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川口博正

世界へ羽ばたく陸上選手を育てるコーチ

川口博正(かわぐちひろまさ) / 陸上コーチ

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コラム

自分の身体を使いきる

2011年6月15日 公開 / 2016年2月4日更新

コラムカテゴリ:スクール・習い事

コラムキーワード: トレーニング方法

身体はどのように使うことが理想なのか?
私は日々そのようなことばかり考えています。

デイキャンプ

某私立高校のバレーボール部でフィジカルトレーナーとして契約していた時には、自分が経験していない競技だけに頭はフル回転でした。
陸上には無い横や後ろへの動き、または瞬時の方向転換、ジャンプ後にオーバーヘッドからボールを強く叩く動き、他にもたくさんありますが、このような能力をどのように高めていけば良いのか、考えている時間がとても楽しく、新たなアイデアが生まれたり、発見があった時には一人で興奮していました。
様々なトレーニング方法も考案しましたが、その根本にあったのは“身体はどのように使うことが理想なのか”ということ。
違う競技の指導を経験すると、陸上競技の指導に対する考え方にも幅が広がり、とても良い経験が出来ました。

現代人は本来人間が持っている能力を全て使いきれていないのではないかと私は思ってます。
動物はそれぞれの生活環境に合わせた身体の使い方を自然に行っていますが、人間の生活環境はとても複雑になり多様化しています。
そのような生活をしている中で速く走ったり、高く(遠く)跳んだり、遠くへ物を投げるという基本動作が重要ではなくなっていることが一番の原因です。

例えばチーターは速く走れなくなったら生きていけないので、生きているチーターはみんな脚が速いということになります。
人間には様々な生活スタイルがあり、そのほとんどで速く走ることは必要とされていないのです。

生きているもの全てが、生きるために進化を遂げているので、必要としない能力はどんどん落ちていくのが自然なのです。
そう考えると子供たちの運動能力が落ちていくのも自然の流れなのかもしれませんね。

私はチーターからも走り方を学びますし、チーター以外の動物からも身体の使い方を学びます。
動物の方が身体の使い方と生きることが直結している以上、身体の使い方は人間よりも優れていると考えるからです。
もちろん人間には人間の骨格がありますし、四足歩行の動物の動きが二足歩行の人間に100%応用出来るわけではありません。
そこをしっかり機能解剖学的な視点からも考えることで新しいアイデアが生まれるのです。

私は動きが複雑なスポーツほどこの考えが生かせると思っているので、陸上競技においても技術系の種目で結果は残しやすいのではないかと考えています。
クラブチーム発足当初よりトラック種目で世界へ出るのであれば、絶対にハードル種目が世界一を獲りやすいと言い続けてきました。
トラック種目の中でこれだけ技術的要素が勝負に影響する種目は他には無いからです。
実は他にも理由があるのですが、ここでは敢えて伏せておきます。

ハードル

最近になりようやく、その言葉通りの結果をハードルブロックの選手たちが残して始めていますが、私の考えている動きを選手に教えるには私自身の成長も必要だと強く感じています。
身体の使い方を簡単に身につけてくれる選手はほとんどいませんし、多くの場合は真逆でしょう。
元々の身体能力が高い選手ほど技術を身につけない傾向にあります。
基本的には本人の自覚と努力が大きいと思いますが、根気よく付き合うことが今の私には求められているように感じています。

陸上競技も突き詰めていけば、やはり技術の優れた選手が勝つものだと信じています。
私の考えている複雑な身体の使い方を理解し、そして身につけ、世界へ羽ばたいてくれる選手はいつ現れてくれるのでしょうか?

この記事を書いたプロ

川口博正

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