コンカフェ・ガールズバーの客側トラブル|高額会計と色恋営業
この記事は、2026年10月1日時点の法令(民法、刑法、刑事訴訟法、性的姿態撮影等処罰法)に基づいて作成しています。2023年の刑事訴訟法改正による性犯罪の公訴時効の延長、2025年6月の拘禁刑への一本化を反映しています。
「半年ほど前に利用した店から、急に電話がかかってきた」「何か月も前のことなのに、警察署から話を聞きたいと連絡があった」。風俗店の利用から時間が経ってから連絡を受けたというご相談は、当事務所でも少なくありません。利用した当日には何も言われなかったのに、という戸惑いを伴うことが多いようです。
時間が経ったのだから大きな問題にはならないだろうと考える方もいれば、反対に、今になって連絡が来るのは重大な事態だからだと受け止める方もいます。どちらの見方にも一理はありますが、実際には、連絡元がどこなのか、何を求められているのかによって、取るべき対応は変わります。
この記事では、利用から数か月が経ってから店・キャスト・警察などから連絡が来た場面に絞り、時間差が生まれる理由、時間の経過が法的に持つ意味、最初の連絡で決めないことと、集め直しておきたい記録を整理します。請求への対処の全体像は風俗の後日高額請求・不当請求|客ができる対処法、時効の期間の詳細は風俗トラブルの時効早見表|公訴時効と民事の消滅時効はいつ終わるのかで扱っています。
数か月後に連絡が来るのは珍しいことではない
利用した当日や翌日に何も言われなかったからといって、その件が終わったとは限りません。時間差が生まれる経路は、おおむね三つに分けられます。
キャスト本人が後から相談した
当日はその場が収まったものの、キャストが後になって店に打ち明けたり、身近な人や支援機関に相談したうえで警察に届け出たりすることがあります。性的な被害を受けたと感じた人がすぐに申告できないことは珍しくなく、2023年の刑事訴訟法改正で性犯罪の公訴時効が延長されたのも、こうした事情を踏まえたものです。客の側からは「今さら」と感じる時期でも、相手方にとっては相談に踏み切るまでに必要だった時間ということがあります。
別の事件や摘発から記録がたどられた
利用した店が摘発されて顧客名簿や予約履歴が押収された場合や、別の客の事件の捜査で予約記録が調べられた場合に、そこから利用者に連絡が及ぶことがあります。この場合、連絡の目的が、ご自身の行為ではなく、店の営業実態や別の事件について話を聞くことにある場合もあります。詳しくは【風俗トラブル】利用した店が摘発された|顧客名簿・予約履歴はどこまで捜査に使われるのかと【風俗トラブル】別の客の事件で自分の名前が挙がった|芋づる式に連絡が来る仕組みで整理しています。
利用の事実だけを手がかりにした請求もある
予約の際に伝えた電話番号や名前が外部に渡り、実際には何もなかったのに「規約違反があった」「被害届を出す」などと金銭を求める連絡が来ることもあります。時間が経つと当日の記憶があいまいになるため、身に覚えがあるかどうかに自信が持てない気持ちにつけ込まれやすい面があります。連絡が来たこと自体からは、本当に問題があったのか、便乗した請求なのかは判断できないため、まず連絡元と中身を確かめることが出発点になります。
時間が経ったことで、請求や捜査はなくなるのか
「もう何か月も前のことだから」という感覚は自然なものですが、法律上の期間で見ると、数か月という時間はそれほど長いものではありません。
民事の請求は数か月では消えない
店やキャストからの金銭の請求は、法的には、不法行為に基づく損害賠償か、利用規約などの約束に基づく違約金として主張されることが多いものです。不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年(人の身体を害した場合は5年)、行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条、724条の2)。約束に基づく請求権は、行使できることを知った時から5年などで消滅します(同法166条1項)。数ヶ月後に請求が来た段階で、請求の権利そのものが時効で消えていることはまずありません。
