『プリンを食べない男たち』―後編:そして、スプーンは静かに動いた― 山梨 漢方 さわたや薬房 メンタル 薬膳 健康 スイーツ
「今年の夏は、尋常じゃない」。
そうトレーナー歴30年の男がポツリとつぶやいた。梅雨が明ける前から続く猛暑。体感40度を超える日が何日あっただろうか。
水分補給をしても、なんだか抜けない疲れ。肌のザラつき。夜になっても火照りが残り、寝つきが悪い・・・それは、単なる「暑さ」だけではない。
そう「潤い」が足りていないのだ。
体は、乾いている。
見えない「乾き」が、コンディションを崩す
「乾燥」と聞くと、冬のイメージがあるかもしれない。だが、アスリートの世界では「夏の乾き」は常識だ。汗とともに失われるのは、水分だけではない。体内を静かに巡っている
「陰(いん)」
漢方的整体観念では「陰」とはつまり、カラダを内側から潤し、熱を冷まし、守る力である。
それが低下した状態を漢方では「陰虚(いんきょ)」と呼ぶ。とりわけ「腎陰虚」と呼ばれる深層の乾きが進むと、以下のようなサインが現れる。
寝ても取れない疲労感
微熱や寝汗
喉の渇きと空咳
イライラや不眠
肌の乾燥、目の違和感
コンディションの崩れには、必ず理由がある。この「見えない乾き」に、どこまで気づけるかが勝負だ。
「水を飲めば潤う」は幻想だ
炎天下の試合後、大量の水を流し込む。冷蔵庫からペットボトルを取り出し、がぶ飲みする。それで本当に潤うのか?
答えは、NOだ。
体は、ただの「水」では潤わない。水を大量に摂れば、内臓が冷え、消化力が落ちる。
過剰な水分の影響でカラダが重だるくなったり
逆に汗が止まらず、むしろ潤いを失っていくこともある。「水毒(すいどく)」という言葉があるように、余分な水が滞ることで、むくみや鼻炎などの原因にもなる。
世間では「食べ過ぎが体に悪い」ということは周知されているが、なぜ
「飲み過ぎがカラダに悪い」ということはスルーされているのだろうか?
そんな疑問を感じるが兎にも角にも
必要なのは、「飲む」より「養う」ことだ。潤いは
食べてつくるものだ。
内側から“潤す”食養生という戦術
アスリートの多くは、試合前に「食べる内容とタイミング」に神経を尖らせる。同じように、夏を戦うなら「潤いを補う食材」のチョイスが要になる。
■ 腎を養う「補腎食材」
黒ごま
クコの実
わかめ
めかぶ
もずく
海苔
黒木耳(くろきくらげ)
アサリ
ひじき
なす
ごぼう
こんにゃく
しいたけ
これら薬膳では「黒い食材」と言われる食材は深部の潤いを支える腎を整える。体力とカラダを潤す土台となるものだ。
冬になって足腰の弱り、疲労倦怠感、冷えのぼせ、婦人科トラブルや過度の冷え性を感じる場合は夏にカラダの潤い、腎陰を消耗しすぎていて補いきれてない可能性があるので、腎を養う食材をしっかり取る必要があるだろう。
■ 肺を潤す「清潤食材」
梨
白きくらげ
れんこん
白ごま
白菜
大根
ネギ
豆腐
イカ
タコ
はちみつ
肺は「乾燥に弱い臓器」であり、こらら薬膳的には「白い食材」と言われるものはカラダの表面の潤いを養ってくれる。咳、喉の痛み、声の枯れ…夏の後半戦から空気が乾燥する秋になると呼吸器系や肌のトラブルが起こる場合はこれらが不足しているかもしれない。
さらに大事なのは「どう食べるか」。
温かく調理する(冷やしすぎない)
よく噛む(唾液の分泌が潤いの鍵)
胃腸の状態に応じて、量より質を意識する
“整える食事”こそが、最高のパフォーマンスを生む。
サウナも、長風呂も、潤いを奪う
「リカバリーのつもりが逆効果だった」。これは、多くの現場で聞く反省の声だ。
サウナ。長風呂。高温多湿の環境で汗を絞り出すのは、心地よくはあるが、陰虚体質の人間には毒にもなる。
むしろ、潤いを守るなら
「負荷をかけすぎない入浴」を。38〜39度のぬる湯に10分。水分補給をしながら、じんわり汗をかく程度で十分だ。
「ととのうために」
などと言いながらながら長湯や長時間のサウナなどに入ると思わぬしっぺ返しを食らってしまうだろう。
筋肉こそが、潤いの器だ
意外に思われるかもしれない。だがこれは事実だ。
体内の水分は、どこに蓄えられているか?答えは「筋肉」だ。
筋肉には水分を溜め込む能力があり、いわば
「潤いのダム」のような存在。筋肉量が多い人ほど、夏バテしにくいのはこのためだ。
ならば、鍛えよう。この夏、エアコンの効いた室内でできる、潤いを守る「3つの筋活」を紹介する。
■ 潤いを守るための室内筋トレ3選
かかと上げ下げ運動 → ふくらはぎの筋肉=“第二の心臓”を鍛え、血流と水分の巡りをサポート。
椅子スクワット → 下半身の大筋群を刺激。潤いと代謝のキープに。10回×2セットでOK。
壁プッシュ → 壁を使った腕立て伏せで、胸・肩・背中をバランスよく刺激。呼吸も整う。
“動かすこと”が、“潤すこと”になる。筋活は、カラダの潤い、陰を守る最高の武器だ。
潤いを制する者が、夏を制す
夏は、体力だけでなく「潤い力」の勝負でもある。
食べるもの生活のリズム鍛える部位整える呼吸
そのどれもが、静かに、そして確実にコンディションを変えていく。
潤いがある人は、ぶれない。暑さに煽られず、自分のリズムで立ち続けることができる。
この夏を、ただ耐えるのではなく、しなやかに乗りこなすために。「潤い」という名のメンテナンスを、あなたのルーティンに加えてみてほしい。
【解説】今回は僕もたまに好きで呼んでいる総合スポーツ雑誌「Number」のコラム風に書いてみました。
夏の潤いというとついつい水分補給一辺倒になりがちですが、過剰な水分は胃腸を弱らせ、食欲を低下させ、夏バテの大きな原因となります。
夏バテでエネルギー不足になると空気の乾燥した秋に呼吸器や皮膚トラブルが、さらに本来は芽吹く春と伸びゆく夏に使うエネルギーを貯蔵する冬に力不足となり、年間通してカラダがガタガタになってしまいます。
漢方の世界では「冬病夏治」(とうびょうかち)という言葉があり
冬の病は夏治す、という意味ですが、夏に潤い(陰)を消耗しすぎると本来「陰」の季節である冬に不調になる。
また、逆も然りで、冬にちゃんと養生しないと夏になって熱を潤す「陰」が不足して熱による不調が起こりやすくなります。
なのでこれだけの猛暑になってしまったので現代人にとって夏の「潤い」養生は年間通じて元気に過ごすためにも大切なことなので、今回の内容が少しでも役立てば嬉しく思います。
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