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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 宅地建物取引士

株式会社中央プロパティー

コラム

不動産の共有名義を解消したい!どうすればいい?

2018年10月4日 公開 / 2023年5月19日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

遺産相続などで不動産を共有名義で所有することがあります。
共有者の1人だけか、あるいは全員が共有名義を解消したい時、いくつかの方法があります。それらの方法について説明します。

不動産の共有名義を解消したい!どうすればいい?

民法上における不動産の共有名義とは

不動産を共有することは、その所有権を複数の人で持ち合っている状態です。

例えば、親の不動産を親族(例えば子供たち)で相続すると、その不動産の所有権を複数の相続人で不動産を「共有」することになります。
このように不動産を共有名義で遺産相続する時は、民法で定められた規定に従うことになります。

そして不動産の種類によっては、所有権以外の財産権も共有することがあります。
不動産の場合、賃借権、借地権、抵当権などがこれにあたり、所有権の「共有」と区別して「準共有」と呼んでいます。

「準共有」については、別途法令で定められている場合を除き、基本的には「共有」に関する民法が適用されることになっています。

民法で定められた共有名義不動産の取り扱いについて

共有名義の不動産について、民法に定められた主なルールには次のようなものがあります。

■各共有者は、持分の違いがあっても不動産を平等に利用できる。
→親の住んでいた家を相続してもバラバラにして使うことはできないので、どの共有者も自由にその家を使うことができる。

■不動産から得た収入は、共有持ち分割合相当で受け取る権利がある。
→家賃などの収入があれば、持分に応じて分ける。

■共有物の状態を変更したり処分(売却)する際は、共有者全員の合意が必要。
→家を改築する、アパートを建てて賃貸経営を始めるといった大がかりな変更を必要とするような行為には共有者全員の合意が必要。

■共有物の管理を変更する時は、共有者の持分全体の過半数の合意で行える、但し他の共有者が反対する理由がないと推測されるほどの保存行為(例:雨漏りの修繕)は、各共有者が単独で行うことが可能(注意:変更の内容によっては、共有者全員の合意が必要なこともある)。

■各共有者は、その持分について処分の自由を有する(他の共有者の合意を必要としない)。

共有名義の不動産を解消したい時の方法

遺産相続で不動産を共有名義にしても、共有者にはそれぞれ事情があり、中には受け継いだ不動産を手放したいと考える人も出てきます。

このような場合には次のような方法があります。

【1.全部売却】
共有名義不動産を共有者全員で売却する。
この場合、共有者全員の合意が必要。

【2.一部売却】
共有者の誰かが、自分の持分について他の共有者以外の買い手に売ること。
この場合、共有者全員の合意は必要としない。

【3.持分移転】
持分を処分したい共有者が、他の共有者に買取を依頼する。

【4.持分買取】
持分購入を希望する共有者が、他の共有者の持分購入を申し出る。

【5.持分放棄】
共有名義を解消したい共有者が、自分の持分を放棄する意思表示をする。

【6.土地の分筆】
対象不動産が土地(更地)の場合、共有者全員の合意を得て分筆登記を実施する。

【7.共有物分割請求訴訟】
共有者の1人が裁判所に共有物分割請求訴訟を提起する。

不動産の共有名義解消にはトラブルを伴うことが多い

共有名義不動産を解消するにはいくつかの方法があるものの、それぞれにメリットやデメリットもあります。
また、共有者の利害が対立することで共有名義解消が全く進まないこともよくあります。

全部売却は、持分だけを売却するよりも手元に多くの現金が手に入りますが、一人でも反対すれば売却は不可能です。

一部売却は、他の共有者の合意を取らなくても行えるのですが、持分のみの売却のため、全部売却して持分割合分の代金を受け取るよりも少ない収益になります。

持分移転や持分買取も、売る側と買う側で値段の折り合いがつかない可能性があります。

持分放棄は、無償で持分を手放すことになるのでメリットがほとんどありません。

土地の分筆は、建物がある場合には不可能ですし、共有物分割請求訴訟は訴訟費用が発生し解決に時間がかることもあり、精神的負担が多くなります。

親族間で解決できない時は、専門家に仲介を依頼すべき

遺産相続で不動産を共有名義にすると、親族間の利害関係の対立からトラブルに発展することがよくあります。

遺産を共有名義にして相続することは、正しい相続の形ではあっても、その後については放置されて税金や維持費だけを共有者で払い続けるだけか、取り扱いを巡って意見の対立が長期化するお荷物となり、誰にとってもストレスになるだけの存在となってしまうことが非常に多くなっています。

現在、親から受け継いだ遺産で親族間でのトラブルがあり、解決方法がまだ見つかっていない場合、もしこのまま放置して次世代に持ち越してしまっても状況は全く変わりません。
トラブルを自分の代で終わらせるには、必要な費用を払ってでも、不動産の専門家や弁護士といった専門家に仲介を依頼し、対処すべきと言えます。

もし、自分の遺産を子供たちに受け継いでもらう時は、その後のことを考えて、これらの専門家にアドバイスを受けて予め遺言を残してトラブル回避をすることができます。

共有状態の解消については、下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
共有名義の8つ解消方法

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