6月のある雨の日に100パーセントの調律師に出会うことについて〜梅雨時の漢方的ご自愛法〜山梨 漢方 梅雨バテ
低気圧のたびに頭が痛む。
そんなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?天気のせいにしていたはずのその不調が天気のせいだから仕方ないと諦めていたその不調が実は心と体からのメッセージだったとしたら?
皆さんは驚きますか?
ある雨の日、頭痛に悩む「僕」はカフェで出会った不思議な女性から、「低気圧にカラダが負けてしまう理由」と
「低気圧に強くなるための方法」を教えられる。
この極めて短い物語は
低気圧を待ちわびるようになった男と雨のたびに現れる“彼女”の静かな会話を通して描く漢方的ご自愛の物語です。
僕は朝から頭が重かった。天気予報では「午後から気圧が急降下」と言っているし
SNSを見ると
「ましもん」
というメガネをかけた男性漢方薬剤師が投稿で「気圧急降下するから気をつけて!」っと注意を促している。
「低気圧」その言葉を聞いただけで、頭の奥のどこかが鈍く疼く。
僕は40代独身で職業はシステムエンジニアをしている。
どこにでもいる、自分で言うのもなんだが見た目含めて極々普通の男だ。可もなく不可もなく、モテないわけじゃないけど、目立つほどモテるわけでもない。
今まで何人かの女性と付き合い、寝たりもしたが、それ以上の関係に進むことを僕はどこかで躊躇していた。その理由については僕自身も良くわからない。
どこか自分でブレーキをかけるクセが僕にはあるようだ。毎日パソコンのモニターの光を浴び
コードの海を泳ぐように仕事をしている。そして低気圧が近づくたびに、頭痛と肩こりが僕のもとにやってくる。
それが僕の日常だ。
しかしその日の昼前、さすがに僕は我慢できずに珍しく仕事を早退した。どこかでカラダを休めたいと思い、湿った風に押されるように駅前のカフェに入ると、コーヒーの香ばしい香りが少しだけ僕の心と頭痛をやわらげてくれた。
窓際の席に座ると、隣の女性がふとこちらを見た。
白いシャツに薄いグレーのカーディガン。僕と同じようにどこにでもいそうな女性だが、妙に雨が似合う女性だった。
「低気圧、苦手なんですね」彼女はカップを持ちながら、穏やかに言った。
「どうして分かるんですか?」
「顔に出てます。頭のあたりが、なんだが重そう。」
僕は思わず笑ってしまった。「低気圧って、人相まで変えるんですね。」
そう言うと彼女もニッコリ笑った。
彼女は少し声を落として言った。
「たぶん、あなたは“脾虚(ひきょ)”ね。胃腸が弱くて、水がさばけないからカラダの中に湿がたまりやすい体質」
僕が呆気にとられて彼女を見つめている。
そんな僕に構わず彼女は続けて話し出す。
「それに、“腎虚(じんきょ)”もありそう。カラダの水分調節をする場所だし、カラダを温めたりする働きもあるの。そこが弱ると気圧の変化や湿度の変化、気温の変化に弱くなるのよ。
そしてもうひとつ、“気滞(きたい)”。ストレスで気の流れが停滞すると頭痛になりやすいのよ。」
彼女の声は、雨音と同じリズムで耳に届いた。気がつくと、頭痛が少しやわらいでいた。
「どうやら低気圧で体調が悪くなる原因は僕の中にあるみたいですね。」
彼女は微笑んで言った。「続きは、次の低気圧の日にね。」
それから、僕は低気圧を待ちわびるようになった。
たまたまカフェでちょっと会話をしただけで
「続きは、次の低気圧のときにね。」
という普段ならただの社交辞令や冗談だとおもって真に受けないが
僕はなぜかその時だけは次の低気圧がくればまた彼女に会える、そんな確信を持っていた。ふだんなら憂鬱な雨雲が、今では彼女に会える予兆に思えた。ぼくはSNSで漢方薬剤師のましもんが
「今日は気圧が下がります」という投稿をしてくれるのを心待ちにしていた。
そして二回目の低気圧の日がやってきた。僕はそのことをましもんのXのポストでしった。
そして僕は午後になると例のカフェにむかった。そこで彼女はレモンティーを飲みながら静かに僕が来るのを待っていたようだ。
「カラダの水はけが悪いと重だるくなり水毒、と言う状態になるわ。漢方では気血の巡りが悪くなり、頭重感などの原因になるの。
