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コラム

『借入交渉時に気をつけたいこと』

2016年5月2日

テーマ:銀行融資・補助金

コラムカテゴリ:ビジネス

融資を受ける立場からすると、低い金利でたくさん借りたいと
思うのは当然です。しかし、信用力の低い中小企業の場合、現
実はそうはいきません。金利を優先するのか?それとも金額を
優先するのか?という選択を迫られます。

年商約3,000万円のある会社の事例です。銀行に融資を申
し込んだところ、当初は「3,000万円ぐらい狙いましょう。」
と大変乗り気だったようです。

しかし、提案内容が保証協会の保証付き融資であったため、保
証料を考えると実質的な金利が高くなるとして、プロパー融資
で提案するよう依頼しました。さらに、日本政策金融公庫から
1%台の金利で調達していることを引き合いに出し、金利面の
注文もつけたようです。

結果、最初は乗り気だった銀行の担当者も、いつの間にかトー
ンダウンしてしまい、「500万円ぐらいだったら・・・」と
いう提案になってしまったとのことです。

銀行から見た場合、保証協会の保証があれば、最終的な回収の
懸念は殆どありませんので、大きな金額を融資することができ
ます。ただ、借り手からすると、国に対して別途保証料を支払
わなくてはなりません。

一方、プロパー融資は保証料がかかりませんので、実質的な金
利は総じて安くなります。しかし、銀行から見ると、高いリス
クを取りますので、融資審査は相当厳しくなります。「中小企
業が低い金利でたくさん借りることは難しい。」という理由は
ここにあります。

そもそも、金利は貸し手の条件です。「希望金利以上であれば
借りない」という明確な方針があるならば、借り手が条件提示
をしても構いませんが、「借りること」が本来の目的であれば、
金利の注文はつけない方が良さそうです。

金融機関は重要な取引先の1つです。貴社の販売先や仕入先と
同じように接してみてはいかがでしょうか。

例えば、貴社がどうしても仕入れたい商品を持っている大手の
企業に初めて訪問したとします。まだ販売してもらえるかどう
かも分からない状態なのに、いきなり最安値の仕入先を引き合
いに出して、値段の交渉を始めたら、きっと商談はうまくいか
ないはずです。

ビジネスの条件は相手との力関係で決まります。借入も同じで
す。貴社が相当強い立場にないならば、「金利に拘るのか」
「金額に拘るのか」目的を明確にして交渉にあたることをおす
すめします。

この記事を書いたプロ

石田雄二

会社設立と銀行融資のプロ

石田雄二(石田雄二税理士事務所)

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