歩くことについて語るときに僕が語ること〜漢方的ご自愛小説〜
ゴールデンウィークが終わった。といっても、僕には始まりすらなかったわけだけど。
連休中、僕は国道沿いのファミリーレストランで世の中で言うところの
「ゴールデンウィーク」に
毎日働いていた。開店からラストまで。仕方ない、僕は店長なのだ。フレンチトーストを焼いて、アイスコーヒーを出して、ハンバーグを焼き、この時期から急に注文が増えだす、冷やしぶっかけうどんの麺を冷水で締めながら
ひとことも話さないカップルに「ごゆっくりどうぞ」と声をかけた。(世の中にはいろいろなカップルがいるのだ)
街はなんとなく浮かれていて、誰もが旅行の話をしていた。「高速が大渋滞でさあ」「温泉に浸かって3キロ太った」それを聞くたびに、僕は薄く笑って心のなかで「それはよかったですね」と言った。
連休最終日の夜、閉店後の店舗に一人残っていた。床を拭き、コーヒーマシンのスイッチを落とし、椅子を戻す。無音の空間の中で、急に「スープが飲みたい」と思った。
そのときの僕には、何かを“回復”するというより、“取り戻す”という感覚の方が近かったかもしれない。誰にも渡さなかった時間。誰にも割り込まれなかった気持ち。そんなものをもう一度、自分の内側に確かめるような。
帰宅途中のコンビニで、にんじんと卵を買った。冷蔵庫にあった豆腐と一緒に、スープにした。それだけのことなのに、なぜか泣きそうになるくらい、美味しかった。
テレビもつけず、スマホも裏返しにして、部屋の明かりを少しだけ落とした。静かな音楽を流し、ゆっくり湯船にお湯をためる。
湯船に体を沈めたとき、はじめて呼吸が深くなった。世間の時間ではなく、自分の時間の中にようやく戻ってきたような気がした。
そして、心のどこかがつぶやいた。「この一週間は、予定を詰めずに帰りは早めにしよう。幸いシフトはしっかりくめている。ちゃんと湯船に入って、睡眠を最優先にしよう」「僕のためだけの時間を、小さくていいから確保しよう」――と。
誰かが休んでいるときに働く人間がいて、その人たちは派手な旅行にも行かず、SNSで映えることもない。
でも、それでもいい。それでも、きちんと“回復”する権利はある。むしろ、そういう人ほど、ご自愛が必要なのだと思う。
猫はいないけど、湯気のなかでマグカップを両手で包み込んだ僕は、たぶん猫みたいだった。静かで、柔らかくて、そして少しだけ誇り高かった。
【解説】GW中こそ仕事が忙しい、という方もかなり多いと思います。代わりの休みはあるものの、世の中のほとんどの人が浮かれている中で仕事をするのって思っている以上にストレスを感じると思いますし
大混雑の中で、殺気立つ大量のお客様を前にするストレスもかなりのものだと思います。
今回はそんなGW中の仕事で疲弊した「僕」が無意識に行っていた「気を補い」「気を緩め」ご自愛する方法をご紹介致しました。
GWに限らず、土日祝日など、周りが休みのときこそ忙しい、というお仕事の方はもちろん、日頃の心とカラダの休め方としてぜひ参考にしてください。
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