【FAQ】風俗トラブルで多い質問20|逮捕・示談・費用・秘匿をまとめて解説
この記事は、2026年10月13日時点の刑法、刑事訴訟法、民法、性的姿態撮影等処罰法、犯罪捜査規範の規定をもとに、風俗店の利用客の立場から書いています。刑法の法定刑は、2025年6月1日に施行された拘禁刑への一本化を反映した表記です。令和5年の刑法改正により、旧強制性交等罪・旧強制わいせつ罪はそれぞれ不同意性交等罪・不同意わいせつ罪に改められています。個別の事情によって見通しは変わりますので、具体的な対応はご相談のうえで判断してください。
「店から電話があったのは利用した日の夜だけで、それから5日、何の連絡もない。このまま終わったと考えてよいのか」。ご相談では、こうした問いから話が始まることがよくあります。トラブルの直後には何度も着信があったのに、ある日を境に静かになると、ほっとしたい気持ちと、見えないところで何かが進んでいるのではないかという不安が入り混じります。弁護士ドットコムなどの相談サイトにも、「何日連絡がなければ安心できるのか」という趣旨の質問が数多く寄せられています。
インターネット上では、「連絡がなくても被害届が出ている可能性がある」「時効が来るまでは安心できない」といった説明がよく見られます。いずれも誤りではありません。ただ、それだけでは、何を基準に自分の状況を判断すればよいのか、待っている間に何をすればよいのかが見えにくいままです。実際には、連絡が止まった時点で何が済んでいて何が済んでいないかによって、同じ「数日の沈黙」の意味は大きく変わります。
この記事では、風俗店の利用後にトラブルになり、店やキャストからの連絡が数日途絶えている場面に絞って、「終わった」と言える状態は何によって作られるのか、連絡が止まった時点の状況ごとに何が残っているのか、待つ間にどう動けばよいのかを整理します。警察から一度連絡があった後に途絶えている場合の捜査の進み方は捜査が長引く理由と待ち方|連絡が来ない期間に何が起きているかで、交渉の途中で店の担当者と連絡が取れなくなった場合の請求の扱いは【風俗トラブル】店の担当者と連絡が取れなくなった|請求が消えたのか、止まっただけなのかで扱っていますので、あわせてご覧ください。
数日の沈黙が示すこと・示さないこと
まず押さえておきたいのは、連絡が来ないという事実からは、思っているほど多くのことは読み取れないという点です。そのうえで、考えられる状況を順に見ていきます。
連絡が止まる理由は一つではない
店やキャストからの連絡が止まる理由には、さまざまなものがあります。店として請求をやめた場合もあれば、店の中で方針がまだ決まっていない場合、キャスト本人が気持ちを整理している途中の場合もあります。キャストが退店し、店としては関わらないことにした場合もあります。外から見える「連絡がない」という状態は同じでも、その裏側で起きていることは異なります。
考えられる状況と、その後に起こりうることを並べると、次のようになります。
| 考えられる状況 | その後に起こりうること |
| 店として請求をやめた、または関心を失った | そのまま連絡が来ないこともあるが、担当者の交代などで再開することもある |
| 店の中で方針が決まっていない | しばらくしてから、金額や条件を示して連絡が来ることがある |
| キャスト本人が気持ちを整理している、または周囲に相談している | 本人の判断によって、店を通じた連絡や警察への相談に進むことがある |
| キャストが退店した | 店からの連絡は止まりやすいが、本人が個人として動く可能性は残る |
| 警察への相談や届出が進んでいる | 店ではなく、警察から連絡が来ることがある |
店の沈黙と警察の動きは別に進む
性的な行為をめぐる被害について警察に届け出るのは、通常、被害を受けたとされるキャスト本人です。店が連絡を止めたことと、キャスト本人が警察に相談していないこととは、同じ意味ではありません。犯罪による被害の届出があれば、警察はこれを受理しなければならないとされていますが(犯罪捜査規範61条1項)、受理したことを届出をされた側に知らせる仕組みはありません。そのため、届出があった場合でも、次の連絡は店からではなく、警察から届くことがあります。警察が動き始めるきっかけは風俗トラブルで警察が動くきっかけ|被害届・通報・摘発から捜査が始まる流れで、届出に至るかどうかを左右する事情は被害届が出る場合と出ない場合|キャスト・店の判断で何が変わるかで整理しています。
「何日たてば安心」という区切りは法律上ない
