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  1. 共有名義の不動産を勝手に競売にかけられた!阻止する方法は?
松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき)

株式会社中央プロパティー

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コラム

共有名義の不動産を勝手に競売にかけられた!阻止する方法は?

2018年11月16日

共有名義の不動産の持分権利者は、誰でもこの不動産の分割請求をすることができます。この請求は、裁判所に「共有物分割請求」の訴訟を起こす形で行われます。

訴訟になれば、裁判所主導で共有不動産は強制的に分割されることになります。分割方法には、競売によって不動産を売却し代金を分割する方法などがあります。

この訴訟が起こる経緯や、競売以外の共有名義の不動産を分割する方法について紹介します。

共有名義の不動産を勝手に競売にかけられた!阻止する方法は?

共有名義不動産における共有物分割請求とは

共有名義の不動産では、複数の人がその不動産の所有権利を持っています。
この権利は持分という数字で表されています。

共有名義不動産の所有の権利を持つ「共有者」は、持分の多少はあってもその不動産を自由に使うことができます。(民法206条)

しかし、その不動産から得られる収益や発生する費用については、持分の割合に応じて受け取りや負担をする決まりがあります。
また共有者は、自分の持分権利については、他の共有者の合意を得なくても、これを第三者に売却することができます。

そしてこのようなルールに加えて、共有者は、共有不動産の共有名義を解消したいと思えば、持分の大小にかかわらず、だれでも共有物分割請求を裁判所へ提起することができます。
共有物分割請求とは、1つの不動産を共同で所有することをやめて、それぞれの持分に分ける請求です。

知らない間に共有名義不動産が競売にかけられることがあるのか?

ここで次のような事例を紹介します。

3人の共有名義で不動産を所有していました。ある日突然、この不動産の共有者1人分の持分が競売にかけられることになりました。この人が、自己破産し、持っていた不動産が競売にかけられ売却、現金化されたのち、債権者へ分配されることになったようです。

この件だけでは、自分の持分は何ら影響を受けることはなかったのですが、新しく共有者となった人が、その後、裁判所に、この不動産について共有物分割請求の訴訟手続きを行いました。

不動産を共有する3人は、共有不動産に対するそれぞれの主張や希望についての立証を行いますが、このまま放置していれば、裁判所は、今度は不動産全体を競売にかけて売却処分するよう判決を下すことになります。

裁判をやめて、違う方法で共有不動産の処理をするにはどうしたらよいでしょうか。

共有物分割訴訟でよくある共有名義不動産の分割方法は?

上記の事例について、裁判所は債権者や債務者の意見を聞いて、共有物分割の方法を決定します。

判決は、次の3つのどちらかの方法で出されることが多くなります。

(1)現物分割
現物を分割して共有者がそれぞれの不動産の持ち主として登録する。

(2)価格賠償
共有者の誰か一人が、不動産の全部を所得し、法定以上の所得分については、代償金という形で各持分の権利を持つ者へ現金を渡す

(3)競売による分割方法
共有不動産全体を競売にかけて、その代金を共有持分を持つ権利者に分配する

事例では、共有不動産の共有者の1人は売却処分に反対しています。
そしてこの不動産は土地と建物なので、3つにバラバラに分割できないため「(1)現物分割の方法」はとれません。

そして「(2)価格賠償」ですが、他の2人の共有者には、1人分の持分を買い取る資金力がありません。

以上のことから裁判所は、競売で売却処分を行い、その代金を分割する決定をすると予測されます。

判決が出てしまえば、共有不動産は強制的に競売となり持分の分割は実行されてしまいます。

共有物分割訴訟の特徴

しかし、この訴訟は通常の訴訟と異なる点があります。それは「この共有物分割の訴えは、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でない」とされていることです。

つまり裁判所が出す分割方法の判決は、法的に拘束するものではないということです。そして訴訟とはいえ、当事者が和解すれば訴訟を終わらせることもできるのです。

このケースでは、判決が出る前に、共有者の1人が価格賠償で新しい共有者の持分を買い取ることで共有名義の不動産の分割ができました。

訴訟による価格賠償決定であれば、持分の買い取り額の支払いは一括払いになるのですが、分割払いの交渉が受け入れられ、不動産を売りたくなかった人にとっては、負担が少ない形で不動産を所有し続けることができました。

この他にも和解では、訴訟の判決に従うよりもメリットがあります。

もし不動産を全部売却することになっていれば、任意売却の形で不動産を処分することになります。
市場価格に近い価格での取引が可能で、持分を現金化したい共有者にとっては、競売で売却するよりも、高値で取引ができて、より多くの現金が手元に入ります。

共有者全員が、より良い状況で共有不動産を分割できる方法が「和解」なのです。

共有名義不動産の維持・管理は専門家への相談を

共有名義の不動産は、特に遺産相続を経て所有する経緯となった場合、どのように管理していくべきなのか、よくわからないことが多いものです。

共有者間の関係や不動産の活用についての決まりなどを理解せずに、ただ所有しているだけだと、結局、固定資産税などの維持費を負担するだけで、自分にとってメリットがある資産にはなりません。仮に税金などの負担がなくても同じことです。

こんな状況で、ある日突然競売の通知が来ても、自分がどうなるのか何をすべきなのかもわかりません。

不動産は、トラブルが起きてからではなく、日ごろから積極的に専門家からアドバイスをもらいながら、その仕組みを理解することで、より有効に活用することが可能になります。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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