そんな湿を追い出すには“脾”と言われる胃腸を元気にすることが大切よ。消化の良い状態、柔らかく炊いた白米、おかゆ、山芋などのイモ類、味噌、発酵食品を少しずつ丁寧に、よく咀嚼して食べることが大事よ。」
僕は仕事をしながら食事を摂ることが常だった。噛まずに飲み込む。丁寧に食事を摂るなんて意識したことはなかった。
三回目の低気圧の日。
彼女はこんなことを教えてくれた。「カラダの余計な水をはかせて湿をとるには“腎”の働きを整えることが大切。腎の弱りは冷えを産んでさらに巡りも悪くなり頭痛の大きな原因となるわ。
黒い食材。黒豆や黒糖、ひじき、わかめ、昆布、しじみやあさりなどの貝類などがおすすめで、飲み物だと黒豆茶や昆布茶などがおすすめね。」
僕はここ最近の食べているものを思い出してみた。
白いものと茶色っぽいものばかりで黒い食材なんてしばらく食べていなかった。
そして仕事は1日座りっぱなし。運動もここ何年もまともにしていない。冬になると手先や足先が冷えてしまい、周りの人は言えないが靴下を2重にしたり、足元だけの暖房が職場でも欠かせないのだ。
そんなことを考えている僕の姿を見て、彼女は少し笑っているように見えた。
四回目の低気圧の日。「気圧の急激な変化は自律神経を乱すの。自律神経の乱れは当然だけど血管の拡張収縮とつながっていて、頭痛の大きな原因となるわ。
漢方でいうところの“気滞”という状態は自律神経の乱れた状態のような物。
日頃からのストレスや過緊張な状態が続くと自律神経が乱れて気圧変化にカラダがついてこなくなってしまうのよ。
気の停滞を整えるにはには「香り」
この店の香りの良いコーヒーなんかもおすすめだし。レモンティーやハーブティー、食材なら紫蘇や柚子、香味野菜などを活用する気の巡りがよくなるのよ。
あ、仕事の合間の深呼吸も低気圧の時含めて欠かさないほうがあなたは良いわよ。」
彼女は僕のことをなんでも知っている。どんな仕事にもストレスはつきものだが、ここ数年、仕事の責任も増えてきており、
Z世代と言われるような若い社員も増えてきて、ちょっとした一言がハラスメントになってしまうということで、若手に無理はさせれない、
でも仕事は待ってくれない、ということで管理職の僕が結局無理をするハメになる。
僕は知らず知らずのうちにストレスをためていたのだ。そういえば深呼吸だって何十年もやってなかったかもしれない。
僕の呼吸は早く、浅くなっていたのかもしれない・・・
五回目の低気圧の日、彼女はいなかった。店員に聞いても「最近見かけませんね。。。。」と首を傾げる。
テーブルには、彼女がいつも頼んでいたレモンティーのカップだけがおいてあった。外に出ると、雨がやんでいた。
空を見上げると、曇りの向こうに薄い青空がのぞいていた。
よく考えると今朝は朝から雨だったのに不思議と、頭の痛みはまったくなかった。
今朝もましもんのXをみた瞬間から頭痛は覚悟していたのだが、そういえば全く頭痛が起きていなかった。
あれ以来、僕は低気圧の日が好きになった。
自然と心が落ち着き、普段より仕事が捗るようにさえなった。
今ではまるで低気圧が恋人に会う日のように待ち遠しくなる。でも、彼女はあのカフェにはいない。
僕はきっと低気圧のたびに彼女を思い出すのだろう。
あとがき
低気圧で体調を崩す方、非常に多いのですが、まずはちょっとした変化にもびくともしない、強い身体にしておくことが大切です。
「僕」は胃腸が弱く、カラダの水の巡りも悪く、ストレスフルな状態でカラダのいろいろな物の巡りも悪く、エネルギーも不足しており低気圧というちょっとした環境変化についていけなくなってしまっていたのかもしれませんね。
彼女から教えてもらったご自愛法を導入してから低気圧の時は逆に落ち着くようになった、という僕の変化はなぜでしょうか?
きっと日頃はストレスで交感神経が優位になっていたところに、低気圧の特徴である副交感神経が優位になることで、ちょうどバランスが取れて落ち着いたのかもしれませんね。
お天気で体調を崩しやすい方はぜひ日頃からの体調管理で、低気圧も恋人にしましょうね。
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