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コラム
世界の介護と日本の介護との違い(Ⅰ)
2022年8月22日
日本人が普通に日常生活を送れる期間(健康寿命)は70歳程度までと言われています。
その後の期間は、いわゆる「寝たきり老人」となって余生を過ごす人が少なくありません。
平均寿命80歳以上の日本は長寿大国。そして寝たきり大国。
日本に200万人以上いる寝たきり老人が、海外にほとんどいないのはなぜ?
どうやら日本と欧米諸国の考え方は真逆のようです。
日本の介護の特徴
まず、日本の介護事情についておさらいしてみましょう。日本では介護保険制度をベースとして、手厚くケアするスタイルをとっています。サービスの質にこだわる施設が多いと言えるでしょう。老人ホームの種類を大きく分けると、民間企業が運営する施設(有料老人ホームやグループホーム)と介護保険が使える公的施設(特別養護老人ホームなど)の2タイプに分類することが出来ます。
老人ホームの種類だけでなく、サービスも幅広いことも特徴の一つでしょう。長期にわたる入居サービスだけでなく、日帰りで施設を利用できる通所介護や在宅で介護サービスが受けられる訪問介護などもよく利用されています。
現状の問題点としては、高齢化社会による職員の人出不足・賃金の低さ・離職率の高さなどがあげられるでしょう。これらは介護に関してよく耳にする情報ですが、あくまで「日本における特徴」です。世界には日本と違うスタイルで介護を行っている国が数多く存在します。スウェーデン、イギリス、ドイツの介護スタイルと共に、海外と日本の介護事情を比較してみます。
海外に寝たきり老人が少ないのは「考え方」が違うから?
スウェーデンでは、高齢者が自分で食べることが出来なくなっても点滴や胃ろう処置はしません。
病気になったら注射などの治療は行わず、内服薬を処方するだけ。ここだけ聞くと、福祉天国スウェーデンの意外な実態に衝撃を受けるかもしれません。ですが、これは決して医療費削減や高齢者切り捨てではないのです。
スウェーデン国民には「胃ろうや点滴などの人工栄養で延命を図ることは非論理的である」というゆるぎない価値観があります。無理な延命をせず自然な死を迎えることこそ、高齢者の尊厳を保つ最善の方法だと考えています。そしてこの考え方は他の欧米諸国でも一般的。つまり、「高齢者は寝たきりになる前に亡くなる」のが海外に寝たきり老人がいない真相のようです。
さまざまな延命治療を行う日本と、自然な死を受け入れる欧米諸国。どちらが良い終末期なのかは簡単に判断することはできません。ですが、日本では意思疎通ができない方の延命措置を行うことも珍しくありませんから、近頃は望まない延命措置を避けるため「延命治療拒否」の遺志を書面に残しておく方も出てきています。
欧米ではこんな価値観もあるということも含め、自分や家族の終末期について話す機会をつくってみるのも良いかもしれません。 (続く)
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