ただし、請求の権利が残っていることと、請求された金額に根拠があることは別の問題です。店の規約に違約金の定めがあっても、内容によっては無効とされたり減額されたりする余地があり、高額な「罰金」がそのまま認められるとは限りません。規約を持ち出された場合の確かめ方は【風俗トラブル】店から『うちの規約では』と言われた|規約の効力を確かめる順序で解説しています。
刑事の公訴時効も数か月では完成しない
刑事事件には、一定の期間が過ぎると起訴できなくなる公訴時効があります。時効は犯罪行為が終わった時から進行し(刑事訴訟法253条1項)、風俗の場面で問題になりやすい罪の期間は次のとおりです。
| 問題になり得る罪 | 法定刑の上限 | 公訴時効の期間 |
|---|---|---|
| 不同意わいせつ罪(刑法176条) | 10年の拘禁刑 | 12年(刑事訴訟法250条3項3号) |
| 不同意性交等罪(刑法177条) | 20年の拘禁刑 | 15年(同項2号) |
| 不同意わいせつ等致傷罪(刑法181条) | 無期拘禁刑 | 20年(同項1号) |
| 性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条1項) | 3年の拘禁刑または300万円の罰金 | 3年(同条2項6号) |
不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる罪です。被害者が18歳未満だった場合には、18歳に達するまでの期間がさらに加わります(同条4項)。いずれの罪も、数か月で時効が完成することはありません。
時間の経過が意味を持つのは「証拠」の面
時間の経過が実際に影響するのは、権利や時効よりも、事実を確かめる材料の面です。当日のやり取りの記憶は薄れ、店の防犯カメラの映像は一定期間で上書きされることもあります。これは請求する側にとっても、請求を受ける側にとっても同じで、相手方が主張する事実を裏づける材料がどれだけ残っているかは、事案ごとに異なります。時間が経っているから安心とも、時間が経っているから不利とも言い切れず、双方に残っている記録を比べる作業が必要になるという点を押さえておくとよいでしょう。
連絡元と求められている内容を見分ける
時間が経ってからの連絡は、誰から来たのか、何を求めているのかによって、最初に確かめることが変わります。
| 連絡元 | よくある求めの内容 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 店・店の関係者 | 規約違反を理由とする違約金や示談金の支払い | 店名・所在地・担当者の立場と、どの日の何を問題にしているのか |
| キャスト本人 | 慰謝料・治療費の支払い、謝罪 | 店を通した連絡か個人の連絡か、請求の前提として示されている事実 |
| 警察署 | 事情を聞きたいので来署してほしい | 警察署の代表番号にかけ直し、担当部署と担当者を確認する |
| 相手方の弁護士 | 書面での請求、示談の申入れ | 弁護士の氏名と所属を、日本弁護士連合会のウェブサイトで確認する |
| 名乗りがあいまいな相手 | 「調査会社」「管理会社」などを名乗る支払いの要求 | 実在する店や事業者か、利用の事実と結びつく具体的な情報を示しているか |
店やキャストからの請求
店やキャストからの連絡では、いつの利用の、どのような行為を問題にしているのかを、まず相手方に示してもらうことが大切です。数か月前の出来事について、こちらから先に詳しく説明を始めると、記憶があいまいな部分まで相手方の言い分に沿って話が進んでしまうことがあります。事務所に来るよう求められても、一人で出向く必要はありません。期限を区切って支払いを迫られた場合の考え方は、【風俗トラブル】支払期限を切られた|『今日中に』に応じないための伝え方を参考にしてください。
警察からの連絡
