耐力壁の配置について⑱~計算してもわかるのは半分

鈴木敏広

鈴木敏広

テーマ:家の構造について

以前読んだ木造住宅を専門にしている本でこんなことが書いてありました。「現在の木造住宅の計算では半分ぐらいしかわかっていない。」つまり、現行の計算でわかることはその住宅の耐震性能の半分、後はわからないということです。わかっていることは一つ「壁が地震に抵抗する、だから壁が多い方がいい」だけです。

2年ほど前に木造住宅の構造の分野で有名なM教授とメール交換しました。どうしても聞いてみたかったことがあり失礼ながら「地震で倒壊する、倒壊しない家の差」について質問しました。答えは「一棟の地震災害による倒壊はかなり偶発的現象です」でした。つまり「倒壊しない」という理由はわからないのです。

耐力壁⑯

この住宅が地震に対してどんな被害が出るかは現在の学問ではわからないというのが実情だと思います。

もしも現行の壁量計算が100%の耐震性能を表している、この計算を満たせば大丈夫なら、熊本地震のときに耐震等級2(基準よりも耐力壁の量が1.25倍)の住宅は倒壊しないと思います。倒壊した家は柱の直下率が47.5%壁の直下率は22.9%でした。壁の直下率が特に低い住宅でした(コラム「熊本地震で分かったこと⑩」参照)。

計算は耐震等級2を満たしていても直下率が低ければ倒壊してしまうのです。ですから、②に書いた今回の改正で直下率が入らなかったことは私には理解できないのです。

次回は、『耐力壁の配置について⑲~だからこそ前提条件を守るべき』です。


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