〜ご自愛小説〜食べることについて語るときに僕の語ること【山梨 漢方 薬膳 さわたや薬房】
僕は最近、疲れている。
いや、その表現はいささか正確ではない。
僕はずっと疲れていたのに気づいていなかったのかもしれない。
僕がそれに気がついたのは今朝のできことが大きく関係している。
今朝、僕はコーヒーを淹れようとしていた。
いつもと同じ朝で、いつもと同じようにコーヒーを入れようとしていた。
それは何の変哲もない
いつもの朝の景色だった。
しかしそこから場面は急展開を迎える。
フィルターをセットせずに僕はコーヒー豆を入れてお湯を注いでしまったのだ。
マグカップの中に広がる黒い液体をぼんやりと見つめながら
僕はようやく自分が疲れていることに気が付き、それを認めた。
認めざるを得なかった。
「最後の最後は、医者も休ませるんだ」
昔、誰かがそんなことを言っていたのを思い出した。
人間は無理をしすぎると、最終的には強制的に休まされる。
入院とか、点滴とか、そういう形で。
だから、そうなる前に本来は自分でブレーキをかけるべきなのだ。
でも、僕はずっと心とカラダのアクセルをベタ踏みし
「頑張れ」のスイッチを入れっぱなしにしていた。そんな自分に酔っていたのかもしれない。
*************
仕事の締め切りが続くと、僕は自分のカラダの内側から
『アドレナリン』
が湧き出てくるのがなんとなくわかる。
その状態となると眠気も空腹も感じなくなるのだ。
「そんなに頑張って、大丈夫?」
彼女はそう言った。
僕がソファに座ったまま、パソコンの画面を睨み続けているときのことだ。
「大丈夫。むしろ冴えてるよ」
「本当?」
彼女は僕のマグカップに紅茶を注ぎながら、静かに言った。
「かりそめの元気じゃない?」
「かりそめの元気?」
「ストレスホルモンのせいで、疲れてるのに気づかないだけかもよ」
僕は笑った。まさか、と思った。でも、その夜、締め切りを終えた途端、まるで電池が切れたみたいに、僕はベッドに倒れ込んだ。
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コーヒーを1杯無駄にしたあとで
彼女が僕に
「あなたは、ちゃんとした休みとっているの?」
っと聞いてきた。
「休み?それなりに寝ているから大丈夫だよ。僕だって子どもじゃない。睡眠不足が悪いことぐらいわかっているさ。」
まるで売れ残りの半額セール中のカット野菜のような苦笑いを浮かべながら僕が答えると彼女に
「睡眠?それだけ?」
っと言われて、僕は答えに詰まった。
確かにそうだ。
寝ることは大事だ。でも、今の僕にはそれだけじゃ足りない気がする。
それは僕にも
無駄にしたコーヒー豆にもきっとわかっているのだが、寝る以外にどうすればよいかわからないのだ。
「休み方には積極的休養と消極的休養があるって知ってる?」
彼女はそう言って、僕のマグカップを指でなぞった。
「積極的休養って色々あるんだけど軽く体を動かして血流を良くする方法。ウォーキングとか、ストレッチとか」
「それなら、たまにやってるよ」
「たまにじゃなくて、ちゃんと習慣にするのが大事なんだって」
僕は黙って下を向いた。
「消極的休養にもいろいろあるんだけど、消極的、っていうとネガティブな印象を持つかもしれないけど、決してそういう意味ではなく、しっかり寝るとか、マッサージを受けるとか、できるだけ肉体疲労を増やさないようにゆっくり過ごす休み方のことなの」
「うん、それも得意だよ。やっているさ。」
僕はまるで街頭募金活動を無理やりやらされている気弱な学生のような
小さな絞り出すような声でそう答えた。
「本当に?」
彼女は微笑んだ。
この彼女の微笑みはときに僕をどんな表情より恐怖させる。
「休むことを、ちゃんと楽しめてる?どうやったら休みがちゃんと取れるか?ちゃんと休む方法や時間の作り方を考えたほうが良いわよ』
そう言われて僕は何も言えなかった。
『休みの作り方』
僕はそう呟いた。今まで考えたことなかった。確かに休むことは仕事をパフォーマンスを低下させないために大切なことだ。
「頑張る」ということで自分を誤魔化し、僕は休むことを蔑ろにしていたのだ。
八ヶ岳で買ってきたお気に入りのコーヒー豆にはいささか悪いことをしたが、僕にそのことを気が付かせてくれたのだから、きっとコーヒー豆も納得してくれるだろう。
****************
翌朝、僕は久しぶりに散歩をしてみた。
公園には、早咲きの桜がちらほらと咲いていた。
深呼吸すると、少しだけ気持ちが軽くなる。
「君はどうやったら休める?」
彼女の言葉が頭の中で繰り返される。
僕は、ちゃんと休めているのだろうか。
多分、まだ足りない。
でも、今日は少しだけ、うまく休めた気がする。
【解説】ストレス状態は人間を『頑張れモード』にするため疲労や空腹などを感じにくくします。
みなさんの周りにも仕事や家事、育児、介護などバリバリやってほぼ休まないのに元気、という方いませんか?
本来は疲労困憊で休まないと行けないのに、ストレス状態にあるので無理できてしまう、頑張れてしまう、そんな
『かりそめの元気』状態の方が最近増えています。
かりそめの元気の間にストレスが軽減したり、自分でうまく休みが取れると病気になりませんが、そのまま走り続けて『かりそめの元気』が空になると心身の調子がガクッと崩れて、命取りとなる場合があります。
ミスが増える情緒が不安定になる
元気そうに見えてもカラダや心は弱りのサインや『ブレーキ踏んで』というサインを出してくれるし
もし皆さんの大切な人が『頑張り過ぎじゃない?』『休んだほうが良いよ』って言われたらその言葉をちゃんと受け止めましょう。
「ちゃんと休む」
なにより大切なご自愛です。
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