犯罪について起訴できる期間(公訴時効)は、不同意性交等罪(刑法177条1項)で15年、不同意わいせつ罪(刑法176条1項)で12年、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条1項)で3年とされています(刑事訴訟法250条2項6号・3項)。いずれも、数日や数週間とはかけ離れた長さです。数日連絡がないことは、終わったことを示す材料にも、続いていることを示す材料にもならないと受け止めておくのが現実的です。時効の全体像は風俗トラブルの時効早見表|公訴時効と民事の消滅時効はいつ終わるのかで確認できます。
「終わった」と言える状態は何によって作られるのか
連絡の有無で判断できないとすれば、何をもって「終わった」と考えればよいのでしょうか。法的に区切りをつける手段は、大きく分けて合意と時の経過の二つです。
区切りをつけるのは、キャスト本人との合意
示談は、当事者が互いに譲り合って争いをやめる和解契約です(民法695条)。和解には、合意した内容をその時点で確定させる効力があります(民法696条)。示談書に、今回の件について互いに他に請求をしないという清算条項や、処罰を求めないという宥恕の意思、被害届を提出しないことなどを盛り込むことで、争いの範囲がはっきり閉じられます。性的な被害についての合意は、キャスト本人との間で成立していることが中心になります。店と話がついただけでは、キャスト本人の意思が反映されているとは限りません。示談書に入れておくべき条項は風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないで、店が交渉の窓口に立つことの問題は店がキャストに代わって示談交渉をしてよいのか|非弁行為という視点で説明しています。
合意があっても、刑事手続を法的に止めるものではない
不同意性交等罪、不同意わいせつ罪、撮影罪は、いずれも被害者の告訴がなくても起訴できる罪です。そのため、「被害届を出さない」という約束があっても、捜査機関が捜査することを法的に止めるものではありません。それでも、届出がなければ捜査のきっかけ自体が生じにくく、仮に捜査が始まった場合も、示談の成立や宥恕は起訴するかどうかの判断で考慮される事情になります(刑事訴訟法248条)。合意は、刑事と民事の両面で、区切りに最も近づける手段といえます。
時の経過が区切りになるのは、時効が完成したとき
合意がない場合に区切りとなるのは、時効の完成です。刑事の公訴時効は前の章で触れたとおりです。民事では、不法行為に基づく損害賠償の請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年で時効によって消滅するとされ(民法724条)、人の生命または身体を害する不法行為では、前者の期間が5年とされています(民法724条の2)。店が規約違反などを理由に契約上の支払いを求める場合は、権利を行使できることを知った時から5年が一つの基準になります(民法166条1項1号)。
区切りの種類ごとに、何が閉じて何が閉じないのかを整理すると、次のようになります。
| 区切りの種類 | 閉じるもの | 閉じないもの |
| キャスト本人との示談(清算条項・宥恕つき) | 合意した範囲の金銭の請求。被害届が出る可能性も小さくなる | 捜査機関による捜査そのものを法的に止めるものではない |
| 店との合意だけ | 店が主張する店の損害についての請求 | キャスト本人の請求や届出 |
| 民事の消滅時効の完成 | 時効を援用した請求 | 刑事手続(公訴時効は別に進む) |
| 公訴時効の完成 | 起訴される可能性 | 民事の請求(消滅時効が別に進む) |
| 連絡が来ない期間の経過 | 法的には何も閉じない | すべて |
表の最後の行が示すとおり、合意も時効もない状態で連絡が止まっているだけなら、法的には「未確定」のままです。そのことを前提に、自分の状況を見ていく必要があります。
連絡が止まった時点の状況ごとに残っているもの
同じ数日の沈黙でも、止まる直前に何があったかによって、残っている課題は変わります。ご相談で多い三つの状況に分けて見ていきます。
その場では何も言われずに別れた場合
