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鈴木一正

「お得意さま」づくりで売り上げアップを導くコンサルタント

鈴木一正(すずきかずまさ) / 経営コンサルタント

合同会社スズセイ

コラム

この製品を拡販したいんだけど、百貨店の外商を紹介してくれませんか?

2024年1月29日 公開 / 2024年3月15日更新

テーマ:顧客戦略

コラムカテゴリ:ビジネス

【効率だけを追求すると将来の成長の芽を摘んでしまう?(その2)】この製品を拡販したいんだけど、百貨店の外商を紹介してくれませんか?

前回の「効率だけを追求すると…(その1)」の続きです。
私が百貨店個人営業(いわゆる外商)出身であったため、「この製品を拡販したいんだけど、百貨店の外商を紹介してくれませんか?」と相談を受けることが少なくありません。もちろん、依頼頂いた方には、単純に窓口をご紹介するだけでなく、商談がうまくいくように丁寧にご説明して繋ぎます。今回はその説明内容も含めて書いていきます。

個人営業部門(以下、外商)というのは「富裕層」を担当しているということはある程度事実です。外商顧客になるルートはいくつかありますが、いずれにしても一定の審査を経ているため、それなりの購買力がある方々です。外商顧客となると(基本的に専任の)担当者が付きます。この担当者がお買い物の相談に乗ってくれたり、購入した商品を自宅まで届けてくれたり、外商顧客限定の催事を案内してくれたり、などの特典が受けられます。一方で、「外商担当者からいろいろと押し売りされてしまうのでは…」と思われているので、「担当者なんていらない!」なんて反応もあるようです。

最近の外商は、押し売り的なことはほとんどやっていないと思いますが。

この外商、とっても注目されています。コロナ禍による行動制限もあって業績不振に陥った百貨店が急回復していて、その牽引役の1つが外商と見られているからです。特に売上が好調なのはラグジュアリーブランドと言われます。コロナ禍での「強制貯蓄」や「渡航制限」もあって、こうした高額品の購入に回っている面はあると思います。なので、怒られることを覚悟の上で言うと、この好調は外商部門の努力というよりは、外商顧客の購買意欲が一時的に高まったということの方が大きいと考えます。いずれ「強制貯蓄」は解消し、海外旅行も活発になるでしょう。

実は外商の営業力はこの数年間で大きく低下してきていると私は考えます。これは、各社の外商関係者と情報交換を重ねて来たことを踏まえた実感です。コロナ禍前より、百貨店の業績低迷は続いており、様々な経費削減の一環として、外商部門でも従業員数を絞り込んできました。大手も中小も同じです。一方、顧客数は急激には減りません。結果として、担当者一人あたりの顧客数が大幅に増加していくことになりました。

外商担当者は個人業績目標(基本は売上高)を背負っています。さらに全社の業績向上に向けて高い目標を掲げていることが多いため、担当としては直近でお買い上げが期待できる顧客に営業活動を集中します。逆に言えば、直近のお買い上げが期待出来ない、もしくは関係構築が出来ていない顧客への営業活動を控えます。大手百貨店では年間買上高が一定水準以下の顧客は専任担当者を外してコールセンター的な対応(つまり、積極的な情報発信をせず、電話注文だけを承る営業)をするようになっているのです。

“買わない客は客ではない!”と思っているのではないか? と疑いたくなる状況です。

20240129顧客数の推移

では、今お買い上げがない顧客は、“買わない顧客”なのか? 違いますね。購買力があっても、様々な理由から買い物が出来ない顧客はたくさんいらっしゃいます。実際に、年間買上高で顧客をランク付けした某百貨店の推移を分析したことがあります。年間200万円以上をA、100~200万円未満をB、100万円未満をCとしてランクの変動を見ました。ちなみにこの百貨店では営業活動をA顧客に集中していくこと(つまり効率の追求)を掲げていたのですが、ある年度(0年度)にAであった顧客のうち、翌年度(1年度)もAであったのは約6割、さらに翌々年度も引き続きAであったのは約5割未満でした。2年間で半減していたことが分かります。

つまり、特定の上位顧客に対応を絞る(=効率の追求)と顧客数は減少し、結果として売上を落とすことになってしまいます。この外商部門は、その通り業績を落としていったのです。

紙数が足りないので、この続きはまた後日。

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