バーの扉を開けた、きまぐれな春〜今日から始める5月病対策〜②〜 山梨 漢方 5月病 さわたや薬房
僕がそのカフェに通い出したのは、春にしてはいささか暑すぎるぐらいの日だった。名前は「察してよカフェ」。
もちろん、それがそのカフェの正式な名称ではない。
本当は、なんてことのない、確かフランス語だかドイツ語だかの名前だったけれど、僕はその店のことを勝手にそう呼んでいた。
そのカフェには、週に2回、同じ時間に、同じ席に座る女性がいた。年の頃は30代前半くらい。いつも小さなノートとシャープペンシルを持ってきて、時々ため息をつきながら何かを書いていた。
彼女とは何度か顔を合わせるうちに軽い挨拶程度はするようになったものの、特にそれ以上の関係になることはなかったのだが
ある日、僕は彼女の前にあるマグカップに目が止まった。
ラテアートのハートマークが、微妙にゆがんでいた。彼女はそれをしばらく見つめてから、そっとため息をついた。
「きっと、察してくれなかったんだろうな」
彼女は僕にそう言った。
唐突すぎて、僕は少し驚いたけれど、彼女の目は真剣だった。
だから、僕も真剣に答えた。
「それはバリスタさんのこと?」
ラテを見ながらだったので、もしかしたらハートが気に入らなかったのか?他のものを希望していたのかと思ったのだがどうやら違うようだった。「ううん、違うの。もっと・・・そういう表面的なものではなくて、根っこの話なの」
彼女は自分のノートを閉じ、僕にその表紙を見せた。そこには、手書きでこう書いてあった。
『私の察してストレス帳』
彼女は笑った。「変でしょ?」
「ちょっとだけ。でも、嫌いじゃない」
それから、彼女は語り出した。職場で、家で、恋人との間で、
「言わなくてもわかってよ」
という気持ちが込み上がってしまい、そのたびに小さな失望が積み重なって、気がつけばものすごくイライラしてしまう。
そんな状況が続いていたというのだ。
「でもさ」と彼女は続けた。
「これって、自分で作ってるストレスなんだよね。本当は、ちゃんと口にすればよかったのにって、いつも後から気づくの」
僕はうなずいた。『自分で作るストレスか・・・』なんだか、僕にも身に覚えがありすぎた。
「それって、こだわりにも似てるね」僕がそう言うと、彼女は少し驚いたように僕を見た。
「どういうこと?」
「僕もさ、仕事のやり方、進め方にも細かくこだわっちゃってて。人に任せるとイライラしちゃう。で、結局自分で全部やって、疲れて、またイライラするっていう負のループ」
「わかる。それ、私の『勝手にワンオペノート』にも書いてあるやつだ」彼女はそう言って笑いながら、もう一冊のノートをカバンから取り出した。
ページを開くと、そこにはこう書いてあった。
「過程までこだわりすぎない」
「結果がちゃんと出てれば、プロセスは多少ズレててもいいんだよね」彼女の言うとおりだ。
それから僕たちは、週に一度、そのカフェで「察してよノート」や「こだわりすぎログ」を見せ合いながら、笑ったり、ときどき反省したりするようになった。
そしてある日、彼女が言った。
「なんかね、ストレスって、実は敵じゃないんだって思えてきた。むしろ、自分のクセとか欲求を教えてくれる、ちょっと意地悪な先生みたいな存在かもしれない」
僕はラテをすすりながらうなずいた。その後、僕たちは週に1度ほどそのカフェで会ってはお互いに日々に感じた
『察してよストレス』と『こだわり過ぎストレス』について話をすることで、そこで感じたストレスを緩める術を覚えて行くのと同時に、彼女がどんな人間なのか?よく理解することができたし、きっと彼女も僕に対してそう感じていることは『察する』ことができた。
きっと、ストレスはゼロにはできない。でも、ちょっとだけ付き合い方を変えることで軽くすることができる。
そんなことを考えていると彼女がちょっと恥ずかしそうに僕に向かってこう言った。
『ねえ、そろそろ察してよ』
【解説】
察してほしい、多くの方が感じるストレスですが、実はそれって自分の考え方次第ですよね。
また、こだわりすぎのストレスも多くの方が感じる余計なストレスの一つ。
みなさんがもし『いまストレス多いなぁ』と感じたら
感じているストレスをちょっと分解してみてください。
意外と、こだわり過ぎと、察してよ、があるかもしれませんよ。
ちょっと自分を俯瞰して見るだけで軽くなるストレスもあるので、ちょっと落ち着いて考えてみませんか?
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