【解決事例】相手と直接顔を合わせずに婚約を解消したい|弁護士介入で約1ヶ月半にて円満解決した事例
本記事は、2026年10月時点の民法、民事訴訟法、弁護士法などの規定にもとづいて、一般的な考え方を整理したものです。実際の対応は、連絡の内容や関係の経過によって変わります。
「パパのLINEから、急に奥さんを名乗る人のメッセージが届いた」「本名は教えていないのに、なぜ連絡が来たのか分からない」。パパ活をしていた方から、こうしたご相談が寄せられます。反対に、夫のスマートフォンでやりとりを見つけて相手に連絡を入れたものの、この先どう進めればよいか迷っているという配偶者の方からのご相談もあります。
インターネット上では、「無視は危ないので誠実に対応を」「すぐに弁護士へ」といった説明が多く見られます。どちらもそれ自体は誤りではありません。ただ、最初の連絡が来た段階は、まだ請求の中身も、相手が何を知っているのかも見えていない段階です。そこで何を返し、何を返さないかによって、その後の話の進み方は大きく変わります。
この記事では、パパ活の相手の配偶者から初めて連絡が来た場面に絞り、返事をする前に確かめておきたいことを整理します。ママ活で相手の夫から連絡が来た場合も、基本的な考え方は同じです。慰謝料を払う必要があるかどうかの判断基準や、書面・弁護士名義で請求が届いた後の対応は、それぞれ別の記事で詳しく扱っていますので、該当する箇所でご案内します。
連絡が来た時点では、まだ何も決まっていない
連絡の中身はおおむね四つに分けられる
配偶者からの最初の連絡は、怒りや戸惑いが混ざった文面になることが多く、一読しただけでは何を求められているのかが分かりにくいものです。まずは、文面が次のどれに当たるのかを落ち着いて読み分けることから始めます。
| 連絡の中身 | よくある文面の例 | この段階で考えたいこと |
|---|---|---|
| 事実の確認 | 夫とはどういう関係ですか、いつから会っていましたか | 答える前に、相手がどこまで把握しているかを考える |
| 抗議・謝罪の要求 | 今後一切会わないでください、謝ってください | 会わないことと、事実を認めることは別の問題として扱う |
| 面会の求め | 一度会って話をしたい、指定する場所に来てほしい | 会う義務の有無と、会う場合の条件を分けて考える |
| 金銭の請求 | 慰謝料として○○万円を払ってください | 金額や支払方法をその場で約束しない |
実際には、一通のメッセージにこれらが重なって書かれていることも珍しくありません。それでも、どの要素が中心なのかを見ておくと、返事をするにしても何について答えるべきかが絞られます。
「無視しないほうがよい」と「すぐ返事をしなければならない」は違う
個人から届いたメッセージに、いつまでに答えなければならないという法律上の決まりはありません。他方で、何の反応もないまま時間が過ぎると、相手が弁護士に依頼して書面を送ってくる、勤務先や自宅を調べようとするなど、話が別の段階に移ることがあります。最初の連絡への対応で決まるのは、支払義務の有無ではなく、その後の話がどの場で、誰を相手に進むのかです。急いで中身に答える必要はありませんが、放置するのか、受け取ったことだけを伝えるのか、専門家に窓口を任せるのかは、早めに決めておくことをおすすめします。放置した場合の流れは【不貞慰謝料・請求された側】無視するとどうなるのか|放置の帰結で整理しています。
パパ活ならではの事情|相手がどこまで知っているのか
連絡の経路から、相手の手元にある情報を推し量る
パパ活では、お互いに本名や住所、勤務先を伝えていない関係も少なくありません。そのため、配偶者からの連絡がどの経路で届いたのかは、相手がどこまで情報を持っているのかを知る手がかりになります。
| 連絡の経路 | 相手が持っている可能性の高い情報 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| パパの端末やアカウントから届いた | やりとりの履歴、待ち合わせの記録、送金の記録 | 履歴に残る内容と食い違う説明をしない |
| ご自身の電話番号やSNSに直接届いた | 連絡先、アカウント名、投稿の内容 | ほかのアカウントや個人情報をたどられない設定に見直す |
| 自宅や勤務先に連絡や郵便が届いた | 氏名、住所、勤務先 | 自宅への書面の扱いや、連絡の窓口の変更を検討する |
