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  1. 共有不動産の競売を申し立てるにはどのくらいの費用がかかる?
松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき)

株式会社中央プロパティー

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コラム

共有不動産の競売を申し立てるにはどのくらいの費用がかかる?

2018年11月18日

共有名義不動産の共有物分割訴訟で競売の判決が出た場合、何もしなければ競売は始まりません。判決後は、速やかに共有名義不動産の競売申し立てを行います。
この手続きの手順や費用を紹介します。

共有不動産の競売を申し立てるにはどのくらいの費用がかかる?

ケースその1 共有名義不動産が競売になるのはどんな時?

共有名義不動産が競売にかかる経緯は2通りの場合が考えられます。

1つ目は、共有者の誰かの持分に抵当権が設定されており、それが実行された時です。

共有者は、各自が所有する持分の権利を担保にすればお金を借りることができます。ただし、お金が返せなくなってしまうと、お金を貸した債権者は、現金の代わりにその人が持つ共有名義不動産の所有の権利を差し押さえます。

そして、この不動産の権利を強制的に売却するために競売を申し立てます。請求が受理されれば共有名義の持分は競売にかかり、債権者はその代金を返済金として受け取ります。

ケースその2 共有物分割訴訟の判決で競売になる場合

2つ目は、共有物分割訴訟が起こされて、裁判所が共有名義の不動産の分割方法を決定した結果、競売になるケースです。共有者は、持分権利の多少にかかわらず、共有名義の不動産の分割を請求することができます。

裁判所は、それぞれの権利者から共有名義不動産についての主張や希望を聞き、最終的な分割方法を提案します。

裁判所が出す分割方法の判決は、次のような種類があります。

(1)現物分割
土地のみの場合によく用いられる方法で、持分の割合に応じた不動産の評価額で不動産を分筆し、分割されたそれぞれの不動産の所有者となる

(2)全面的価格賠償
共有者の1人だけが、不動産を全部取得し、本来の持分を超えた割合について、不動産を持たないものに代償金を支払う

(3)競売
共有名義の不動産全てを競売にかけ、売却代金から売却費用を差し引いた代金を、持分の権利者で分割し受け取る方法

不動産競売の申し立て時に提出する書類

ケース1もケース2も、競売が決定すれば、債権者が地方裁判所に共有名義不動産競売の申し立てをしなければなりません。

申し立て時に提出する書類は次の通りです。

・競売申立書
・不動産登記事項証明書(発効後1か月以内のもの)
・固定資産評価証明書
・商業登記事項証明書(注:当事者の中に法人がいるとき)
・共有持分権利者全員の住民票
・委任状(代理人に申し立てを依頼する場合に必要)
・競売を命じる判決正本
・公図写し
・建物図面
・住宅地図などの物件案内図
・不動産競売の進行に関する照会書

共有物分割目的の競売に係る費用

申し立ては、書類を提出するとともにその費用も支払います。
明細は次の通りです。

1.印紙代(申し立て手数料として、1通あたりの値段)…4,000円
2.予納金(不動産の現況調査を実施するための人件費)は、物件の固定資産税評価額により変わります。

・2,000万円未満 … 60万円
・2,000万円以上~5,000万円未満 … 100万円
・5,000万円以上~1億円未満 … 150万円
・1億円以上 … 200万円

3.登録免許税
競売する物件は、差押登記が必要です。
物件価格の固定資産税評価額の1,000分の4の金額を登録免許税として支払います。この手続きをとれば、競売にかけられる不動産の登記簿には「差押」と記載されます。

差押とは、競売にかけられる不動産の競売前の売却などを禁止する裁判所の命令です。差押が完了すれば、債務者に対して「不動産競売開始決定」の通知が送られます。

この差押登記は、競売で落札されて購入手続きが始まれば、裁判所により解除されます。

競売申し立て後から落札まで

共有名義不動産の競売申し立てが済めば、不動産が売却されるまでの流れは次のようになります。

1.裁判所の執行官による競売不動産の現況調査および現況調査報告書の作成

2.不動産鑑定士による評価書に基づいた売却基準額の決定
(売却基準額は、通常の市場価格の7割程度の価格で設定)

3.裁判所が競売物件の売却条件を確定し「物件明細書」を作成する

4.入札期間、開札期日、売却決定期日の決定

5.入札開始
(不動産を購入する入札者は、最低売却価格以上の金額で入札を行う)

6.入札期間終了後、開札をし、最高価格で入札した人が落札者となる

7.裁判所が落札人へ「売却許可決定」を出す

8.不動産の所有権が落札人へ移転

競売後の代金の取り扱い

競売手続きが終了し不動産の代金が支払われると、競売にかかった費用や抵当権者への残債の支払いを済ませた後、手元に残った金額を共有者で分割します。

競売よりもメリットが大きい任意売却

このように競売は、実行するまでに様々な手続きが必要になります。そして、売却価格も通常の不動産市場価格よりも安い価格で落札され、代金から手続き費用を充当すれば、手元に入る代金はさらに少なくなります。

そのため共有名義不動産を住宅ローンを契約して購入していた場合、競売で得た代金で残債の返済ができないことも出てきます。
その可能性が高いことが落札前にわかれば、競売の申し立てをした債権者の同意を得て競売の取り下げを行い、代わりに共有不動産の任意売却をすることもできます。

任意売却は、競売よりも不動産を高い値段で取引できるメリットがあり、債権者にとってもより多くの残債を回収できる方法です。

競売が開始される前に任意売却の手続きをとる手順や方法は、不動産専門家にその業務を委託することで当事者の精神的ストレスも軽減されます。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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