利用の場では何も指摘されず、普通に別れたものの、後から自分の行為が気になってきたという状況です。弁護士ドットコムにも、「お店から連絡もないが、警察に行くことはあるのか」「何日連絡がなければ安心できるのか」といった質問が見られます。この場合、まず自分の認識を整理することが出発点になります。指摘されるような出来事に心当たりがなければ、当日の記録を残しておく程度で足りることが多いでしょう。一方で、相手の同意がはっきりしないまま行為に及んだなど心当たりがある場合は、店やキャストが後から申し出る可能性が残ります。ただし、自分が同意があったと受け止めていたことと、相手が同意していたと認められるかどうかは、別の問題として判断されます。
指摘や請求を受けたまま、話がまとまっていない場合
店から行為を指摘され、「必要があればこちらから連絡する」「被害届を出すかもしれない」と告げられたまま、連絡が止まっている状況です。この場合、請求も、キャスト本人が届け出る可能性も、どちらも閉じていません。店の担当者が返事を保留したまま止まっている場合の考え方は【風俗トラブル】店の担当者が「上と相談する」と言って返事を保留した|待っている間にできることで、店から「警察に行く」と言われた直後の過ごし方は【風俗トラブル】店から「警察に行く」と言われた翌日にすること|被害届が出る前の時間で扱っています。
お金を払った・書面に署名した後に止まった場合
「これを払えば手打ちにする」と言われて振り込んだり、店が用意した紙に署名したりした後に、連絡が来なくなる場合もあります。支払いの後に連絡がないことは、一つの区切りがついた可能性を示しています。ただし、何に対する支払いだったのか、誰との間の合意なのか、合意の内容が書面として手元に残っているのかによって、区切りの確かさは大きく異なります。口頭の「これで終わり」は、後から追加の請求や届出があったときに、合意の範囲を示す手がかりとしては弱いものです。口約束の意味は【風俗トラブル】店が「警察には言わない」と約束してきた|口約束の意味と限界で、書面の控えが手元にない場合は【風俗トラブル】示談書の原本を店しか持っていない|控えを求めるべき理由で、支払いの記録の残し方は【風俗トラブル】示談金の領収書・受領書をどう作るか|後日の否認に備えるで説明しています。
待っている間にしておくこと・控えること
連絡が来ない期間は、何もできない時間ではありません。次の連絡がどこから来ても落ち着いて対応できるよう、準備に使える時間です。
記録を残し、連絡がつく状態を保つ
利用した日時と店名、当日の経過、指摘された言葉、支払った金額、店に伝えた名前や電話番号、身分証を見せたかどうかなどを、時系列で書き出しておきます。店とのメッセージや着信履歴も消さずに残します。記憶は日を追うごとに薄れるため、連絡が来ていない今のうちに整理しておく意味は大きいといえます。着信拒否や電話番号の変更は、店からの連絡だけでなく、警察など別の相手からの連絡までふさいでしまうことがあるため、慎重に判断してください。記録の作り方は【風俗トラブル】自分側の記録をどう作るか|相談の前に整理しておく材料で、データの保存方法はLINE・メール・録音データの保存と渡し方|消してはいけない理由で紹介しています。
自分から「もう終わりですね」と確かめに行かない
不安が続くと、店やキャストに連絡して、終わったかどうかを確かめたくなることがあります。しかし、その連絡が、止まっていた話を再び動かすきっかけになることがあります。また、キャスト本人に面会を強く求めたり、強い言葉で迫ったりすると、証人等威迫罪(刑法105条の2)が問題になることもあります。待っている間に控えておきたい行動には、次のようなものがあります。
- 店やキャストに、終わったかどうかを確かめる連絡をする。
- キャスト本人のSNSや連絡先を探して、直接連絡をとる。
- 確認のために店に出向く、または店の近くに行く。
- 連絡が来ないことを理由に、やり取りの記録を消す。
- 経緯を匿名の掲示板やSNSに書き込む。
本人が直接連絡してはいけない理由は、性犯罪の示談交渉を弁護人に任せる意味|本人が連絡してはいけない理由で説明しています。
待つか、区切りをつけにいくかを考える
連絡が来ない期間に、ただ待つのか、弁護士を通じて自分から区切りをつけにいくのかは、状況によって判断が分かれます。指摘された出来事に心当たりがない場合や、すでに書面で合意が済んでいる場合は、記録を整えて様子を見るという選択も考えられます。一方で、心当たりがあり、店に本名や勤務先などの情報を知られている場合や、話がまとまらないまま止まっている場合は、被害届が出る前に、弁護士を通じてキャスト本人との示談を探るという選択肢もあります。待つことと区切りをつけにいくことのどちらが合うかは、心当たりの有無と、相手に知られている情報の範囲で考えると整理しやすくなります。示談の時期による違いは示談を始めるタイミング|被害届前・受理後・起訴前で何が違うかで、店とキャストを含めた三者での示談に至った当事務所の例は【解決事例】風俗店で「警察に行く」と告げられた本番行為トラブル|解決金30万円で三者示談が成立した事例でご紹介しています。
