HbA1cを最大2％低下させる”インクレチン注射”とは？！

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糖尿病で死ぬ人、生きる人（牧田善二）という本を読みました。その３

・インクレチン製剤の最大のメリットは、血糖値を極端に下げすぎない、つまり低血糖にならないことです。

インスリンは血糖値を下げることが役割なので、多く注射すればそれだけ血糖値は下がり、下手をすると低血糖に陥ってしまう危険性があったのですが、インクレチンは摂取した食べ物に反応して血糖値が上がったときだけ作用し、それが治まると働きを失って、それ以上のことはしなくなるので、安全面の上で非常に優れているのです。

・インクレチン製剤は痩せる効果を持っていますが、その理由としては、一つは食欲を減退させる作用があること、もう一つは消化管に働きかけて、”痩せるホルモン”を活性化させていることが考えられます。

・私の経験ではインクレチンの注射治療はHbA1cを最大2％、飲み薬は最大1％下げるようです。

HbA1cがかなり高い人は注射から始め、例えば、HbA1cが8％くらいと基準値をそれほど超えていない人は飲み薬で治療開始。

これで効果がなければ他の薬を追加します。

たとえば、SU剤という膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促す薬で、糖尿病治療では最もポピュラーな薬との併用も可能です。

グリメピド、グリベンクラミドなどがあります。

この薬は血糖値を下げる効果はナンバーワンです。

今まではこの薬が効かなくなると、インスリン注射が必要でした。

しかしインスリン注射は、低血糖や体重増加といった欠点があるため、今はインクレチンの注射に変える方が望ましい。

・インクレチン製剤は単に膵臓を休ませるだけでなく、膵臓を元気にする作用を併せて持っており、ここが従来のインスリン治療との大きな違いといえます。

・糖尿病腎症治療に特効薬的な効果を発揮すると結論づけられた「テルミサルタン」という薬は、高血圧の治療薬、つまり降圧剤として日本でも保険に適応になります。

・テルミサルタンの改良型であるコンビ配合錠BPは、テルミサルタンに利尿剤を加え、一錠にした薬で、今や私の治療の強い味方です。

患者さんに合わせて、薬をうまく組み合わせることで、腎臓を比較的良好な状態で維持し、人工透析の導入を防ぐことは十分に可能になりました。

尿アルブミンが300以下のステージ3の方なら、確実に人工透析を回避できます。



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