とくにパパの端末から届いたメッセージは、配偶者がこれまでのやりとりを読んだうえで送っている可能性があります。過去のメッセージ、プレゼントや振込の記録、待ち合わせ場所の写真などは、相手の手元にすでにあるかもしれないという前提で考えておくほうが安全です。自宅に書面が届くことが心配な場合は、【不貞慰謝料・請求された側】自宅に書面が届く場合の対処と、送付先の変更も参考になります。
本名や住所を知られていないことの意味と限界
本名や住所を知られていなければ請求されないのでは、と考える方もいます。たしかに、相手が誰なのか分からなければ書面を送ることも訴訟を起こすことも難しく、配偶者の側にとっては大きな壁になります。ただし、弁護士は職務上の照会制度(弁護士法23条の2)を使って照会を行うことがあり、訴訟になれば裁判所を通じた調査の嘱託(民事訴訟法186条)が使われる場面もあります。振込の記録が残っていれば、口座の名義から氏名が分かることもあります。知られていないことは、請求されない理由ではなく、相手にとって手間がかかる事情にとどまると考えておくほうが実情に近いでしょう。
こちらから情報を出しすぎない
相手がまだ知らない情報を、こちらから進んで伝える必要はありません。謝罪の言葉と一緒に、本名や勤務先、住んでいる地域などを書き添えてしまう例は少なくありません。他方で、名前を偽る、別人を装うといった対応は、後で事情が明らかになったときに不誠実な対応と受け取られ、話し合いを難しくするおそれがあります。伝えない自由はあっても偽ることはしない、という線を意識しておくと判断に迷いにくくなります。
本当に配偶者からの連絡なのかを確かめる
名乗っている人と、実際に送っている人が同じとは限らない
パパのアカウントから「妻です」と名乗るメッセージが届いた場合、送っているのが本当に配偶者なのかは、文面だけでは分かりません。配偶者本人のこともあれば、パパ自身が配偶者を装っている、家族以外の第三者が関わっているといったこともありえます。名乗りの真偽が分からないうちに、関係の中身や金額の話に進むことは避けたいところです。相手が配偶者であるかどうかを確かめたい場合は、書面や弁護士を通じたやりとりに切り替えてもらうよう求めることも一つの方法です。
すぐに振り込ませようとする連絡には注意する
「今日中に振り込めば家族や職場には言わない」「指定の口座に送ってくれれば終わりにする」といった、短い期限で送金だけを急がせる連絡は、正当な慰謝料請求とは性質が異なる可能性があります。配偶者からの請求であっても、金額の根拠を示さずに送金だけを迫る形は、話し合いの進め方として不自然です。見分け方については美人局と正当な慰謝料請求の見分け方|払う前に確認すべきことで詳しく扱っています。
パパ本人に連絡を取るかどうか
配偶者から連絡が来ると、まずパパ本人に事情を聞きたくなるものです。ただ、パパと配偶者の間で話し合いが進んでいる最中は、こちらがパパに送ったメッセージもそのまま配偶者の目に触れることがあります。説明をそろえようとするやりとりは、口裏合わせと受け取られるおそれもあります。また、パパと自分とでは、関係の始まり方やお金の意味について言い分が食い違うことが珍しくなく、いずれ利害が対立する場面も出てきます。パパへの連絡は内容を最小限にとどめ、後で第三者に読まれても困らない文面にしておくことをおすすめします。
返事をする場合に避けたいこと
関係の中身を、文字で認めたり否定したりしない
メッセージは、送った時点から相手の手元に記録として残ります。「体の関係はありました」と書けば、後でその文面が証拠として使われることがあります。反対に、事実と違う内容で強く否定すると、後から別の資料が出てきたときに説明全体の信用が揺らぎます。最初の段階では、関係の中身について認めることも否定することも控え、事実関係を整理してから答える、という姿勢が無難です。否認する場合の注意点は【不貞慰謝料】肉体関係を否認する場合に注意すること、本人が書いた文章の扱いは【不貞慰謝料】本人が書いた念書・謝罪文の証拠価値で解説しています。
金額や支払いをその場で約束しない
「払います」「分割でなら払えます」といった返事は、後で金額や支払義務を争う余地を狭めることがあります。相手から示された金額が妥当かどうかは、関係の内容や期間、相手夫婦のその後などによって変わり、文面だけで判断できるものではありません。支払いに触れる返事は、支払義務と金額の見通しが立ってからにすることをおすすめします。
返事をするなら、短く、受領と今後の進め方だけを伝える
まったく反応しないことに不安がある場合は、関係の中身には触れずに、受け取ったことと今後の進め方だけを伝える方法があります。たとえば、次のような要素にとどめる形です。
