夏こそ『ミネラル補給』を〜改めて知っておきたいミネラルの大切さ〜②〜【漢方的食養生】
その日、僕は駅前のカフェでコーヒーを飲んでいた。窓際の席に座り、行き交う人々をぼんやり眺めながら、頭の片隅で
「スイーツとは一体なんだろう」
と考えていた。
考えてみると、スイーツというのは季節とともに巡ってくるものだ。
二月にはバレンタイン、三月にはホワイトデー。
年度末や年度初めには、挨拶がわりにお菓子が手渡される。
そうして机の上には、気づけばスイーツがいくつか並ぶことになる。
僕はポケットからミルクチョコレートを取り出し、一片を口に放り込む。
甘さが舌の上でゆっくりと広がっていく。
「スイーツは体に悪い」
という話はよく聞く。
漢方的な食養生の観点からも、甘いもの、味の濃いもの、脂っこいものは避けるべきだとされている。
しかし、世界は白と黒だけでできているわけではない。
スイーツにも、きっと良いところがある。
例えば、ケーキやプリンはタンパク質や脂質を多く含むし、小麦粉や砂糖からは大切なエネルギー源である糖質を得られる。
そう考えると、スイーツはある意味で合理的な食べ物だ。
登山の遭難時にチョコレートやクッキーが役立つように、災害時には甘いものが貴重なエネルギー源になる。
スイーツはただの「嗜好品」ではなく、状況次第で「生きるための糧」となることもあるのだ。
そんな事も踏まえて僕は
「スイーツはいつ食べるのが良いのだろうか?」と、自問してみた。
朝のスイーツは脳のエネルギー補給に適しているし、日中のスイーツは眠気を防ぐのに一役買う。
要するに、スイーツは食べ方次第で味方にもなれば敵にもなる、ということだ。
僕はコーヒーを一口飲み、口の中の甘さを流し込む。
そういえば、以前付き合っていた彼女は「甘いものを食べると心がちょっとだけ軽くなる」と言っていた。
確かに、スイーツにはそんな作用があるのかもしれない。
漢方的には甘味は弱ると思い煩い、不安が強くなる「脾」を養う味なので彼女の言うこともあながち間違ってはいない。
駅の時計をちらりと見る。
そろそろ行かなくてはならない時間だった。
僕はポケットの中でチョコレートの包み紙を丸め、コートのボタンを留める。
そして、席を立つ前にもう一度、カフェのテーブルに残されたスイーツを見た。
——まあ、人生には甘さも必要だろう。 そう思いながら、僕はカフェを後にした。
※今回は先日noteで公開したスイーツについてのコラムを短編小説風にアレジンしてみました。
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