しばらくたってから連絡が来た場合
数日、あるいは数か月の沈黙の後に、連絡が再開することもあります。そのときに慌てないよう、受け方を先に考えておきます。
店やキャストから連絡が再開したとき
時間を置いてから、金額や期限を示して連絡が来ることがあります。すぐに折り返したり、その場で金額に応じたりせず、誰からの連絡で、何を求めているのかを確かめてから対応を決めます。時間が経ってからの請求については【風俗トラブル】数か月前の利用について突然連絡が来た|時間が経ってからの請求で、折り返す前に決めておくことは【風俗トラブル】帰宅途中に店から着信が続いている|折り返す前に決めておくことで扱っています。
警察から連絡が来たとき
逮捕されていない段階での呼び出しは、任意の出頭の求めです(刑事訴訟法198条1項)。取調べでは、自己の意思に反して供述する必要がないことが告げられます(同条2項)。見知らぬ番号からの着信には、すぐに折り返さず、伝える内容を整理してから連絡するのが望ましいでしょう。折り返す前の考え方は「警察から電話が来た」|折り返す前に確認したい3つのことで、呼び出しへの具体的な対応は警察から呼び出しの電話が来た|任意同行・出頭要請への対応で説明しています。
よくあるご質問
1週間、店からも警察からも連絡がありません。被害届は出ていないと考えてよいですか
そうとは言い切れません。被害届を受理したことは届出をされた側に知らされないため、連絡がないことからは、届出があったともなかったとも判断できません。一方で、連絡がないまま終わる場合があるのも事実です。安心も悲観もせず、記録を整理し、連絡が来たときの対応を決めておくことをおすすめします。
店に「これで終わりにしてほしい」と自分から伝えてもよいですか
止まっていた話を再び動かすことになりかねないため、本人からの連絡は控えたほうが無難です。区切りをつけたい場合は、弁護士が代理人として入り、キャスト本人の意向を確かめながら、清算条項や宥恕を含む書面で合意を整える方法が考えられます。
まだ何も請求されていないのに、弁護士に相談する意味はありますか
あります。請求や連絡が来る前の段階であれば、記録の整え方や、待つか区切りをつけにいくかの判断を落ち着いて検討できます。連絡が来てから相談する場合よりも、選べる方法が多い段階といえます。相談の際に準備しておきたい情報は、風俗トラブルの無料相談で聞かれること|相談前に準備すべき情報で紹介しています。
まとめ
- 性的な被害の届出は、通常キャスト本人が行うもので、店の連絡が止まったことと届出がないことは同じではない。警察は届出を受理しなければならないが(犯罪捜査規範61条1項)、受理したことは届出をされた側に知らされない。
- 公訴時効は不同意性交等罪15年、不同意わいせつ罪12年、撮影罪3年であり(刑事訴訟法250条2項6号・3項)、数日の沈黙で判断できる区切りは法律上ない。
- 区切りをつける中心は、キャスト本人との示談である。示談は和解契約であり(民法695条)、合意した内容を確定させる効力がある(民法696条)。
- 不同意性交等罪(刑法177条1項)などは告訴がなくても起訴できるが、示談の成立や宥恕は起訴するかどうかの判断で考慮される(刑事訴訟法248条)。
- 民事の請求は、不法行為で知った時から3年・行為時から20年(民法724条)、生命・身体を害する場合は5年(民法724条の2)、契約上の請求は5年(民法166条1項1号)が基準になる。
- 合意も時効もないまま連絡が止まっているだけなら「未確定」であり、口頭の「これで終わり」は合意の範囲を示す手がかりとして弱い。
- 待つ間は記録を残して連絡がつく状態を保ち、本人から店やキャストに確かめに行かない。面会を強く求めたり迫ったりすると証人等威迫罪(刑法105条の2)が問題になり得る。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。トラブルの後に店やキャストからの連絡が途絶え、終わったのかどうか分からないまま過ごされている段階でも、ご相談いただけます。
すでにお金を払った方や書面に署名した方も、合意の内容と経過をうかがったうえで、そのまま待つのか、区切りをつけにいくのかを一緒に検討いたします。お一人で判断される前に、まずは状況をお聞かせください。