警察を名乗る連絡を受けたときは、着信のあった番号に折り返すのではなく、ご自身で調べた警察署の代表番号にかけ直し、担当部署と担当者を確認すると安心です。本物の警察からの連絡であれば、来署の求めは通常、任意のものですが、理由を確かめないまま応じないでいると、手続が進んでいく可能性もあります。呼ばれている立場が参考人なのか被疑者なのかによって準備が変わるため、出向く前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。警察署から着信があった段階でご相談いただき、5日で示談が成立した例として、【解決事例】デリヘル利用後に警察署から着信|出国を控えるなか相談から5日で示談が成立した事例があります。捜査が動く時期の考え方は【刑事事件】事件から時間が経ってから連絡が来た|捜査が動く時期の読み方で解説しています。
相手がはっきりしない連絡
店名を名乗らない、問題とされる日や行為を具体的に示さない、振込先だけを伝えてくるといった連絡は、利用の事実に便乗した請求である可能性もあります。こうした連絡には、支払いや個人情報の提供をする前に、相手方がどこの誰なのかを確かめることが先になります。見分け方は風俗トラブルで不当請求・詐欺を見抜くチェックリストにまとめています。予約の際に本名を伝えていなかった場合については、【風俗トラブル】偽名で利用していた|本名を知られていない場合の請求もあわせてご覧ください。
最初の連絡で決めないこと
突然の連絡を受けると、早く終わらせたいという気持ちから、その場で答えを出してしまいがちです。最初の連絡では、次のような点を意識しておくと、後の対応の幅を残すことができます。
事実を認めることも、強く否定することも急がない
数か月前の出来事について、その場で「申し訳ありませんでした」と全面的に認めると、記憶にない内容まで認めた形になることがあります。反対に、確かめないまま「そんな事実はない」と強く言い切ると、後で記録と食い違ったときに説明が難しくなります。「当時の記録を確認してから、あらためて連絡します」と伝え、相手方の名前と連絡先、問題にしている日と内容を控えるところまでにとどめるのが無難です。
支払い・署名・面会は持ち帰る
最初の連絡の段階では、次のようなことはその場で決めないようにします。
- 金額の約束や、指定された口座への振込み。
- 送られてきた示談書・誓約書への署名や、身分証の画像の送付。
- 店の事務所やキャストとの面会の約束。
- 勤務先や家族に関する情報の提供。
すでにご自身で相手方とやり取りを始めてしまった場合でも、そこから対応を立て直すことはできます。【風俗トラブル】弁護士に頼む前に自分で連絡してしまった|その後の交渉への影響をご覧ください。
連絡を無視し続けることの不利益
身に覚えのない請求であっても、連絡を一切無視し続けると、相手方が勤務先や家族に連絡しようとしたり、警察への相談に進んだりするきっかけになることがあります。答えを急がないことと、連絡を放置することは別のことであり、確認の時間をもらう旨を伝えたうえで、弁護士を通じて対応する方法もあります。
当時の記録を集め直す
時間が経ってからの連絡では、相手方の主張と照らし合わせるための材料を、ご自身の手元で集め直すことが重要になります。
手元で確かめられる記録
当日の記憶があいまいでも、次のような記録から、利用した日時や店、支払った金額をたどれることがあります。
- クレジットカードや電子決済の利用明細、銀行口座の出金記録。
- 予約サイトやアプリの予約履歴、店とのメールやメッセージのやり取り。
- 交通系ICカードの利用履歴や、スマートフォンの位置情報の記録。
- ホテルの利用記録や領収書、手帳やカレンダーの予定。
予約履歴や明細の中には、一定期間を過ぎると閲覧できなくなるものもあるため、連絡が来た時点で画面を保存しておくと安心です。
記録は消さずに、時系列のメモにまとめる
連絡が来たことで不安になり、当時のやり取りを削除したくなる方もいますが、消してしまうと、ご自身の言い分を裏づける材料もなくなります。記録は残したまま、利用した日時、店とキャスト、当日の経過、その後に受けた連絡の内容を、時系列のメモにまとめておくと、相談の際にも話が早く進みます。【風俗トラブル】自分側の記録をどう作るか|相談の前に整理しておく材料で詳しく解説しています。
弁護士に相談することで変わること
