マンション保険の費用削減の実例のご紹介(その②)
最近、マンション管理組合、理事長からの相談について、工事見積もりの悩みの相談が非常に多くなっています。原因は、管理会社から、管理会社名での見積もりが提出されるため、他社との比較見積もりが出来ないということです。管理会社以外からの見積もりを取得するには、理事長自らで取得しなければならないということです。
一番ひどい例は、管理組合に出入りする業者に直接、見積もり依頼をしたことろ、管理会社の手前、管理会社を通して欲しいと断られたケースもあるとのこと。
理事長からすれば、相見積もりもなしに、管理会社から提出された割高な(場合によっては2倍近い)工事見積もりを承認することは、「許し難い」とのことです。
ですが一方で、素人の個人が、「業者も知らない」、「工事内容も知らない」、「工事が上手く行かなかった場合の責任も取れない」などを考慮すると、管理会社の見積もりを採択する方が、無難と判断してしまわざる得ない環境で「大きく悩まれている、断腸の想いをされている」理事長が多くなっています。
そもそも管理会社は、全て株式会社であり、その経営者は、サービスを向上させる一方で、利益を伸ばす使命も追っています。どうしても、工事でも利益を確保したいと考えるのは、当然のことなのかも知れません。特に最近、管理会社の買収・合併等で組織が大きくなっていますので、より組織的に利益を生み出すシステムを構築する方向に動いているようです。会社が大きくなるのも考えものですね。
ここで、理事長は、将来、建物が古くなった時に、修繕費用が嵩むことは理解されており、普段から、無駄な経費を出来る限り省いて、将来の貯蓄(修繕積立金)に廻すことが一番大切なことは判っているのだが、どうしても自分の目の前の「工事」の処理(責任)となると、管理会社に頼らざる得ない環境。理事長1人が悩まれる問題ではないのです。これは、工事に詳しくない区分所有者が理事長になった時以外の共通の課題であり、管理組合として改善することを考える必要があります。この課題を克服するか否かで、将来に廻せる金額も大きく変わり、管理組合の運営にも大きな影響をもたらします。
当然で恐縮ですが、自分の財産を守るのは自分です。発注者は誰か。発注者は常に管理組合です。管理会社ではありません。発注者が選べばいいのです。そして、標準管理委託契約書にも以下のように記載されています。「外注により管理会社以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。」管理委託契約内の業務の中で実施すべきであることが前提であると考えております。よって、管理委託契約書に、他社の相見積もりの取得等業務を明記することです。
しかしながら、諸事情があり、中々、相見積もりの取得が難しい状況が毎年続くなら、専門家(工事金額の査定・相見積もりの取得を依頼)の導入し管理組合として対策を検討ることが必要と思います。早く手を打てば打つほど、将来は明るいと思います。
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