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「塾ジイの日記」12 ー挑戦への意識改革【後編】ー

2024年2月6日

テーマ:受験生のモチベーションの保ち方

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験を受験することにしました。これまで自身が発信してきた他人に向けたアドバイスや指導に則った行動を取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。

自分の内と外にいる【もうひとりの自分】その3

2/6(火)
昨日も資格予備校の授業があった。だいぶ講義のペースにも慣れてきた。スマホに小見出しを入力する作業もスムーズにおこなえるようになった。解説は各項目を重要度(出題頻度)にランク分け(A…必須 B…5~10年ごとに出題 C…無視して良い)しながら進められる。行政書士試験に特化したテキストなのに「無視して良い」と言い切るのはなかなかすごいことじゃ。その件に関して気になったので、担当のT先生へ相談に行った。
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「T先生、ちょっとご相談があるんですが」
「あ、出口さん、どのようなお話ですか?」
「テキストのランク分けなんですが…。Cランクは本当に無視しても良いんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「でも今後のアウトプットの機会(問題集や模試)にCランクの項目があった際の扱いはどうすれば良いんじゃ、もとい、どうすれば良いのですか?」
「あっはっは!普段の話し方で良いですよ。なかなか鋭い質問ですね。今からアウトプットのやり方を計画されているのは素晴らしいというか凄いですね。Cランクは無視して大丈夫です。たとえ本試験に出題されても大きなダメージにはならないでしょう。模擬テストでそのような問題が出題されるのは【解かなくても良い問題を選別できるか】を試されているんです」
「な、なるほど…設問への【選球眼】か…」
☞「塾ジイの部屋」8 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5121535/
「設問への選球眼…うまいこと仰いますね!その言い方使わせてもらって良いですか?」
「ど、どうぞ。ということはCランクの問題を見直す時間をABランクに充当するという考え方ですか?」
「仰る通りです。如何に【取るべき問題を瞬時に見抜く力】つまり、【選球眼】が要求される試験なんです」
「わかりました。ありがとうございます。あ、先生、それから…わし…授業中に麻雀はやっとりませんので」
「はっ?何のことですか?」
「い、いや、なんでもありません」
☞「塾ジイの日記」7 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5153854/
☞「塾ジイの日記」9 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5154024/
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相談して良かった。これでアウトプットの基本方略が固まった。だが…ここでひとつ問題が顕在化した。Cランクの項目を除外するということは…大幅に扱う問題量が減ることを意味する。一見それは良さげに思えるが…直前期のネタ(学習素材)が不足するということだ。これはかなり大きな問題じゃ。わしは子どもの頃から「行き当たりばったり」は無理なんじゃ。授業でも指導内容をシナリオに落とさないと無理じゃった。いわゆる“アドリブ”が苦手なんじゃな。(これを言うと誰も信じてくれないが…)早急に知識のアウトプットの【方略シナリオ】を検討する必要があるな。現役時生徒ごとに勉強のやり方を聞き出し、生徒の個性に合わせたやり方を提案していた。今はそれを一人二役(先生&生徒)でやっている。そうじゃ。【自分を外から見る】必要がある。これまでの成功体験に拘ることなく【自分に合った学習方略】を模索する必要があるな。

昨日電話があった前職の広報部の小曽利部長が社内報の打ち合わせにやって来た。
☞「塾ジイの日記」11 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5154316/
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「出口先生、これ差し入れです」
「おー、獺祭か!そうか小曽利くんは山口出身じゃったな」
「そうです。実家は岩国市で酒蔵の近くなんです」
「絶好の環境じゃな。ところで、例の社内報の内容は固まったのか?」
「はい、先生の勉強の様子を私の口頭での説明や先生へのインタビュー等で伝えようと考えています」
「それだけか?」
「はい」
「それなら別にWEBにしなくても紙面の社内報で十分じゃろう」
「では、どうすれば良いのですか?」
「対談形式にしてはどうかな?」
「対談形式?誰と誰が対談するんですか?」
「小曽利くんと教務部長の口咲くんとか」
「あっ、なるほど!先生の取り組みを教務的な視点でコメントしてもらうってことですか?」
「その通りじゃ。そしてもうひとり…法務課の井矢多課長もメンバーに入れてはどうかな?」
「えっ!?なんで井矢多さんを?」
「彼女は確か行政書士の資格を持っている筈じゃ。彼女のコメントも聞いてみたい」
「塾のノウハウと国家資格保持者の考え方をコラボするということですか?」
「まあ、そんなところじゃ」
「面白そうですね!さすが塾ジイ、いや、出口先生!わかりました。それでは社内に持ち帰ったうえで改めてお返事します」
「よろしく頼む。あ、今度は山口県の「金雀」を頼む!」
「また、高いの言うーてきたな…」
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これは「渡りに舟」じゃ。いまのわしの学習方略を客観的な立場で資格保持者からコメントがもらえる。彼女はわしの元部下じゃからわしの性格もある程度理解している筈じゃ。いやー、今日は収穫の多い日じゃった。【内にいる潜在意識という別の自分】が描いた地図を【外にいるもうひとりの自分】が軌道修正してくれた。更に他人の評価も得られる道すじができた。おまけに獺祭まで手に入り、近日中に金雀まで期待できる。【わしの内外にいるもうひとりのわしたち】よ、ありがとう!
  
*参考書籍:メタ認知 三宮真智子 著

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この記事を書いたプロ

久保克己

子どもの受験で悩む保護者にアドバイスする教育相談のプロ

久保克己(株式会社京進)

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