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鈴木一正

「お得意さま」づくりで売り上げアップを導くコンサルタント

鈴木一正(すずきかずまさ) / 経営コンサルタント

合同会社スズセイ

コラム

催事中心の働き方を脱却しないと外商の売上は伸びません

2024年1月31日 公開 / 2024年2月1日更新

テーマ:働き方改革

コラムカテゴリ:ビジネス

前回の続きです。百貨店外商の働き方を考えることで、営業の課題が見えてくると思うので、少々お付き合いください。

そもそも外商担当者はどんな働き方をしているのでしょうか。仕事で百貨店外商の方々と情報交換をすることが多いこと、また研究のため地方百貨店の外商担当者の働き方も調査したことがあるので、以下の内容は一般的なものだと思います。

外商担当者の仕事の中心は催事関連です。「ご用聞きではないのですか?」と言われる方もいらっしゃると思うのですが、完全なプロダクトアウト型なのです。大きな催事が年間2回程度。中小の催事が月3~4本、別途お勧め商品があります。例えば、宝飾品の催事があるとすると、出展する取引先へ外出予定リストを提出しないといけません。1つの催事につき2回だとしても複数催事があれば月に1週間程度は外出していることになります。地方百貨店では顧客のお住まいも店舗から離れていることも多いので、営業車に取引先担当者を同乗させ、商品を持って行きます。アポイントをとって訪問することもありますが、事前に連絡すると「いらないわよ!」と断られてしまうこともあるので、飛び込みで行くことも少なくありません。

訪問してじっくりと話を聞いてくれることありますが、立ち話程度で終わってしまうこともあります。こんな感じなので、訪問できる顧客は1日に数件です。(ちなみに都内23区を公共交通機関を使って回ったとしても1日10件回れば良い方でした。) 調査にご協力頂いた外商部長に次のように聞きました。
「1日2~3件、それも関心の有無が分からない顧客を回って効果があるのでしょうか?」
外商部長の答えは、「そうなんだけど、地方百貨店では外販(商品を顧客宅へ持ち込んで販売すること)やらないと取引先が相手にしてくれないんだよ。」でした。

さらに言えば、こうした飛び込みの外販を受け入れてくれる、少なくとも話を聞いてくれる顧客はそう多くはないので、購入の見込みがないとしても訪問先が集中してしまうという実態もあるとのこと。それでも、この外商部は催事を減らして、幅広く顧客との接点を持つ改革を進めようとはしていたのです。しかし、急に売上が増える訳ではないので、試行錯誤されていました。

こうした努力で出来る売上は、外商顧客全体の約4分の1です。あと4分の1が顧客の要望に基づく売上。そして残りの2分の1が担当者を介せずに顧客の自由なお買い物でした。この構成比は多少の変動はありつつも、大手から中小まで変わらないと思います。つまり、4分の1の売上のために労力の(準備も含めると)大半を使っていることになります。

これでは買上上位、それも担当者のわがままを聞いてくれる顧客に営業活動が集中してしまうのは当然です。こんな働き方をする外商に「この商品を売ってください!」と持ち込んでも、売上が期待出来ないことは言うまでもないのです。だからこそ、催事中心の働き方を止めて、幅広い顧客と接点を持つ働き方へ転換し、顧客の潜在的ニーズはもちろん、潜在的なニーズを把握して、適切に提案していくこと。そうすれば、どんな商材を扱っても、「このアイテムは●●さん、こちらは□□さん、これは▲▲さんにご案内しよう。」とひらめくのです。

こういって説明すると、「我が社の外商ではメールやLINEを使って顧客へ効率良くアプローチしているよ!」と言われるのですが、この問題点はまた次回。

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