- ご連絡を受け取ったこと。
- 内容を確認したうえで、改めて連絡すること。
- 今後のやりとりは、書面か代理人を通じてお願いしたいこと。
謝罪の言葉を入れるかどうかは悩ましいところですが、謝罪が事実を認めた趣旨と受け取られることもあるため、入れる場合も表現には注意が必要です。謝罪文を求められたときの考え方は【不貞慰謝料・請求された側】謝罪文を書くよう求められたときで整理しています。受け取ったメッセージは削除せず、画面の保存などで残しておきます。残し方は男女トラブルの証拠の集め方|LINE・録音・写真を法的に有効にするを参考にしてください。
「会って話したい」と言われたとき
会う義務はない
配偶者から直接会うよう求められても、それに応じなければならない法律上の義務はありません。面会を断ったことだけで、支払義務が生じるものでもありません。ただ、断り方によっては相手の感情を強め、話し合いが難しくなることもあります。「直接お会いするのは控えたいが、書面でのやりとりには応じる」といった形で、話し合いの窓口は閉じていないことを示すと受け止められやすくなります。
応じる場合に決めておきたい条件
事情があって会うことにした場合は、事前に次の点を決めておくと、その場の流れに押されにくくなります。
- 人目のある場所を選び、自宅や相手の家は避けること。
- 時間の上限をあらかじめ伝えておくこと。
- 相手側に同席者がいるのか、誰なのかを事前に確認すること。
- その場で書面に署名しない、金額を約束しないと決めておくこと。
- 信頼できる人に、会う場所と時間を伝えておくこと。
面会の場で念書や示談書を差し出され、帰りにくい雰囲気のなかで署名してしまったというご相談は少なくありません。署名した書面の効力を後から争える場合もありますが、簡単ではありません(脅されて署名した念書・示談書は有効か|「無効」と「取消し」の違い)。会うかどうかよりも、その場では何も決めないと事前に決めておくことのほうが、結果に大きく影響します。持ち帰って検討したいと伝えることは、正当な対応です。
パパ本人の同席をどう考えるか
三人で会う形を提案されることもあります。パパが同席すると話が早く進むように見えますが、パパが配偶者の前で自分に有利な説明をすることもあり、その場で反論しにくい状況になりがちです。同席を受け入れる場合でも、その場は事実を確かめる場にとどめ、結論は持ち帰ることをおすすめします。
連絡が度を越えているとき
正当な請求と、度を越えた連絡の違い
配偶者が慰謝料を請求すること自体は、法律が認める権利の行使です。しかし、「払わなければ家族や職場に知らせる」と告げる、勤務先に何度も電話をかける、SNSで関係を公表すると予告するといった行為は、脅迫や恐喝、名誉毀損などの問題になりうるものです。請求する権利があっても、知らせると告げて支払いを迫ることまで許されるわけではありません。どこからが問題になるのかは不倫相手の配偶者からの請求が「恐喝」に変わるときで解説しています。
身バレが心配なときの進め方
パパ活をしていたことを周囲に知られたくないという事情は、相手に強く出られたときに弱みとして働きやすいものです。連絡の記録を残し、日時と内容を整理したうえで、警察の相談窓口や弁護士に相談すると、相手を刺激せずに止める道筋が立てやすくなります。具体的な進め方はパパ活相手からストーカー・脅迫被害|身バレを防ぎながら止める方法を参照してください。
払う必要があるかどうかは、別の物差しで判断する
判断の軸は「パパ活だったかどうか」ではない
配偶者に対する責任が生じるかどうかは、「パパ活だったか、交際だったか」という呼び名では決まりません。肉体関係があったか、相手が既婚者だと知っていたか、知らなかったことに落ち度があったか、関係が始まった時点で相手夫婦の関係がどういう状態だったかといった事情によって判断されます(民法709条、719条)。連絡が来たことは、支払義務があることを意味しません。それぞれの判断基準は、【不貞慰謝料】既婚と知らなかった|故意・過失が否定される場合と肉体関係がなくても慰謝料が生じる場合|平穏侵害型の責任で詳しく扱っています。
お手当を受け取っていたことはどう評価されるか
お手当などの金銭を受け取っていたことが配偶者との関係でどう評価されるのか、受け取ったお金が慰謝料から差し引かれるのかといった点は、パパ活に特有の論点です。誰が既婚者だったのかとお金の流れの組み合わせによって整理が変わるため、【不貞慰謝料】パパ活・ママ活の相手が既婚だった場合とパパ活相手が既婚者だった|相手の配偶者から慰謝料請求されるリスクをあわせてご覧ください。
