家飲みは意外と飲み過ぎちゃう?漢方的『二日酔い』対策
どうも!
漢方専科・さわたや薬房の早川です。
さて、今回含めて3回にわたり中医学的5つの味、五味についてお届けしております。
酸味・苦味・甘味の3つの味については下記のリンクから御覧ください。ご覧になっていない方は酸味・苦味を最初に御覧ください。
※酸味・苦味についてはこちらから
https://note.com/sawataya/n/n8acf141ee57b
※甘味についてはこちらから
https://note.com/sawataya/n/n886870e0ef06
今回は残りの2つ『辛味』と『鹹味(かんみ)』についてお伝えしたいと思います。
~辛味は「肺」を養う。肺は皮毛、鼻に反映する。
肺は呼吸によって「気」の生成に関わると言われています。
この「気」は中医学では大変重要な考え方で、人間のカラダ(内蔵など含めて)を動かす元となるものであり、免疫や気力なども含めて生きる活力の元になると考えられています。
川の流れに例えると、いくら水がたくさんあっても勢いがないと水が流れませんよね。カラダも同じで血液などカラダの中にあるものは気がないと流れないと考えるのです。
中医学的な考えなので、わかりにくいかも知れませんが、このうような理論についても機会があればご紹介したいと思います。
辛味はイメージ通りカラダを温めて、発汗作用を高めたりするので体の中のものを外に発散させたり、体内の循環を良くする働きがあると考えられています。
辛味の食べ物の代表は唐辛子や胡椒などの辛味の香辛料やネギ科の野菜などでしょう。
カラダの中を『温める』
というイメージが強く、多くの薬膳などに関する資料でも唐辛子や胡椒はカラダを温める物、と紹介されおり、上手に活用するとカラダをしっかりと温めてくれます。
しかし、ポイントがあり、辛味は使い方、とくに食べる量が大切です。
とくに薬味として使うような辛味の物、唐辛子などは食べる量に注意が必要です。
基本は、汗をかかない程度・ほんのり汗をかく程度にしておけばカラダを温めてくれますが、大量に汗をかくほどの辛くしてしまうと話が違って来ます。
辛味の香辛料は大量に取る場合は発汗をさせることにより逆に体温を下げる働きがあり、カラダを冷やします。
激辛料理をどんな気候の国で食べているか?考えるとわかると思います。
殆どの国が高温多湿の国で、辛い料理を食べることで、発汗して体温を下げたり、カラダのたまった湿気を取り除くことで体調を整えているのです。
暑い夏に辛味の料理で汗をかきさっぱりすることは良いのですが、体力が低下気味の方は発汗で疲労が強くなってしまったり、
発汗により体の中の「陰」(潤い・みずみずしさの元になるような物)が損なわれてしまいますので、いわゆるカラダの潤いが不足した「陰虚体質」の方やお年寄りにはおすすめできません。
例えると、夏に激辛のカレーや激辛ラーメンなどを食べて汗をかくとその後体温が下がりスッキリしますが、寒い冬に激辛鍋料理などで辛いもので汗をかきすぎて逆にカラダが冷えたり、汗をかきすぎて体力消耗や潤い不足になることもあるので、注意をしましょうね。
また、過度の辛味は発汗で最終的にはカラダを冷やしますが、一時的に熱を大量に生じさせます。
普段から怒りっぽい方、イライラしているときは『頭に血が上る』カッとなったときは『頭を冷やせ』と言われるぐらいなので、辛いものには注意しましょう。
普段からイライラしやすい方で辛味を好んで食べるような方は注意をしましょうね。
この辛味、まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」の典型的なパターンと言えると思います。
次にいよいよ五味の最後
「鹹(かん)味」塩辛い味、についてお届けいたします。
最後は「味の決め手」といっても過言ではないでしょう・・・・
「鹹(しおから)味」です。いわゆる「しょっぱい」味です。
「しおから味」は五臓の「腎」を養うと言われています。
腎は中医学では「腎は生長、発育、生殖、知能、足腰、老化にかかわり体液の代謝を調整する」と言われております。
まさに頭のてっぺんからつま先まで、体中に影響を及ぼす場所です。
腎は「肝腎要(かんじんかなめ)」と言われるように五臓の中でも要として考えられています。
腎は陰陽五行説では『水』です。水はまさに生命の源。そんなことからも重要性が伺えます。
また、昔から「塩梅」というように塩の加減はとても大切であり、生物の源である海もこの塩辛い味がします。
この塩分は血液のエネルギーであり、夏場汗をかきすぎると水分だけでなく、塩分も少なくなってしまい、ひどい場合は命に関わる場合があります。
汗をかく時期は適度な「Na(ナトリウム)」の摂取が必要です。
夏場の水分補給にスポーツドリンクなどが良いと言われているのは汗で失われうミネラル分の補給ができるからです。
実は汗をたくさんかくときに補給するべきなのは「水分」だけに目をとらわれがちですが、「塩分」も非常に大切なのです。
糖分が気になる方は「梅干し入りのお茶」などで水分を補給すると良いと思います。
現在では「塩辛い味」が健康のため敬遠されていると述べましたが、注意したいのは「塩化ナトリウム」の量です。
みなさん、「本物の塩」と「塩化ナトリウム(食卓塩)」が違うのはご存知だと思います。
現在、多くの場面で使用されている「食卓塩」は本来の天然塩から「にがり」などのミネラル分をとり「塩化ナトリウム」だけにしたものです。
本来の天然塩は5つの味全てが含まれているのです。苦味、酸味、辛味、甘味、本物の天然塩は風味が豊で美味しいですよね。
血圧にもこの「塩化ナトリウム」が一番の敵であり、使用する塩にちょっと気を使い、ミネラルが豊富なものを使うと、塩分が気になる方も「塩化ナトリウム」の量を減らすことができます。少し値段は張りますが、ぜひ健康のため、昔ながらの理にかなった天然塩がおすすめです。
塩は生命の源、腎も「腎精」という考え方があり、腎には生命の源が貯えられていると言われます。
大切にしたいですね。
天然の鹹味は基本的には『海の物』に含まれていると中医学では考えられています。
魚介類、海藻類など我々日本人は海のものから鹹味、ミネラル分を補給してきました。
鹹味はある意味、僕はミネラルだと思っていますから、僕らに今もっとも足りていない栄養素『ミネラル』を海の物から上手に取りましょう。
一番は自宅で魚を焼いたり、煮たりすればよいのですが、なかなか難しいですよね。魚焼きグリルを洗うのは本当に大変ですもんね。
なので、ついついお肉ばかりになってしまいがちな方は、コンビニで売っている温めるだけの焼き魚、煮魚や缶詰のサバ缶、イワシ缶などを定期的に食べるようにしましょう。塩分量だけはご注意くださいね。
また、最近はコンビニでもめかぶやもずく、増えるワカメや海藻サラダが売っています。
カップラーメンやインスタント食品に増えるワカメなどをいれるだけでもマシになりますから普段の食事にプラス海の物、で鹹味を上手に取りましょう。
シリーズでお伝えした「5つの味」いかがでしたか?
少しでも毎日の食養生の参考になれば幸いです。
できるだけ普段の生活で買い物する場所での『ちょい足し』で出来る事例をご紹介したつもりです。
完璧を求めるとなかなか行動に移せないと思います。まずは身近な『ちょい足し食養生』から始めて見ましょう。
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