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【相続】相続未了の不動産(空き家)を売却する方法

2016年11月9日 公開 / 2021年1月12日更新

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

オギ法律事務所 弁護士の荻原です。

一気に寒くなってきましたね。
体の調子が不安定になるころですので、
体調には気をつけたいものですね。

今回のコラムは、相続の分野のうち、
特に不動産(空き家)の相続について
解決方法を述べていきたいと思います。

相続する物件が不動産(空き家)のみで、
相続人が複数いる場合、
基本的には、早期に不動産を売却して
売却代金を相続人で分配することが、解決の早道です。

しかし、相続人の中には
「心情的に売却に協力したくない」
「すぐに売却に応じずに粘って、できるだけたくさんの金銭がほしい」などと
いう気持ちから、
不動産の売却に協力しない方もおられます。
また、相続人の中に、認知症など、意思能力を欠く方がおられても、
売却は進まないことになります。
売却が進なまければ、相続人の一人がずっと固定資産税を支払い続けることになり、
経済的に負担です。

このような場合、弁護士に相談・依頼すれば、どのような道筋を経て、解決していくのでしょうか。

【Step1】
まず、相続人の氏名及び住所の調査を行います。
弁護士は依頼された案件につき、
戸籍及び戸籍の附票の調査ができますので、
住所の調査も可能です。

また、併せて、不動産の業者も探し、
どの程度の金額であれば買い取ってくれるか(あるいは仲介してくれるか)を
事前に算出してもらいます。

【Step2】
相続人全員の氏名と住所が分かれば、すべての相続人の方々に対し、一斉に、
「売却できた場合は、売却代金から○○円を支払います。
ですので、一旦、依頼者様に不動産を相続させ、
売却に協力してください」という依頼文書を送付します。
ここで、○○円をいくらにするかについては、
不動産の価値や法定相続分などを踏まえつつ、
依頼者様との協議で定めます。

この段階で全相続人の合意を得ることができれば、
司法書士に相続登記をお願いし、その後、無事、不動産を売却できることと
なります。

【Step3】
Step2の時点で、どうしても売却に同意しない相続人や
返事がない相続人がいる場合は、
やむを得ず、家庭裁判所に、遺産分割調停を申し立てることとなります。

この場合、私は、なるべく調停が早期に成立することを目指し、
Step2で全相続人に提示した解決案
またはこれに代わる解決案を
申立書の中に記入し、
調停委員の理解を得るようにしております。

遺産分割が調停の段階で成立する場合は次の二つです。
(1)全員が遺産分割調停に同意したとき
(2)どうしても遺産分割調停に出席しない相続人がいた場合でも
   家庭裁判所が「調停に代わる審判」を行い、
   その審判に対し、相続人が2週間以内に異議を出さなかった場合。

このうち、(2)の方法(「調停に代わる審判」)は、
よく用いる家庭裁判所もあれば、
全く行わない家庭裁判所もあります。

この制度を用いれば、相続人が調停に出席できない場合でも
遺産分割が成立するため、
今後、さらに活用を進めていきたいと思います。

【Step4】
Step3の調停を経ても、相続人が売却に同意せず、また
「調停に代わる審判」の方法も効を奏しなかった場合、
調停は不調になり、家庭裁判所が遺産分割審判を行います。
この遺産分割審判は家庭裁判所が一方的に行うものであり、
当事者の合意は不要です。

相続人が多数で、かつ不動産のみが相続財産であった場合、
不動産の競売を命じ競落代金を法定相続分に従って分配するか、
誰か1人に相続させて、相続した者は他の者に代償金を支払う、
という審判が出される場合が多いです。

特に前者の、不動産の競売を命じるとの審判がなされた場合は、
競売により価値が下落し、また競売費用が必要になるので、
相当、取得できる金額が少なくなります。
場合によっては競売に要する費用の方が高いこともあり得ます。

このように、Step4まで行ってしまうと、
相続人全員が損をしてしまいます。

ですので、私は、できる限り、このことを相続人の方々に理解していただいて
Step2で解決するよう、尽力しています。

以上が、弁護士に相談・依頼した場合の解決方法の概要です。

相続財産(特に空き家など)でお困りのことがございましたら、
是非、ご相談にお越しいただけますと幸いです。
相続の相談は30分無料となっております。

この記事を書いたプロ

荻原卓司

借金問題・個人再生のプロ

荻原卓司(オギ法律事務所)

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