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コラム

襟のある服装がゴルフウェアの最低限のマナーとなった理由

ゴルフの服装マナー

2014年9月1日 / 2018年4月3日更新

なぜ襟のある服装が必要最小限のマナーとなったのか?

ゴルフにふさわしい服装とは、どういう服装なのでしょうか?
相手に不快な印象を与えず、上品、優雅な印象の中にも機能性が宿るものでなければなりません。
今この問いはゴルフ界全体において、答えのない疑問となっています。

ゴルファーの服装は、スイングと同じように一人ずつ個性があるので、異なっていて当然です。また個々のセンスや感覚も異なっています。世代間の違いはさらに大きいものです。
こういった異なる感覚の中で、ゴルフでの適切な装いを決める方法として考えられるのが、現在に至るゴルフの歴史ではないでしょうか。

『なぜ襟のある服装じゃないとダメなの?』

このひとつの事柄をとっても、ゴルフの歴史を紐解くことによって見えてきます。

初期ゴルフの発展に欠かせない「スチュワート王家」の“作法”

「ゴルフの歴史はマナーの歴史である」と夏坂健さんは著書の「王者のゴルフ」で述べられています。

夏坂さんは、その著書の中で、1400年代からゴルフの発展の中心的役割を果たしてきたスチュワート王家(当時のスコットランド王家)には、次のような家訓があったと書かれています。

「相手に敬意を払い、周囲に不快感を与えない服装こそ“作法”の第一と知るべし。服装は自分のために非ず、相手に対する衷心(※意:心の底)からの礼儀なり」(スチュワート家の歴史、第2巻より)

つまり 自分さえ満足すれば、何を着ても良いということではなく、自分の身だしなみを見た相手が、どのように感じるかが問題だということですね。この「スチュワート家」の作法書に従って「服装は己のために非ず、相手に対する礼儀なり」と定められた貴族のゴルフでは、以来機能性より儀典性が重んじられるようになりました。ネクタイにスーツ姿でゴルフをするのはつらい話ですが、なにしろ相手に対する礼儀が最優先、たとえ窮屈でも我慢するしかありませんでした。

ネクタイにスーツ姿でのゴルフプレー


スコットランドは典型的な西岸海洋性気候で、冬は緯度の割には暖かく、最寒月平均気温は2〜6 ℃。夏は最暖月でも14~19℃程度と涼しく、年較差が小さく、比較的穏やかで過ごし易い地方です。
そのような気候とはいえ、ネクタイにスーツ姿でゴルフをプレーするのはつらかったでしょうね。

その後、1822年に出版されたゴルフのレッスン書には、「プレーに臨んで、なるべく腕の付け根に余裕のあるスーツ着用が望ましい。最近ではゴルフ用と銘打って、かなり余裕のあるスーツが売られている」と当時のゴルフウェア事情が書かれているそうです。現在のような機能性を重視した形状や素材など存在しない選択肢がない中で、少しでもラクにプレーできるように試行錯誤していたようです。

ゴルフウェア革命はアメリカから

ゴルフウェアに革命の嵐が吹いたのは、1910年代以降のアメリカが舞台となりました。
1888年、ニューヨーク郊外にアメリカ最古のゴルフ倶楽部「セント・アンドルーズゴルフクラブ」が誕生。これがアメリカンゴルフのスタートと言われています。その後、またたく間に東海岸でゴルフが普及していきました。

しばらくのあいだ、アメリカンゴルファーは、ゴルフの伝統に敬意を払って、スーツにネクタイ着用の決まりを遵守していました。
1894年に全米ゴルフ協会(USGA)が設立され、全米アマチュア選手権や全米オープン選手権などの競技会の開催が、アメリカでのゴルフ発展の牽引となって、ゴルフ熱に火が付き、アメリカ全土に広がりました。
その後、コースの多くが、気候に恵まれたフロリダ、カリフォルニア地方に建設されていきました。

そうなると摂氏30度の猛暑が多い地域でのゴルフです。スコットランドの伝統を守り続けろ!というのは到底無理な話。まずスーツが脱ぎ捨てられ、ネクタイが解かれ、ワイシャツの袖と、ズボンの裾が半分に切られました。

全米ゴルフ協会では、これ以上脱がれることを恐れて、「しかし襟だけは付けておきなさい。これはゴルフゲームに対する畏敬の念であり、相手に対する礼儀でもあるのだから」と、1927年に「服装規程」を発表しました。

「Men must wear shirts with collars.」(男性は襟付きのシャツを着用しなければならない。)

ゴルフウェア革命が本場イギリスにも上陸!そして世界へ

この革命は本場イギリスにも影響を与えます。
軽装になったアメリカンゴルファーが、競技出場のためにイギリスに乗り込んでいくと、なんとアメリカンゴルファーが試合で勝ち続けていましました。
そこで、イギリス人も長年脱がなかった上着を脱ぎ、ネクタイを外し、ニッカボッカーズにはき替えるようになったのです。

とりわけ選手だけでなく、これまで礼服でのゲーム観戦を強要されてきたギャラリーが一挙に開放されて大喜びしたという話しも残っています。

そして、世界的に「男性は襟付きのシャツを着用しなければならない」規定が確立されていったのです。
これがゴルフにおける服装の歴史の1ページとして「襟付き」ルールができた背景です。

「襟付きシャツ」着用の遵守

この「襟付き」が、現代では「タートルネック」、「ハイネック何センチ以上」とまでに拡大解釈されています。これは自然な流れだと思います。寒さや紫外線から首を守ることは、とても大切なことです。
ただし、「Tシャツ」などの襟のないシャツは、よほど服装規定で「TシャツでもOK」という文言がない限り、ゴルフウェアとして着ることは控えなければなりません。

また、「ジャケット着用」がルールとして定められているゴルフ場で、クラブハウスへの入退場時にジャケットの下に「Tシャツ」や「タンクトップ」を着ている人を見かけます。

ゴルフ場内で、「何があってもジャケットは絶対に脱がない!」ということでしたら何も言えませんが、「暑くて脱ぐかも・・・」と少しでも思っているのなら、ジャケットの下にも襟付きシャツを着るようにしてください。

ジャケットを着ていかなくてもいいゴルフ場の場合は、なおさら襟付きシャツを着て行きましょう。
それが周囲のゴルファーに対する配慮です。

これらのことは、ゴルフ場で服装規定として細かく定められているかもしれません。
初めていくゴルフ場では、あらかじめホームページや直接問い合わせをして確認するようにしましょう。

■参考資料
「王者のゴルフ」夏坂健著
「ゴルフの歴史」石川洽行著
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ぜひご覧ください。
「今からでも遅くないゴルフマナー&ルール」
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『なぜ、ゴルフ場でジーパンはNGなのか? ~もう迷わない。ゴルフ場での服装選び』
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