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鈴木敏広

長く愛される住まい作りにこだわる一級建築士

鈴木敏広(すずきとしひろ) / 一級建築士

まちの大工さん 鈴木工務店

コラム

夏型結露2⑫~可変透湿気密シート使用の疑問

2022年4月19日

テーマ:結露

コラムカテゴリ:住宅・建物

記事では、⑤に書いたように可変透湿気密シートを使用することで、内部結露を抑えることができるとなっています。記事では内壁をめくり水蒸気を含んだグラスウールを撤去し、乾かしてから新しい断熱材を入れ壁の室内側に可変透湿気密シートを張る工事をしました。

可変透湿気密シートの使用には一つ疑問があります。その疑問とは水蒸気が多い方から少ない方へ可変するのですから、冬は暖房をかけた室内のほうが湿度も温度も高くなっています。透湿クロスは水蒸気を通しますから、室内の水蒸気は透湿クロス、石膏ボード、可変透湿気密シートを通り壁の中へ入ることになります。

記事の家は、冬季の結露対策はうまくいっていたと思われます。透湿性のないクロス、防湿シートのおかげで壁の中へは水蒸気はほとんど入っていなかったからです。
ところが可変透湿気密シートのために、室内のほうが温度湿度ともに高い冬期などに、壁の中へ水蒸気が入っていきます。その影響がどうなるのか疑問なのです。

夏型結露2⑫

⑪に書いたようにどんな被害がでるのかわからないのです。
何度も書きましたが、今まで日本で高気密高断熱住宅は建てられたことがないのです。ですから、その影響は時間が経たないとわからないのです。省エネのために高気密高断熱住宅をつくる、それですべて解決するといった考えは考え直さないといけないと思います。ましてコラム「住宅の健康⑭~風通しが良い家しか残っていない」(住宅の健康⑭~風通しが良い家しか残っていない参照 )に書いた高気密高断熱住宅にしていなかったから日本の住宅の寿命が短いなど根拠のないことを言う人もいます。高気密高断熱住宅が気候に合っているかは、時間しか証明できません。

次回は、『バルコニーのない家①~最近の見るようになったバルコニーのない家』です。


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