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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 宅地建物取引士

株式会社中央プロパティー

コラム

共有名義不動産の権利の割合はどうやって決めるの?

2018年9月30日 公開 / 2023年5月19日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 都市計画

共有名義不動産の持分割合の決め方を説明します。
不動産を共同で購入する場合、共有の割合は自由に決められるわけではなく、借り入れも含めて支払うお金の割合で決定します。
遺産相続で資産を共有名義にする場合は、法律上その割合が決められています。
ですが、親族で協議して相続する資産の内容や内訳を変更することはできます。



共有名義不動産の持分割合とは

共有名義の不動産とは、土地や建物を複数の人で所有することを言います。

共有名義になる理由は主に2つあります。
新しく家や土地を買う時、一人ではお金が足りないので配偶者や兄弟にもお金を出してもらって購入した場合、お金を支払う人とその割合で不動産の所有割合が決まります。

不動産の購入以外では、親などの血縁者の死亡により、残された不動産を相続する時に共有名義にすることがあります。
この場合、法律で相続する血縁者とその割合が決められており、その割合ごとに相続者が自分の名前で所有権を登記します。

物件購入時の持分割合の決め方

不動産の持分割合は、不動産の購入価格とそれに伴う諸費用の総額をそれぞれの共有者がいくらずつ負担したかで決定します。

不動産購入の諸費用には、不動産の仲介手数料、不動産取得税、登記費用(登録免許税)、固定資産税・都市計画税、売買契約書・建築請負約書の印紙代、借入金金利(借入日から使用開始までの期間の利息)などが含まれます。

住宅ローンの金利や保証料および事務手数料、団信保険料、火災保険料、引っ越し代金、物件で使う家電製品、家具、カーテン購入費、マンションのような集合住宅にある管理費と修繕積立金、町会費などは取得費用にはなりません。

物件購入の総費用に対して、共有者となる人たちがそれぞれいくらずつ負担するかを決定します。

もし住宅ローンを組んでいるなら、その金額も負担額に含んで計算します。

「共有者1人が支払う金額(借入金含む)÷(物件購入費用+購入に関わる諸費用合計)=持分の割合」

となります。

持分の割合が決まったら、それぞれの共有者は自分の持分を法務局に不動産登記しなければなりません。
登記費用も共有する人数分、それぞれの共有者が支払わなければなりません。
不動産取得後は、維持費や固定資産税・都市計画税などの費用は、基本的に持分の割合に応じて負担します。

もしローンの支払いの途中で共有者が死亡すれば、その人の持分を相続した人か、残りの共有者がその持分を譲り受けますが、どちらの場合も持分の登記を変更しなければなりません。
いずれの場合も、相続税や贈与税の対象になります。

遺産相続時の持分割合の決め方

相続した不動産を共同で所有する場合の持分は、法律によって決められています。

例えば 夫婦と子供が2人いる家庭で、持ち家を所有していた夫が死亡した場合、妻が2分の1、子供2人が残りの2分の1の半分ずつを相続します。

遺産相続時の持分割合

この場合、所有権の持分割合の変更手続きを行い、その割合に応じて所得税や贈与税を支払います。

ですが相続の事情はその家族によってさまざまで、法律通りに相続できないこともあります。

上記の例で、妻が家の処分を希望し、子供たちがOKをすれば、持ち家を売却し、得た代金を法律で決められた持分割合で分割して、妻と子供2人が受け取ることもあります。
これを換価分割と言います。

共有名義のメリット

不動産は、共有名義で購入すると節税効果を得られるメリットがあります。

例えば、夫婦が2人の共有名義で住宅を買う場合。夫婦2人とも住宅ローンを組んでいれば、それぞれ住宅ローン控除を受けることができます。

また売却する時、3,000万円までの利益については税金がかりませんが、夫婦共有名義にしておけば、夫婦2人が、それぞれ3,000万円まで控除を受けることができます。

共有名義のデメリットとは

共有名義で購入した不動産は節税効果がある一方で、持分を登記する時には、共有者の人数分の費用が発生します。
また住宅ローンを利用する場合も、その諸費用を各共有者がそれぞれ負担しなければなりません。

共同で相続した不動産の場合は、親から子、孫へと受け継がれていくうちに、共有名義の人数がだんだん増えていきます。

共有名義の不動産は、売却したり建物を取り壊して改築するなどの変更を行う時には、必ず共有者全員の合意がなければできないきまりになっています。
そのため、代々相続を重ねていくうちに共有名義人の人数や名前がわからなくなって合意を得ることができず、建物の維持管理ができなくなるリスクがあります。

たとえ共有名義人の数が少なくても、意見が対立し合意が得られなければ同じで、相続した不動産は手を加えられることなく放置され、運用ができずに、毎年固定資産税を支払うだけの「お荷物」となってしまいます。

共有名義で不動産を所有するのは、夫婦の名義で不動産を共同購入した時に節税のメリットが得られますが、それ以外のメリットはさほどありません。

不動産を遺産相続する時は、その後のことを考えて共有名義にするかどうかを予め考えておくべきです。

自分が親なら、遺言を残すことで相続者間のトラブルをある程度防ぐことは可能になります。
遺言がない遺産を相続する時は、売却して代金を持分割合に応じて受け取る換価分割、土地だけであれば、割合に応じて分筆を行うといった方法で共有名義を解消する方法を考えるのも良いでしょう。

共有持分の割合の決め方については、下記の記事でも詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
共有持分の割合の決め方や計算方法を購入時と相続時でそれぞれ解説

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