からず、途方に暮れてしまうのです。
江崎グリコの問題は、決して単独企業ではなく、多くの企業が抱えているものだと思うのです。そして、さらに言えばシステム面の問題だけではなく、営業の仕組みにも当てはまると私は考えます。現状は、なんとか仕事が回っている状況だと課題が明らかにならないのですが、優秀なセールス人材が長期にお休みしたり、退職したりといった状況になったらどうなるのか。営業人材の問題ももちろん重大なのですが、営業の仕組みを実は陰で支えているスタッフ(=縁の下の力持ち)がいなくなったらどうなるのか。実は個人裁量に委ねられている問題が沢山あるのではないでしょうか。
私は百貨店の営業部門のスタッフだった時に、毎日の朝礼のために「今日の業務連絡事項」をまとめて各チームのアシスタントスタッフへ配信していました。このメモが出来る前は各チームの朝礼はバラバラの状況だったのです。でも、部長たちはこのメモの存在の重要性をあまり認識していなかったと思います。
各メンバーがちょっとした配慮を積みかさねて業務は回っていると実感します。
大きな問題が発生していない今だからこそ、仕事の棚卸をしてマニュアル化を進めておく必要があると思うのです。「マニュアルなんて使わないよ!」と言われる方もいらっしゃると思うのですが、自分たちの使命とその実現に向けた業務の定義、役割分担など、整理するといろいろと見えてくる課題があるのです。永らくマニュアルづくりをしてきた私の実感です。
ぜひ一度マニュアルづくりをしてみませんか。
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