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「塾ジイの日記」25 ―【癒し】の威力―

2024年4月17日

テーマ:受験勉強における学習方略

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験を受験することにしました。これまで自身が発信してきた他人に向けたアドバイスや指導に則った行動を取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。

五感フル稼働による記憶方略

4/17(水)
この前の日曜日の授業で「民法」の内容が終了した。民法のテキストは二分冊合わせて532ページに及ぶ。授業を受けるだけでも大変じゃった。しかし、おかげでこれまで知らなかったことを知れたのはかなり有意義じゃったな。民法の条文は、人間が生きていくうえで遭遇するあらゆる場面を想定して作られている。近年法改正がなされ、アップデートがなされているとはいえ、明治時代に100年以上未来の世の中でも汎用できる法律を作成した、当時の法学者は偉大としか言いようがない。この法律に接する機会に恵まれて、そんなことに気づけたのも大きな収穫じゃ。

これで「憲法」「民法」の講義が終了し、次回よりいよいよ行政書士試験のメイン科目である「行政法」に突入する。本科目の設問は標準的なレベルのものが多く、満点も可能であると言われている。知識量を試される設問が多いので、行政法はいわゆる【暗記科目】じゃ。
この科目に対する学習方略はこれまでと大きな変更の予定はないが、大量得点の確保が合否の分かれ目であることを考えれば、インプットのやり方の精度を更に上げておく必要がある。

前回のこの日記で【自身で教科書を音読&録音→その音声を何度も聴く】=【口と耳を使ったインプット→耳を使ったアウトプット】の方略を書いた。
☞「塾ジイの日記」24 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5158724/
これによりテキストやスマホを見ることができない時間(徒歩・食事・入浴・睡眠)中でも学習できる。耳からのインプットにはかなりの成果が感じられる。
ただ、テキストの音読は一回当たりの授業で進むテキストのページが非常に多い(時には40ページくらいになる)のでかなり時間を要する。これらを全て読み上げるのはちょっと非効率過ぎるので、やり方を変えることにした。以前の日記に記した【予習で作成した目次データのエクセルファイルのコメント欄に追記した確認テスト】を利用することにした。
☞「塾ジイの日記」22 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5158144/
つまり、【自作のテストの問題を読み上げ→自分で解説→録音→自分で聴く】という工程にすると、目と耳を同時にフル回転させながら【アウトプット→インプットの作業が“いつでもどこでも”可能】になる。暗記科目である行政法の学習でこの方略が威力を発揮するか否か検証していきたい。

前回の日記の最後に

そして今回この方略に“あるスパイス”を配合すると成果があがるのでは?という仮説を得た。それを検証&立証するために【「あの時間」の活用】を今夜から試したいと思う。その内容と成果は次回の日記に書くことにしよう。

と書いた。“あるスパイス”とは【癒し】じゃ。人間の脳はリラックスすると【βエンドルフィン】という物質が分泌され、脳の海馬が活性化し記憶力がアップすると言われている。
例えば、程よい音量(集中力を阻害しない程度の音量)の音楽やアロマテラピー等の臭覚による癒しも効果がある。この方略はわしが現役時代に保護者会や教育講演会等で話してきたことじゃ。この考え方をわし自身の学習方略に取り入れることにした。つまり【癒しを活用したインプット】を試みることにしたのだ。わしにとっての【癒し】とは…そう、アルコールじゃ。すべての学習メニューをこなし、その日に学習したことを就寝前の5分間で目と耳で振り返りながらビールを飲む。ここでの重要なポイントは【5分間(=飲み始めて脳の血流が活発になりはじめるタイミング)で完結する】ということじゃ。この5分間は一日で最もリラックスしている時間、つまり【βエンドルフィン爆出の瞬間】じゃ。これを思いついたのは「酔っぱらう直前のことは何故かよく憶えている」という体験からじゃ。実際にこの方略を一週間実施した結果…前日に学習した内容の想起率が大幅に上がった。この方略をそのまま小中高校生には汎用できない(当たり前か…)が、【癒し=団らん】と考えれば、例えば夕食時に「今日はどんなことを勉強した?」と子どもに訊いてみるのも学習内容定着への一手になるのではないか。“美味しい”“ホッとする”という【味覚や感覚のフル稼働→βエンドルフィンの分泌の活性化→学習内容の振り返り】は学力向上に大きな成果をもたらすじゃろう。子どもに「今日は何を習ってきた?」と質問して具体的に即答できるならば、学校や塾での授業は良好であると言えるじゃろう。
☞「塾ジイの部屋」2 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5113081/

さて、この【ヤル気に依存しない学習作業】をやり続けられるか?日々の自分をじっくり観察していきたい。

*人物名等はフィクションです
*参考書籍:「脳を一番効率よく使う勉強法」福井一成 著*drawn by 蒼りんごさん

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この記事を書いたプロ

久保克己

子どもの受験で悩む保護者にアドバイスする教育相談のプロ

久保克己(株式会社京進)

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