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【離婚】あまりネットに書いていない離婚の仕組み

2015年7月9日 公開 / 2015年12月10日更新

コラムカテゴリ:法律関連

梅雨で寒暖の差が激しい日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
オギ法律事務所の荻原です。

今日は「離婚の仕組み」について書きたいと思います。

よく、法律相談や、非常勤裁判官としての家事調停官での調停の立ち合いの際に、
⚪慰謝料はどのくらいですか?
⚪養育費はどのくらいですか?
⚪財産分与はどの程度認められますか?
といった質問をお聞きいたします。
そして、このような疑問に対し、ざっくりとした回答を行っているホームページもあるようです。

しかし、これらのことが、法律に基づき明確に決められる場合は「判決離婚」の場合のみなのです。

離婚の種類は、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「判決離婚」の三つです(他にも「審判離婚」がありますが、数が少ないのでここでは割愛します)。
ほとんどの離婚事件は「協議離婚」または「調停離婚」で解決します。

そして、この、「協議離婚」または「調停離婚」の場合、先ほど述べた⚪の事柄は、すべて、
『双方の合意』
によって決まるのです。

もちろん、法律や判例などを考慮して協議・調停がなされる場合が多いですが、それでも、「双方の合意」に基づき、決められるものであります。

ですので、「双方の合意」さえあれば、判例などの基準を越える慰謝料・養育費・財産分与(財産的給付)を得ることができます。

また、逆に、当事者の一方が頑なに財産的給付を拒む場合、判決離婚で判決を得ない限り、財産的給付は実現しないことになります(なお、判決を得ても、相手方に資力がない場合は、財産的給付が実現しないことがあります)。

そうすると、交渉による協議離婚、または調停による調停離婚を考えている方にとっては、どのように「双方の合意」を実現させるか、を考えていくことが、もっとも大事なことになります。

相手方に離婚となった原因や今後の生活面を強く主張し、財産的給付の実現を目指す交渉を行うことも考えられます。また、双方の合意を目指すために、判決離婚になれば認められるであろう財産的給付の一部を断念することもありえます。また、「双方の合意」よりも「判決離婚」のほうが財産的給付にとってメリットが大きければ、判決離婚を目指し訴訟を提起する方向に動くこともありえます。

このように、多くの場合、双方の合意がないと財産的給付が実現しないという、
離婚の仕組みを、
当事者が、そして離婚に関わる弁護士が、よく理解しておくことが、離婚事件の早期の解決のためには必要だと思います。

この記事を書いたプロ

荻原卓司

借金問題・個人再生のプロ

荻原卓司(オギ法律事務所)

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