『葛根湯』寒い冬こそ知っておきたい・もっとも日本で有名な漢方薬について③
☆春バテ=自律神経の乱れの漢方的養生法☆
春は自律神経の弱りやすい時期、その原因とそのような状態を最近では「春バテ」と呼び、様々な症状がおこるという仕組みの説明を前回までお伝えしてきました。
漢方では自律神経の失調のように、身体の状態や心の状態が不安定になりがちな状態を「鬱うつ」と言います。そんなの鬱の養生法についてご紹介したいと思います。
※内容的には中国の伝統医学・中医学の考えをお伝えしています。正確には漢方とは異なるのですが、ニュアンスとしてわかりやすくするために『漢方的』とさせていただきました。文中に出てくる中医学は一般的にみなさんが認識している漢方と受け取ってもらってかまわないです。
鬱の解消は、「気・血」の流れをスムーズに
中医学(中国漢方)の「鬱証」は範囲が広く、自律神経失調症、神経症、不安症、更年期障害など、多くの疾患が含まれます。重く受け止めがちな症状ですが、鬱証についてまとめた古典の医学書があるほど一般的な症状で、二千年もの昔から専門処方が数多くありました。
対策のポイントは「気」(元気)と「血」(血液)
鬱は、体内で何かが「鬱結(うっけつ)」した状態、と中医学では考えます。気、血、痰、湿、熱、食の鬱結が鬱の原因となりますが、中でも「気」と「血」がポイント。
健康を保つためには、生命のエネルギーとなる「気」と、心身に栄養を与える「血」が必要不可欠です。この気・血の流れが滞ったり(鬱結)、不足したりすると、心のトラブルが起こりやすくなるのです。
中医学の気・血の不足が鬱(自律神経の失調)の原因
ストレスが鬱(繰り返しになりますが、中医学の『鬱』とは自律神経失調症、神経症、不安症、更年期障害などのこと)原因となるのは、気・血を全身にめぐらせる「肝」の機能がストレスの影響で低下し、流れが滞ってしまうからです。
このような状態が長引くと、体内の気・血の不足にもつながり、さらにストレスへの対応力が弱くなってしまいます。
「心と身体は全体で一つ」とする中医学では、このように、鬱の原因は心だけでなく、身体の中にもあると考えます。
不規則な生活や偏った食事なども気・血不足の原因となるので、まずは規則正しい生活を心がけ、身体全体のバランスを整えていきましょう。
鬱の原因は、ストレスだけでなく身体の中にもあります。まずはその原因を知り、改善していくことが大切。身体のバランスを整えながら、心のトラブルを上手に解消していきましょう。
次回はタイプを大きく3つに分けて中医学的に自律神経の乱れ対策を見ていきましょう。
(参考文献:イスクラ産業HPより)
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