書面や弁護士名義の連絡に切り替わったら
配偶者が弁護士に依頼すると、以後の連絡は書面や代理人を通じたものに変わります。その段階で確認したいことは、【不貞慰謝料・請求された側】慰謝料請求の書面が届いた|最初にすべきことと【不貞慰謝料・請求された側】相手方の弁護士から連絡が来たときの対応で整理しています。
連絡をしている配偶者の方へ
夫の端末やアカウントから連絡することの注意点
配偶者の側から見ても、最初の連絡の仕方はその後に影響します。夫の端末から相手にメッセージを送ると、相手は誰が送っているのか確信を持てず、警戒して連絡を絶ってしまうことがあります。また、夫のIDとパスワードを使って別の端末からアカウントにログインするといった方法は、不正アクセスの問題になりうるため注意が必要です。集めた資料の扱いについては【不貞慰謝料】配偶者のスマホをのぞき見て得た証拠は使えるのかも参考になります。
請求の窓口を整えてから伝える
相手の勤務先や家族に知らせることで話を早く進めようとすると、かえって請求する側が責任を問われる場面があります(【不貞慰謝料・請求する側】相手の勤務先に連絡してもよいのか|やってはいけない取り立て)。最初の連絡は、怒りを伝える場ではなく、請求の窓口を相手に示す場と考えると、その後の進め方を組み立てやすくなります。請求の意思を伝える場合は、相手の言い分を聞ける窓口を用意し、書面で落ち着いて伝えるほうが、結果として話がまとまりやすくなります。
よくあるご質問
本名を知られていないなら、連絡を断てばそのまま終わるのではありませんか。
相手が誰なのかを特定できなければ、請求が進みにくいのは確かです。ただ、前に述べたとおり、照会や振込の記録などから氏名が分かることがあります。また、慰謝料請求の時効は、被害者が損害と加害者を知った時から3年とされています(民法724条1号)。ここでいう「加害者を知った時」は、一般に、相手に請求できる程度に知った時と解されているため、本名が分からないうちは期間が進まないと考えられる場合があります。連絡を断つことで話が終わるとは限らない、という前提で考えておくほうが安全です。
パパから「自分が妻と話をつけるから、何も言わないでほしい」と言われました。従っていればよいのでしょうか。
パパと配偶者の間でどのような話し合いがされても、それによってこちらの責任の有無が当然に決まるわけではありません。パパが配偶者に支払いをした場合の扱いや、後からパパがこちらに負担を求めてくる可能性など、相手夫婦の間の決着がこちらにどう影響するかは事案によって異なります(【不貞慰謝料】配偶者がすでに支払っている場合|二重取りにならない仕組み)。パパの言葉だけに頼らず、ご自身の立場から見た見通しを持っておくことが大切です。
パパの親やきょうだいから連絡が来た場合も、同じように考えればよいですか。
配偶者は慰謝料を請求できる当事者本人ですが、親やきょうだいなどの家族は、通常、それ自体として請求の当事者ではありません。誰が、どの立場で連絡してきているのかによって対応が変わるため、【不貞慰謝料】相手の家族から直接連絡が来た場合の対応をご覧ください。
まとめ
- 最初の連絡は、事実の確認、抗議、面会の求め、金銭の請求のどれが中心なのかを読み分ける。
- 個人からの連絡に法律上の回答期限はないが、放置するか、受領だけを伝えるか、窓口を任せるかは早めに決める。
- 本名や住所を知られていなくても、弁護士による照会(弁護士法23条の2)や調査の嘱託(民事訴訟法186条)、振込の記録などから特定されることがある。
- 名乗っている人が本当に配偶者かを確かめる前に、関係の中身や金額の話に進まない。
- 返事をする場合は、関係の中身を認めも否定もせず、受領と今後の進め方だけを短く伝える。
- 面会に応じる義務はなく、応じる場合もその場で署名や金額の約束をしない。
- 支払義務の有無は、肉体関係の有無、既婚と知っていたか、相手夫婦の関係の状態などで判断され(民法709条、719条)、時効は損害と加害者を知った時から3年とされている(同法724条1号)。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。パパ活の相手の配偶者から連絡が来て、返事に迷っている段階からご相談いただけます。
連絡を受けた方には、返事の内容や窓口の置き方を一緒に検討し、必要に応じて弁護士が窓口となって相手方とのやりとりをお引き受けします。配偶者の立場で請求を考えている方からのご相談もお受けしていますので、お一人で抱え込まずにお問い合わせください。


