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千田大輔(せんだだいすけ) / 行政書士

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コラム

2世代先への財産承継を見据えた家族信託契約書のひな型例

2024年3月19日

テーマ:家族信託・死後事務

コラムカテゴリ:法律関連

家族信託は、その人が所有する財産を信頼できる家族に託し、目的に沿って管理・処分してもらうためのしくみです。家族信託を利用すれば、遺言書では実現できなかった2世代先への財産承継も可能になります。ここでは、2世代先に財産承継させる家族信託契約書のひな形について説明していきます

家族信託契約書に記載すべき事項

家族信託を活用しようとする背景事情は、個々に異なっています。当然ながら家族信託契約書の内容も個々のケースで変わってくるのですが、基本的な事項として以下を挙げることができます。

信託の目的

どのような目的から信託契約を行ったのかを記載します。2世代先の孫などに財産承継させたい場合は、「自分が亡くなったら長男の○○が受益権を承継する。長男の○○が亡くなったら孫の◇◇が受益権を承継する。」といったように記載することになります。

委託者/受託者/受益者の明記

財産を託す委託者、財産管理を担う受託者、財産から生じる利益を得る受益者を、それぞれ明記します。孫など2世代先まで受益者を指定したい場合は、先に述べた通り承継先を順に指定しておくことが大切です。

信託財産

どの財産を受託者に信託するかを記載します。たとえば不動産を信託する場合、登記事項証明書と同じ情報を記載し、どの土地建物かを明確にしておく必要があります。

信託の終了事由

信託契約を終了させるタイミングについても明記しておきましょう。一般的には、受託者と受益者が合意したときや受益者が死亡したときとすることが多いようです。

家族信託契約書のひな型(2世代先承継)

2世代先の孫にも財産を承継させたい場合の家族信託契約書のひな型について考えてみましょう。あくまでもひな形ですので、必要な記載事項は専門家と十分相談して決定してくことをお勧めします


               信託契約書

委託者北海道太郎及び受託者北海道次郎は、以下のとおり信託契約を締結する。


第1条:契約の趣旨
委託者北海道太郎は受託者北海道次郎に対し、次に記載する信託の目的を達成するため、信託財産の管理、運用、処分について信託し、受託者北海道次郎はこれを受諾した。


第2条:信託の目的
本契約における信託目的は以下のとおりである。

受託者が本件信託財産について管理、運用、処分など行うことにより、受益者の生活や療養などに必要な金銭を給付し、受益者の生活の安定をはかること。
信託財産を円滑に承継すること。

第3条:信託財産
本件信託における信託財産は、次のとおりである。

別紙信託財産目録○記載の自宅不動産(土地建物)

第4条:委託者
本件信託の委託者は以下の者とする。

住所:北海道札幌市○区○○町○丁目○番地○
氏名:北海道太郎
生年月日:昭和26年8月24日

第5条:受託者
本件信託の受託者は委託者の長男である以下の者とする。

住所:北海道札幌市○区○○町○丁目○番地○
氏名:北海道次郎
生年月日:昭和47年1月25日

第6条:受益者
本件信託の当初受益者は、委託者の北海道太郎とする。
当初受益者である北海道太郎が死亡した場合、第二受益者として北海道次郎が受益権を承継取得する。
第二受益者である北海道次郎が死亡した場合、第三受益者として以下の者が受益権を承継取得する。

住所:北海道札幌市○区○○町○丁目○番地○
氏名:北海道三郎(北海道太郎の孫、北海道次郎の長男)
生年月日:平成11年2月26日

第7条:信託の内容
受託者は信託財産の維持、管理および運用を行う。
受託者は信託不動産かかる修繕及び改良工事を適宜実施する。
受託者は信託目的に係る手続きとして、金融機関などからの借入に際し信託不動産の担保提供などの処分を行う。
受託者は信託目的に係る手続きとして、信託不動産の賃貸利用または売却処分を行うことができる。

第8条:信託の終了
本信託は、その時点における受益者と受託者の合意により終了する。

                             以   上


令和6年○月○日

委託者
住所:北海道札幌市○区○○町○丁目○番地○
氏名:北海道太郎 印

受託者
住所:北海道札幌市○区○○町○丁目○番地○
氏名:北海道次郎 印


まとめ

家族信託契約書の内容は、個々の家族構成や家庭事情、委託者と受託者、受益者の合意内容などによって変わってきます。どのような契約事項を設けるべきか、どのように書く必要があるかなど、専門家に信託契約書の作成を依頼し、親族内でのトラブルリスクを回避することが大切です。

当事務所は、家族信託契約について数多くのご依頼をいただいており、十分な経験を有しています。どのような信託スキームが適切か、信託契約書にどう反映するべきかなど、丁寧にヒアリングを行っていますので、ご不安な点やご不明な点などがありましたらぜひ無料相談をご利用ください。

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千田大輔(行政書士千田大輔行政法務事務所)

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