時間が経ってからの連絡は、相手方の正体や請求の根拠が見えにくい分、一人で判断すると迷いが大きくなりがちです。弁護士が関わることで、主に次のような点が変わります。
連絡の窓口を弁護士に移す
弁護士にご依頼いただくと、相手方に受任通知を送り、以後の連絡を弁護士に一本化するよう求めます。ご自身が直接電話やメッセージに応じる必要がなくなり、勤務先や家族への連絡を控えるよう求めることもできます。
相手方が誰なのかを確かめてから話を進める
数か月後の請求では、連絡してきた人物が本当に店やキャストの側の人なのか、請求する権限があるのかを確かめることが特に重要です。本人確認をしないまま支払ってしまうと、後から別の人物が請求してくることもあります。この点は【風俗トラブル】支払った後に相手が別人だと分かった|本人確認をしない示談の危うさで解説しています。
刑事手続に進んでいる場合の対応
すでに被害届が出されている場合や、警察から連絡があった場合には、取調べへの備えとあわせて、被害を訴えている方との示談を検討することになります。警察は被疑者本人に被害者の連絡先を教えないのが通常ですが、弁護士であれば、相手方の了承を得たうえで連絡先を伝えてもらい、交渉を進められる場合があります。示談の内容によっては、処分の判断に影響することもあります。
よくあるご質問
時間が経ってからの連絡について、ご相談の際によく寄せられる質問をまとめました。
半年以上前の利用でも、被害届が出されることはありますか。
あります。不同意わいせつ罪の公訴時効は12年、不同意性交等罪は15年とされており(刑事訴訟法250条3項)、半年や1年が経っていても、被害届が出され捜査が始まることはあります。ただし、時間が経っている分、事実関係の確認には双方の記録を丁寧に照らし合わせる作業が必要になります。
請求を無視していれば、そのうち連絡は来なくなりますか。
連絡が途絶えることもありますが、それで請求が法的に消えたわけではなく、民事の請求権は数年単位で残ります(民法166条1項、724条)。後になって勤務先などに連絡が及ぶこともあるため、無視を続けるより、弁護士を通じて請求の根拠を確かめ、決着の形を整えておく方が安心につながります。
利用した記憶がはっきりしない店から連絡が来ました。どうすればよいですか。
まず、カードの利用明細や予約履歴などから、その店を本当に利用したのかを確かめてください。利用の事実を確認できない場合や、相手方が問題の日や行為を具体的に示さない場合には、便乗した請求の可能性も考えられます。支払いや個人情報の提供はせず、相手方の名乗りと連絡の内容を記録したうえでご相談ください。
まとめ
- 利用から数か月後の連絡は、キャストが後から相談した場合、別の事件や摘発から記録がたどられた場合、便乗した請求の場合などがあり、連絡が来たこと自体から事情は判断できない。
- 民事の請求権は、不法行為なら損害と加害者を知った時から3年(身体の被害は5年)、約束に基づくものなら5年などで消滅し、数か月では消えない(民法166条1項、724条、724条の2)。
- 不同意わいせつ罪の公訴時効は12年、不同意性交等罪は15年、撮影罪は3年であり、数か月で時効は完成しない(刑事訴訟法250条2項6号、3項)。
- 時間の経過が影響するのは主に証拠の面で、双方に残っている記録を比べる作業が必要になる。
- 警察を名乗る連絡は、警察署の代表番号にかけ直して確認し、出向く前に立場と準備を相談しておく。
- 最初の連絡では事実の認否、支払い、署名、面会を決めず、相手方の名乗りと問題にしている日・内容を控えるにとどめる。
- カードの明細や予約履歴などの記録は消さずに保存し、時系列のメモにまとめておく。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。数か月前の利用について店やキャストから突然連絡が来た方、警察から話を聞きたいと言われて対応に迷っている方、身に覚えがあるかどうかも分からない請求を受けている方は、お一人で判断する前にご相談ください。
当時の記録と、受けた連絡の内容を伺ったうえで、相手方への対応の順序や今後の見通しをご説明します。ご相談の内容がご家族や勤務先に伝わらないよう、連絡方法にも配慮します。


